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ビジネストークに自信をもつためには?効果的な情報収集とリスニング能力がカギ

ビジネストークの泉

英語でのビジネストークに、高いハードルを感じている人は少なくないはずです。しかし、異文化コミュニケーションについて理解し、時事問題の情報収集がきちんとできていれば、大きな武器になることも確かです。経営コンサルタントとして活躍し、アルクの英語リスニング教材「1000時間ヒアリングマラソン」で監修者も務めるロッシェル・カップさんが、英語でのビジネストークに必要なマインドセットや日々の学習法について教えます。

ロッシェル・カップ

Rochelle Kopp(ロッシェル・カップ)
1964年、アメリカ、ニューヨーク州生まれ。シカゴ大学経営大学院修了(MBA)。ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社社長。専門は異文化コミュニケーション、グローバル人材育成、人事管理、リーダーシップと組織活性化。著書に『反省しないアメリカ人をあつかう方法34 (アルク はたらく×英語シリーズ)』(アルク)、『[音声DL付]英語の品格 実践編』(アルク)など多数

私が大学で日本語を学んでいた頃、夏休みに帰省し、家族で日本食レストランに食事に行きました。隣のテーブルには日本人の家族がいて、彼らは日本語で会話をしていました。父が 「何を話しているんだ?」と私に聞いてきました。真剣に聞いてみましたが、正直何を話しているのかわかりませんでした。日本語の文章は主語が省略されることが多く、会話している人の皆が知っていることを「あの件」などの曖昧な言葉で示すので、日本語で人の話を聞くのは(少なくとも私にとっては)とても難しいことなのです。父はこの説明に納得できず、「大学の日本語の授業はお金の無駄だな」と言いました。

欧米のコミュニケーションスタイルは、言葉に大きく依存します。 私たちアメリカ人は、コミュニケーションの際に、明確で正確な言葉で自分自身を表現することが求められます。 また、プレゼンテーションのスキルが高く、議論や討論が得意な人が評価されます。 私たちアメリカ人が教育やビジネスの場で受けるトレーニングの多くは、こうした言葉による自己表現のスキルを磨くことを目的としています。

一方、日本のコミュニケーションでは、言葉の比重が小さく、非言語による表現が重視されます。 言葉も大切ですが、ボディランゲージ、ジェスチャー、声のトーン、表情、姿勢、話題の背景なども重要です。

日本人が言葉をたくさん使わずにコミュニケーションをとることができる理由の一つは、「共有しているコンテキスト(背景情報)」が多いことです。日本人はこのコミュニケーションスタイルを「一を聞いて十を知る」と表現します。 これは、話し手が10%を言ったら、述語部分を聞かなくとも、聞き手は残りの90%をコンテキストに基づいて理解することができるという考え方です。

話し手から10の全てを言葉の形で聞くことに慣れている欧米人にとって、このコミュニケーションスタイルは戸惑うものであり、実際、欧米人が日本人と接する際の困難の多くはこの点に起因しています。一方、欧米人が英語で話すのを聞いている日本人にとっては、日本語の会話と比べてより詳細な説明が多いと感じるかもしれません。特にビジネスの場では、自分の言いたいことが正しく伝わるよう、できるだけ正確に説明しようとするので、言葉の量が増えます。この豊富な説明と明確さは日本人の聞き手にとって助けになるかもしれませんが、必然的に言葉の数が多くなるので圧倒されてしまうこともあると思います。対策としては「慣れるしかない」としか言いようがありません。これが文化の違いであることを認識することによって、自分のリスニング能力について不必要に自分を責めることがなくなります。

英語での効果的な情報収集の方法

このような文化の違いを乗り越えるためには「慣れ」が必要ですが、相手が話している事柄について前提となる知識を前もって収集できていれば、外国人話者の情報量に圧倒されて慌ててしまうことも防げます。特にビジネスの現場においては、時事的な話題を追っておくことはとても重要です。世界、国、地域、業界で何が起こっているのかについて情報収集し、把握しておく必要があります。幸いなことに現代は情報源が数多くあるので、必要な情報をいかに効率よく収集するかが最大の課題となります。

私は世の中に強い好奇心を持っていますし、自分の仕事を効果的に進めるためには新しい動きやトレンドを知っておく必要があります。そのため、さまざまなニュースメディアを利用することが多いです。ここでは、私が使っている方法を紹介しましょう。

私は毎朝、ワシントン・ポスト新聞のトップニュースのメールマガジンを読みます。ほとんどの新聞社が同様のメールサービスを提供していますが、これを読むことによって、私の母国である米国に重点を置きながら、世界で起きている重要な事柄を知ることができます。また、ビジネスに特化したニュースを扱う「Morning Brew」と一般的なニュースを扱う「theSkimm」という2つの独立したメールマガジンも受け取っています。どちらも洒落た文体で書かれており、読んでいて楽しいのも魅力です。

また、ツイッターは朝一番と夕方以降に何度も見て、ニュースをチェックしています。ツイッターでフォローするアカウントを選ぶことで、自分が関心を持つ情報だけが集まる、パーソナライズされたとても素晴らしいニュースフィードを作ることができます。新聞や雑誌、通信社のアカウントをフォローして最新の記事を見ることもできます。私は日本のニュースを知るために、ジャパンタイムズとNikkei Asiaをフォローしています。また、自分が好きなジャーナリストをフォローするのもいいです。例えば、私はワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ、そしてエコノミストの東京特派員をフォローしています。ツイッターには専門的なニュースソースもたくさんあります。例えば、@thenextwebをフォローして、ハイテク業界のニュースの概要も把握するようにしています。

特定のトピックを追いたいときはGoogleアラートが便利です。追跡したい検索キーワードを登録すると、それに言及したすべての新しいページをまとめたメールが毎日送られてきます。例えば昨年、私が保険会社の社外取締役になったとき、業界の勉強の一環として、「Japanese insurance industry」というキーワードでアラートを作成しました。

また最近は、ポッドキャストなどを利用して、最新ニュースを耳で効率的に追いたいという人も増えてきています。私の場合、料理している時間を利用して、ニュースをよく聞いています。キッチンカウンターの上にアマゾンのスマートスピーカーを置いていて、アメリカのナショナル・パブリック・ラジオをもとにニュース・アップデートを伝えるように設定しています。また、パブリック・ラジオのビジネス番組「Marketplace」もよく聞きますが、これはポッドキャストの形でスマートスピーカーからアクセスできます。時間があるときは、ほかのポッドキャストを聴いたり、シカゴのパブリック・ラジオ局WBEZを聴いたりしています(スマートスピーカーはラジオ放送も再生できます)。

ヒアリングマラソン「ビジネストークの泉」の活用法

とはいえ、リスニングは多くの言語学習者にとっての課題であり、耳からの情報だけで外国語のニュースを理解できるようになるのは簡単なことではありません。正直なところ、私は日本語の中でリスニングが最も苦手な分野です。

リスニング力を向上させるにはどうすればよいか学術的な文献を調べてみたところ、ヒアリングマラソンの形式は、推奨されているベストプラクティスによく合致していることがわかりました。「目的を変えながら同じ文章を何度も聞く」「文章を見ながら聞く」「内容をクイズにする」などは、非常に効果的なアプローチです。パッセージがやや長めという点も、実生活で触れる内容に近いので助かります。

ビジネストークの泉

※「1000時間ヒアリングマラソン」「ビジネストークの泉」のコーナーで使用されている音声

このように、「ビジネストークの泉」にはさまざまな工夫が凝らされていますので、いきなり英語のニュースなどを聞くのは難しいという方にお勧めです。正直なところ、私のような日本語学習者向けに、「ヒアリングマラソン」のような基礎レベルを超えてもまだ上達したいと思っている人向けの「ヒアリングマラソン」のような日本語教材があればいいのにと思うくらいです。

私自身の課題は、日本語をたくさん聞いているときに集中力を維持することです。母国語以外の言語では、集中することが非常に難しいように思います。母国語なら半分の集中力で聞いていても大丈夫なのに、外国語ではそうはいかないということもあるでしょう。

外国語を聞いているときには、集中力がものをいいます。買い物リストや仕事のことなど、ほかのことに気を取られないようにしましょう。集中力を維持するためには、できればタイピングではなく、手書きでメモを取る方が良いです。体を動かすことで集中力が高まりますし、聞いたことをノートにまとめることで、聞くことに集中できます。そして「要点は何か」と自分に問いかけ続けてください。相手が言ったことをただ聞いて、そのままにしておくのではありません。それを処理し、分析し、自分にどう当てはまるかを考えるのが重要です。「ビジネストークの泉」を聞いている時も、集中力を維持する練習として是非使ってみて下さい。

1000時間ヒアリングマラソン

1000時間ヒアリングマラソン

1982年に開講して以来、アルク人気No.1の通信講座。生きた英語を聞き取り、多彩なトレーニングによって「本物の英語力」を身に付ける教材です。ネイティブスピーカーが使うリアルな会話やニュース英語、映画のセリフなどさまざまなジャンルの素材がたくさん収録されているだけでなく、トレーニングで力が付くようしっかり導き、細やかなカリキュラムに沿って学習を進めます。

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ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部

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