ビジネスの場で英語を話すなら、国際情勢や経済動向、企業戦略など、世界の最新事情に触れる機会が必ず訪れます。そんなとき、「今話題のあれを英語でなんて言うのか」を学ぶのに最適の素材が英語のニュースです。日経LissNで配信されている最新情報を、英語講師の天満嗣雄先生がわかりやすく解説します!
今回のニュース
欧州連合(EU)の欧州委員会が温暖化ガスの削減に向けた包括案を公表したというニュース。記者会見では「化石燃料に依存する経済は限界に達した」という発言もあったようです。内容を確認しましょう。
EU comprehensive proposal would ban sales of gasoline cars by 2035, achieve zero emissions by 20502021年7月31日に配信されました。EU、35年にガソリン車販売禁止 50年排出ゼロへ包括案
まずは聞いてみよう!
音声は以下から聞くことができます。一体、どんなことが話されているのか、概要を 把握する つもりで聞き取りましょう。
※ノーマルスピード(1倍速)の音声です
理解度をチェック!
ニュースの内容について、しっかり聞き取って理解できているか確認しましょう。次の問題について、正解の選択肢を選んでください。
What will happen by 2035?(A) Gas- burning cars will no longer be for sale.
(B) Gas cars will lower in price.
(C) A new type of gasoline car will be on the market.
詳細を聞き取ろう
今度は、スクリプトや翻訳を確認しながら、もう一度音声を聞いてみてください。聞き取れていなかった箇所や、意味がわからなかったところなどを重点的に確認してください。
スクリプト
EU comprehensive proposal would ban sales of gasoline cars by 2035, achieve zero emissions by 2050
The EU's European Commission on the 14th released a comprehensive plan to drastically reduce greenhouse gas emissions. The plan calls for an effective ban on the sale of new gasoline and other internal combustion engine vehicles, including hybrids, by 2035. It also plans to provisionally introduce a Carbon Border Adjustment Measure (CBAM) in 2023, which would effectively impose tariffs on imports from countries with lax environmental regulations.
For the Commission 's proposal to be approved, it generally needs to be coordinated with member states and deliberated by the European Parliament. Opposition from companies and countries outside the region is also likely to be unavoidable .
The Commission 's package is designed to achieve a 55% reduction in the region 's greenhouse gas emissions by 2030 compared to 1990 levels. The 2030 target is the interim step toward the goal of net -zero emissions by 2050. At a press conference on the 14th, European Commission President von der Leyen said, "The fossil fuel economy has reached its limits," and announced that the EU will strive to achieve a carbon-free society as soon as possible .
Emphasis is being placed on measures to reduce emissions from the transportation sector, such as automobiles. This is because emissions from the power generation and industrial sectors covered by the EU's emissions trading scheme are decreasing, while emissions from the transportation sector, not covered by the scheme , are increasing.
The European Commission has proposed that internal combustion engine vehicles such as gasoline and diesel be effectively banned by 2035.
翻訳
欧州連合(EU)の欧州委員会は14日、温暖化ガスの大幅削減に向けた包括案を公表した。ハイブリッド車を含むガソリン車など内燃機関搭載車の新車販売について2035年に事実上禁止する 方針 を打ち出した。環境規制の緩い国からの輸入品に事実上の関税をかける国境炭素調整措置(CBAM)を23年にも暫定導入する計画だ。
欧州委案が成立するには、原則として加盟国との調整や欧州議会の審議を経る必要がある。企業や域外国の反発も避けられそうにない。
欧州委の政策パッケージは、30年までに域内の温暖化ガスの排出量を1990年比55%減らす目標を実現するための対策だ。2030年目標は50年に排出実質ゼロにする目標の中間点となる。フォンデアライエン欧州委員長は14日の記者会見で「化石燃料に依存する経済は限界に達した」と述べ、速やかに脱炭素社会を実現すると表明した。
重点を置くのが自動車などの運輸部門の削減策だ。EUの排出量 取引 制度の対象である発電や産業部門の排出は減っているものの、対象外の運輸部門の排出は増えているためだ。
欧州委はガソリンやディーゼルといった内燃機関搭載車について、35年に事実上禁止することを提案した。
覚えておきたい単語リスト
ニュースに出てきた表現のうち、難しいものや、特に知っておいた方がよいものをまとめました。1つずつ、意味を確認してください。
- comprehensive : 包括的な
- drastically: 大幅に
- effective : 事実上の
- internal combustion engine: 内燃機関
- provisionally: 暫定的に
- impose : 課す
- tariff : 関税
- lax: 緩い
- deliberate : 審議する
- unavoidable : 避けられない
- interim: 中間の
- fossil fuel: 化石燃料
- strive : 努力する
- emphasis: 強調
- scheme : 仕組み 、体系、制度
ニュースのポイント
EUのEuropean Commission (欧州委員会)が温暖化ガス削減に向けた包括案を公表したというニュース。第1段落2文目に登場する effective は「効果的な」ではなく「事実上の」という意味です。ガソリン車などの内燃機関エンジンを搭載した自動車の販売を禁止する(ban)と明言しているわけではないものの、実質上、禁止につながる内容だということ。第1段落最後の文に登場する副詞 effectively も「事実上、実質的に」という意味です。「~を課す」という意味の動詞 impose は、 impose A on B(AをBに課す)という形で用います。 impose tariffs on imports from countries with lax environmental regulationsでは、課されるのがtariffs(関税)、対象となるのがimports(輸入品)ということです。
第2段落ではこの提案が成立するために必要なステップについて述べられています。加盟国のことをmember state と表現するのは外交関係のニュースでは頻繁に登場します。 deliberate は「審議する」という意味の動詞。
第3段落第2文の2030 target は数字が2030年を表しているため、 target は単数形になっています。「2030年に達成すべき目標」という意味です。
第3段落の冒頭では、 動作 の主体は自明なので省略し、重点が置かれている内容に注目するために受動態が用いられています。排出量 取引 制度の対象になっている分野の排出量が減っているのに対してそれ以外の分野で排出量が増えていることが背景にあるようですね。
今週のキーワード
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いかがでしたか?来週はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。毎週月曜日の 更新 をお楽しみに!
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天満嗣雄(てんまひでお) 中学・高校時代にNHKラジオの語学番組で英語を学び、神戸大学ESSを経て英会話学校に就職。学校運営・レッスン(英会話・国連英検・TOEIC・Speech)および、講師研修を担当。企業派遣講師を経てプロセス英語会を開設。専門学校や企業でも教える。著書に『 TOEIC(R) L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1 TTT速習シリーズ 』『 TOEIC(R) L&Rテスト 「直前」模試3回分 (いずれも共著、アルク)などがある。
ホームページ: https://processeigo.com/
Twitter: @ProcessE
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