SNSの「匂わせ投稿」は英語でなんて言う?

「匂わせ投稿」という表現は、SNS上で何かを直接言わずにほのめかすことを指します。この現象を英語でどう表現すべきでしょうか。いくつかの表現とその例文を紹介します。

SNSでよく見る「匂わせ投稿」

皆さんは、インスタグラムなどで「匂わせ投稿」を見たことはありますか?投稿には詳細を書かず、写真の中で主にパートナーとの幸せな生活をアピールするSNS投稿のことを指します。実はそんな行動は英語圏にも存在します。英語では「匂わせ投稿」をsoft launchと表現します。

soft launch/匂わせ投稿

Her post captioned "Tonight’s homemade dinner" showed two sets of dishes, a soft launch hinting at her new romance.
彼女の「今夜の手料理」という投稿には、ふたり分の食器が写っており、それは彼女の新しい恋に関する匂わせ投稿だった。

soft launchは、本来、新しい商品やサービスが市場に正式に出る前に限定的な導入を行うことを意味するビジネス用語ですが、最近は、特定のタイプのSNS投稿を指すスラングとして新たな意味を得ています。この文脈でのsoft launchは、「匂わせ投稿」と呼ばれ、はっきりと明言することなく、恋人などの存在をほのめかす投稿を指します。例えば、ある人が「カフェでまったり」と投稿し、写真にはもう一人がいることが暗示されていたり、「家でハンバーグを作った」と投稿し、写真には皿が2枚写っていたりするなど、間接的に恋人の存在を示唆する投稿です。

このように、元々はビジネスの文脈で使われていた用語が、「匂わせ投稿」としてSNS上で新たな意味合いを持って使われるようになっています。

subtweet/空リプ

It was clear that his subtweet was aimed at his co-worker without naming them.
彼の空リプは、名前を出さずに同僚を狙い撃ちにしていたのは明らかだった。

subtweetという単語は、「〔X(旧Twitter)上で〕直接的には言及しないが、特定の人物や事柄を間接的に指し示すポスト」という意味を持ちます。subliminal(「潜在意識下の」、または「間接的な」)とtweet(ツイート)を組み合わせた言葉です。この行為は、ある人物に直接メンション(@ユーザー名)を飛ばすことなく、その人物について言及するポストを指します。これらのポストは、その人物が自分について言及されていることを理解できるような内容であることが多いですが、外部の人間が見たときには、誰のことを言っているのかを明確には特定できないような間接的なものです。

subtweetはしばしば、他人を間接的にからかったり、批判したりする目的で使われます。これは、直接的な対話や議論を避け、ソーシャルメディア上での対立を避けたいというユーザーの欲求から生じる行為です。それにもかかわらず、受け手がそのsubtweetが自分に対するものだと感じた場合、しばしば感情的な反応やオンラインでの衝突に繋がることがあります。このような間接的なコミュニケーションは、X(旧Twitter)特有の文化の一部となっています。

vaguebooking/(Facebook上での)意味深な投稿

She’s always vaguebooking about her relationship issues, trying to get attention.
彼女はいつも、注目を集めるために恋愛問題について意味深な投稿をしている。

vaguebookingとは、主にFacebook上で、詳細な情報をほとんど伝えずに、友達やフォロワーからの何らかの反応を引き出そうとする投稿のことを指します。vague(あいまいな)とFacebookのbookを組み合わせた造語です。

vaguebookingの例としては、「今、すごく怒ってる…!」とだけ投稿し、具体的な文脈や説明を提供しない投稿や、「どうして私?こんなこと私にしか起こらない!」のように、誰かに尋ねさせるような投稿、単に「???」のような疑問符を連ねるだけの投稿があります。

SNS上での「ほのめかし」を指す他の英語表現

hinting post

His hinting post left everyone guessing he might be leaving the job soon.
彼の暗示的な投稿は、彼がもうすぐ仕事を辞めるかもしれないと皆に推測させた。

hinting Postは、具体的な情報に直接言及することなくヒントを出す投稿を指します。これは、人々の好奇心をかき立て、何が言いたいのか推測させるために使われます。

tease

teaseは、「からかう、ほのめかす」という意味で、通常は何かを完全に明かさずに小出しに情報を与えることを示します。

Celebrities often tease their upcoming projects on social media without giving too much away.
有名人はしばしば、SNSで次のプロジェクトをほのめかすような投稿するが、あまり詳しくは明かさない。

allude

alludeは、「暗に言及する、それとなく触れる」という意味で、何かを直接言うのではなく、間接的に言及する場合に使用されます。

In her post, she alluded to some big news without revealing anything.
彼女の投稿では、何も明かさずに何か大きなニュースを暗に匂わせた。

insinuate

insinuateは、「ほのめかす、含みを持たせる」という意味で、通常は疑念や批評を巧みに示唆する際に使われます。

He insinuated that there might be some changes in the company without giving specifics.
彼は、会社に何らかの変更があるかもしれないと遠回しに言ったが、具体的な言及はなかった。

まとめ

SNSの用語として「匂わせ投稿」を表現し、その行為を行う人々の行動や意図についての理解を深めることができるこれらの表現を通じて、コミュニケーションの微妙な側面を探ることができます。

ENGLISH JOURNAL編集部
ENGLISH JOURNAL編集部

英語を学び、英語で学ぶための語学情報ウェブサイト「ENGLISH JOURNAL」が、英語学習の「その先」にあるものをお届けします。 単なる英語の運用能力にとどまらない、知識や思考力を求め、「まだ見ぬ世界」への一歩を踏み出しましょう!

英文校正:Peter Branscombe

語彙力&フレーズ力を磨く、おすすめの本

ネイティブと渡り合える、知的で洗練された英単語力。

本書は、アルクの『月刊ENGLISH JOURNAL』(1971年創刊~2023年休刊)に掲載されたネイティブスピーカーの生のインタビューやスピーチ、約300万語のビッグデータから、使用頻度の高い英単語300個を厳選し、一冊に編んだものです。

すべての英単語は日本語訳、英英定義、例文と共に掲載、無料ダウンロード音声付きで、読んでも聞いても学べる英単語帳です。また、難易度の高い単語をしっかり定着させるため、穴埋め問題やマッチング問題、さらに構文や使用の際に気を付けるべきポイント解説も充実しています。伝えたいことが明確に伝えられる、上級者の英単語力をこの一冊で身に付けましょう!

英語中級者と上級者の違いは、的確で、気の利いたフレーズ力!

50余年の歴史を持つ、アルクの『月刊ENGLISH JOURNAL』(1971年創刊~2023年休刊)に掲載されたインタビューやスピーチ約300万語というビッグデータの中から、頻出する英語フレーズ300個を厳選。日常会話やemail、SNSではよく使われているのに、日本人が言えそうで言えない、こなれたフレーズを例文と英英定義と共に収載しました(全音声付き)。

厳選した300種類の穴埋め問題&マッチング問題を通して、「見てわかる」のレベルから「自分でも使える」ようになるまで、しっかり定着させます。上級者への壁をこの一冊で打ち破りましょう!

難関大を目指す受験生が英単語を「極限まで覚える」ための単語集

大学入試などの語彙の問題は、「知っていれば解ける、知らなければ解けない」ものがほとんど。昨今の大学入試に登場する単語は難化していると言われており、文脈からの推測や消去法では太刀打ちできない「難単語の意味を問う問題」が多数出題されています。こうした問題をモノにして、周囲に差をつけるには、「難単語を知っていること」が何よりのアドバンテージです。

SERIES連載

2024 04
NEW BOOK
おすすめ新刊
観光客を助ける英会話
詳しく見る
メルマガ登録