「中立国」は英語でなんて言う?北欧2カ国が中立政策を転換しNATO加盟申請
左からフィンランド国旗、NATOの旗、スウェーデン国旗柄のバッジ

海外メディアが報じたニュースから、英語表現を学びましょう!今回は、フィンランドがNATOに正式加盟したニュースを取り上げます。

フィンランドが31番目のNATO加盟国に

時事英語専門のオンライン辞書サイト「RNN時事英語辞典」編集長の廣川です。

ロシアによるウクライナ侵攻から1年以上経過もいまだ収束の兆しはありませんが、フィンランドとスウェーデンがこれまでの軍事中立の立場を転換しNATO(North Atlantic Treaty Organization/北大西洋条約機構)加盟を目指しており、フィンランドについては4月4日に加盟が認められました。今回はこのニュースを英語で見ていきましょう。

NATOの加盟国はフィンランドを加えて31カ国に。NATOとはどのような組織なのでしょうか。

The core of the NATO treaty is Article 5 which states that allies agree ”that an armed attack against one or more of them in Europe or North America shall be considered an attack against them all.”

北大西洋条約機構の中核は第5条で、ヨーロッパや北アメリカの同盟国が武力攻撃された場合には、NATO加盟国全体が攻撃されたとみなすことに合意すると記されている。

記事引用元:Deccan Herald (インド)

いわゆる「集団的自衛権」を行使する体制で、冷戦期のソビエト連邦の脅威に対抗して設立されました。

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  • treaty 条約
  • armed attack 武力攻撃

フィンランドはロシアと1340キロメートルにわたって国境を接していますが、これまでNATOに加わっていなかったのはなぜなのでしょうか。

For decades, Finland and Sweden remained neutral when it came to wartime alliances. A former member of the Russian empire ― which dissolved in 1917 ― Finland was under the thumb of the Soviet Union during the Cold War under a deal known as “Finlandization.” In return for neutrality, the country was allowed to develop its own domestic policy and economic systems, as long as they did not go against the Soviet Union.

何十年間も、フィンランドとスウェーデンは、戦時同盟について中立を保っていた。1917年に解体したロシア帝国の一員であったフィンランドは、「フィンランド化」として知られる合意のもと、冷戦中はソビエト連邦の影響下にあった。中立の見返りに、ソビエトと敵対しない限り、フィンランドは独自の民主政策や経済システムを構築することを許された。

記事引用元:TIME

もともとロシア領であったフィンランド。独立後もロシアの影響を受けながら、中立の立場を取ることで東西間の緩衝地帯として機能してきました。

under the thumb of ~は、「~の言いなりになる」「~の影響下にある」という表現です。

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  • neutral 中立国
  • wartime alliances 戦時同盟
  • Cold War 冷戦(1947-89)

ロシアのウクライナ侵攻がきっかけとなり、「いつロシアから攻め込まれてもおかしくない」という不安から、フィンランドは中立を捨ててNATO加盟を決断しました。

Russia’s invasion of Ukraine in February last year convinced Sweden and Finland to ditch long-held policies of military non-alignment.

昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻で、スウェーデンとフィンランドはこれまで長く堅持してきた軍事非同盟の方針を転換することに踏み切った。

記事引用元:Reuters

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  • invasion 侵攻
  • military non-alignment 軍事非同盟

スウェーデンもNATO加盟を目指していますが、こちらは一筋縄ではいかないようです。

Sweden’s path to NATO membership remains blocked by Turkey and Hungary as neighbour Finland officially joined the 30-member alliance on Tuesday after its application was ratified in record time.

隣国フィンランドは火曜日(4月4日)に加盟申請が異例の速さで承認され、30カ国が参加する同盟に正式に加わったが、スウェーデンのNATO加盟への道はトルコとハンガリーに塞がれたままだ

記事引用元:Reuters

Turkey says Stockholm harbours members of what it considers terrorist groups ― a charge Sweden denies ― and has demanded their extradition as a step toward ratifying Swedish membership.

トルコは、スウェーデンがテロリストグループのメンバーをかくまっていると主張し――スウェーデン側は否定しているが――、スウェーデンの加盟を認める一歩として彼らの引き渡しを求めている。

記事引用元:Reuters

NATO加盟には全ての加盟国の承認が必要ですが、トルコはスウェーデンに自国と敵対するクルド人勢力の拠点があるとして、スウェーデンの加盟に難色を示しています。首相がロシアと親密な関係とされるハンガリーも、承認に至っていません。

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  • ratify ~(条約・法案など)を承認する
  • extradition (本国への)身柄引き渡し

いかがでしたでしょうか。本記事ではNATOの特徴や、フィンランドがこれまで中立を保っていた理由を見てきました。フィンランドは迅速にNATO加盟を果たした一方、トルコとスウェーデンの対立は根深く、今後も駆け引きは続くとみられます。

次回もお楽しみに。

廣川さんが解説する英語ニュース一覧

EJ
廣川 亘(ひろかわ わたる)

RNN時事英語辞典」編集長。1998年に同サイトを立ち上げる。RNNは「Rapid News Network」の頭文字。最新の英文ニュースを常にウォッチし、多用されるキーワードや現代用語、専門用語を多数収録する。

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