感謝祭の日、記者団から「敗北宣言」について質問されたドナルド・トランプ大統領。その記者会見でのトランプ大統領の姿が滑稽だと話題となりました。今回は「敗北宣言」に関する英語フレーズを紹介します。
今回のニュースな英語
11月3日に行われたアメリカ大統領選で当選確実となったジョー・バイデン次期大統領は、11月7日に勝利宣言の演説をしました。一方で選挙に負けた現職のドナルド・トランプ大統領は敗北を認めておらず、いまだに敗北宣言をしていません。いったいいつ宣言するのか、そもそも敗北を認めるのか、という点に注目が集まっています。
そこで今回の「ニュースな英語」は、選挙で敗北を認めることを意味する「concede」と、敗北演説(敗北宣言ともいいます)を意味する「concession speech」(または単にconcession)について取り上げます。
背景
11月26日の感謝祭の日、トランプ大統領は選挙後に初めて、記者団から質問を受け付けました。
このところずっと話題になっていたのが、「トランプ氏は敗北宣言をするのか」ということでした。というのも、大統領選に勝った次期大統領の勝利演説(victory speech)を受けて、負けた候補者は敗北演説(concession speech)をするのがこれまでの習慣だったのです。
CNNは、敗北宣言についてこう説明しています。
There are usually two elements to a concession -- a call to the victor and a speech to supporters.
敗北宣言には通常、2つの要素がある――勝者への呼び掛けと支援者への演説だ。
そもそもconcession speechをするには、選挙に負けた事実を受け入れるという大前提があります。けれどもトランプ大統領は自身のTwitterに “I concede NOTHING!”(私は負けを一切認めない!)や “This was a RIGGED ELECTION!”(不正選挙だった!)と投稿するなど、態度を硬化させています。なお、トランプ大統領のこのツイートには、「不正選挙だったとのこの主張には異議が唱えられています」というTwitter社による警告が付いています。
He only won in the eyes of the FAKE NEWS MEDIA. I concede NOTHING! We have a long way to go. This was a RIGGED ELECTION!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) November 15, 2020
「concede」はどんなふうに使われている?
写真:ロイター
感謝祭の日、記者団からトランプ大統領への質問はやはり、「concedeするのか?」に集中しました。トランプ大統領の主張は、次のようなものでした。
It’s going to be a very hard thing to concede. Because we know there was massive fraud.
負けを認めるのは非常に難しいものとなるよ。だって大規模な不正が行われたのはみんな知っているからね。
とはいえ、トランプ大統領の選挙陣営は、大統領選で不正があったことの証拠を一切示していません。
会見中、敗北を認めるのかと記者に迫られると、トランプ大統領はキレかかり、「私はアメリカ大統領だ。大統領に向かって二度とそんな口をきくんじゃない」と記者を戒めました。
▼イギリスのテレグラフ紙の動画でこのやりとりが見られます。
トランプ氏が食ってかかった相手は、ロイター通信のホワイト・ハウス担当記者のジェフ・メイソン氏。このやりとりはニュースにもなりました。こちらはUSAトゥデイ。
同紙はこのように伝えています。
As Trump continued to repeat unfounded claims, Jeff Mason of Reuters pressed him to answer whether he would concede.
トランプ大統領が根拠のない主張を繰り返す中、ロイター通信のジェフ・メイソン氏は負けを認めるのか同大統領に答えを迫った。
まとめ
このとき記者団にキレたトランプ大統領の様子は、日本のニュースでも取り上げられていたので、見た人も多いかもしれません。
またハフポストによると、この記者会見でトランプ大統領が使ったデスクがあまりにも小さいとのことで、アメリカの投稿サイトRedditではフォトショップを使っての大喜利合戦になりました。
私のお気に入りはこちら。
Action figure now included in "Li'l Tikes Play Bigly"
画像にある「bigly」は、2016年の大統領選での討論会で、トランプ大統領が言った言葉は「big league」と「bigly」のどちらなのかと話題になり、トレンドにもなった言葉でした。
皆さん笑いのセンスに溢れていますが、トランプ大統領の怒りに油を注いでしまうかもしれませんね!?
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松丸さとみフリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング
(・ときどき通訳)を行っている。
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