「水素」は英語でなんて言う?ENEOSと千代田化工が「グリーン水素」価格3分の1へ

ビジネスの場で英語を話すなら、国際情勢や経済動向、企業戦略など、世界の最新事情に触れる機会が必ず訪れます。そんなとき、「今話題のあれを英語でなんて言うのか」を学ぶのに最適の素材が英語のニュースです。日経LissNで配信されている最新情報を、英語講師の天満嗣雄先生がわかりやすく解説します!

今回のニュース

ENEOSと千代田化工が製造過程で二酸化炭素を出さないグリーン水素の製造プラントを開発するというニュースです。化学物質の名前が登場するためにとっつきにくいかも知れませんが、取り組んでみましょう。

ENEOS and Chiyoda to slash green hydrogen costs to one-third

「グリーン水素」価格3分の1に ENEOSと千代田化工

2021年7月03日に配信されました。

まずは聞いてみよう!

音声は以下から聞くことができます。一体、どんなことが話されているのか、概要を 把握する つもりで聞き取りましょう。

※ノーマルスピード(1倍速)の音声です

理解度をチェック!

ニュースの内容について、しっかり聞き取って理解できているか確認しましょう。次の問題について、正解の選択肢を選んでください。

What is one benefit of "green hydrogen "?

(A) It does not burn.

(B) It is a cleaner fuel.

(C) It is cheaper to produce .

詳細を聞き取ろう

今度は、スクリプトや翻訳を確認しながら、もう一度音声を聞いてみてください。聞き取れていなかった箇所や、意味がわからなかったところなどを重点的に確認してください。

スクリプト

ENEOS and Chiyoda to slash green hydrogen costs to one-third

ENEOS and Chiyoda Corporation will jointly develop a green hydrogen manufacturing plant that does not emit carbon dioxide (CO2) during the manufacturing process . They aim to reduce capital investment by using their unique electrolysis technology, and reduce the hydrogen price to 330 yen per kilogram, which is about one-third of the current price. If realized, it will greatly support the decarbonization of society as a whole .

Hydrogen can be used as fuel for power plants and automobiles instead of fossil fuels, and it does not emit CO2 even when burned. It is expected to become the key to achieving decarbonization, but cost is an issue . The distribution price in Japan is currently about 1,100 yen per kilogram. The government has set a goal of reducing the cost to 330 yen in 2030 and 220 yen in the future .

ENEOS and others are planning to build plants at proposed sites in Australia and other locations in 2030. They will electrolyze water and toluene to form a liquid called methylcyclohexane (MCH). First, they will make an MCH that can be carried by existing tankers at a normal temperature and pressure, then extract hydrogen from the MCH at a location such as a power plant where hydrogen is used. To carry hydrogen as it is , it is necessary to liquefy it by cooling it to minus 253 degrees Celsius and use a dedicated carrier vessel.

To make MCH, water is usually first electrolyzed to remove hydrogen , which is then combined with toluene. ENEOS will use a special electrode to electrolyze water and toluene at the same time to produce MCH directly. The capital investment amount can reportedly be halved by simplifying the manufacturing process .

翻訳

ENEOSと千代田化工建設は製造過程で二酸化炭素(CO2)を出さない「グリーン水素」の製造プラントを共同開発する。電気分解に関する独自技術を使って設備投資を抑え、水素価格を1キログラム当たり330円と、現在の3分の1程度にするのを目指す。実現すれば社会全体の脱炭素を大きく後押しする。

水素は化石燃料の代わりに発電所や自動車の燃料などに使うことができ、燃やしてもCO2が出ない。脱炭素実現の鍵になると期待されているが、コストが課題だ。日本での流通価格は現在、1キログラム当たり約1100円。政府はコストを2030年に330円、将来220円に引き下げる目標を掲げている。

ENEOSなどは30年にオーストラリアなどを 候補 地にプラントを建設する 方針 だ。水とトルエンを電気分解し、メチルシクロヘキサン(MCH)と呼ぶ液体を作る。常温常圧のまま既存のタンカーで運べるMCHをまず作り、発電所など水素を使う場所でMCHから水素を取り出す。水素のまま運ぶにはセ氏零下253度まで冷やして液化し、専用の運搬船を使う必要がある。

MCHを作るには通常、まず水を電気分解して水素を取り出し、次にトルエンを結合させる。ENEOSは特殊な電極を使い、水とトルエンを 同時に 電気分解して直接MCHを作る。製造過程の簡略化により設備投資額は半分に抑えられるという。

覚えておきたい単語リスト

ニュースに出てきた表現のうち、難しいものや、特に知っておいた方がよいものをまとめました。1つずつ、意味を確認してください。

    • hydrogen : 水素
    • emit: 出す、排出する
    • carbon dioxide: 二酸化炭素
    • capital investment: 設備投資
    • electrolysis: 電気分解
    • decarbonization: 脱炭素化
    • fossil fuel: 化石燃料
    • electrolyze: 電気分解する
    • toluene: トルエン
    • methylcyclohexane: メチルシクロヘキサン
    • extract : 抽出 する
    • liquefy: 液体にする
    • dedicated : 専用の
    • electrode: 電極
    • reportedly: 報道によると

ニュースのポイント

ENEOSと千代田化工がグリーン水素の製造プラントを共同開発するというニュース。will jointly develop のように副詞が助動詞と動詞の間に入るパターンはかなり多く登場します。a green hydrogen manufacturing plant(グリーン水素製造プラント)が日本語と全く同じ語順なのは興味深いことですね。capital investmentは「設備投資」という意味です。第1段落最後の文のIf realizedはIf it is realizedを省略した形。条件や時を表す接続詞の後に続く主語が自明な場合はしばしば省略されるので、ぜひ慣れておきたいところです。

第2段落では水素の燃料としてのメリットと課題について述べています。第1文最後の even when burnedは上記のIf realizedと同じ構造です。次の文のkey to achieving decarbonizationは、key to の後に動名詞が続くのに注目しましょう。

第3段落第1文ではand others、and other locationsという表現が登場します。and other で「~など」というニュアンス。この段落では、輸送に専用船が必要な水素ではなく、既存のタンカーで輸送できるmethylcyclohexane(メチルシクロヘキサン)という液体に変えて輸送し、使う前に水素を 抽出 するという手法について説明されています。最後の文の as it is は「そのままで」という意味。liquefyはliquefied natural gas(液化天然ガス)にも使われる単語ですね。

第4段落の第1文では、water is usually first electrolyzed to remove hydrogen という主節の内容を受けて、その結果生じた物質について関係代名詞の継続用法(非制限用法)を用いて説明が続いています。前からチャンクごとに意味を確認しながら理解するようにしましょう。

今週のキーワード

dedicated 専用の
「献身的な、熱心な」という意味もある単語ですが、装置や機能などを修飾する場合は「専用の、特化した」という意味になります。例としては、 dedicated app(専用アプリ)、 dedicated channel(専用チャンネル)などがあります。

クイズの正解">クイズの正解

(B)

いかがでしたか?来週はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。毎週月曜日の 更新 をお楽しみに!

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天満嗣雄(てんまひでお) 中学・高校時代にNHKラジオの語学番組で英語を学び、神戸大学ESSを経て英会話学校に就職。学校運営・レッスン(英会話・国連英検・TOEIC・Speech)および、講師研修を担当。企業派遣講師を経てプロセス英語会を開設。専門学校や企業でも教える。著書に『 TOEIC(R) L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1 TTT速習シリーズ 』『 TOEIC(R) L&Rテスト 「直前」模試3回分 (いずれも共著、アルク)などがある。
ホームページ: https://processeigo.com/
Twitter: @ProcessE

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