シンガポールの独特な英語「シングリッシュ(Singlish)」の特徴とは?定番のあいさつは「○○食べた?」

シングリッシュでも“OK lah!”

アメリカ英語やイギリス英語があるように、国によって英語の特徴はさまざまです。この連載では、シンガポールの英語「シングリッシュ(Singlish)」や文化について、現地で約7年もの間ビジネスを行ってきた藤代あゆみさんに教えていただきます。

「ENGLISH JOURNAL ONLINE」をご覧の皆さん、こんにちは!

日本酒サービス研究会・酒匠研究連合会(Sake Service Institute、以下「SSI」)公認の国際唎(きき)酒師および日本酒学講師の藤代あゆみです。

日本酒オタクのおもてなし英語」や、「英語で受験!国際唎(きき)酒師をめざそう」の連載に続き、私が約7年間住んだ「シンガポール」のことについて、お話しする機会を頂戴できました〜!Thank you hor~!(ありがとね~!)

知っているようで、知らないシンガポール。シンガポールでビジネスをしていると、なんだか響きがかっこいい(笑)のですが、意識が高そうな人たちが、知ったようにシンガポールの話をしているのを聞くたびに、「Aiyo(アイヨー)*1・・・この人たちはシンガポールのことを何もわかっていないな・・・」と思っていたので、本当のシンガポールを教えちゃいます!

シンガポールってどんな国?

シンガポールは正式名称をRepublic of Singapore(シンガポール共和国)といい、東京23区と同じくらいの広さの中に約564万人が住む島国*2です。東京23区の人口が、約948万人*3なので、それに比べると少ないですし、しかも、シンガポールの人口の約30%が外国人なので、実際にシンガポール人(または永住権を持っている人)は、400万人にも満たないのです。

日本に比べると小さい国土に、東京23区の人口よりも少ない人口・・・。世界地図でシンガポールを見ると、赤い点で隠れてしまうことから、ローカルの人はシンガポールのことを自虐的に“red dot”(赤い点)と呼んだりもします。

シンガポール人って?

日本人の両親の下、日本で生まれ育った私は、日本国籍で、日本人という民族です。一方で、シンガポール人は、シンガポール国籍を有する人のことを指しており、中華系マレー系インド系など、さまざまな民族の方がいらっしゃいます。

ですから、シンガポール人の特徴って、一言では言えないんですよね(本来、どの国でも当てはまることですが・・・)。いちばん多いのは、中華系ですが、“Peranakan”(プラナカン)といって、中華系とマレー系のミックスの方もいらっしゃいます。

シンガポールで話す言葉

シンガポール 工事現場の注意書き

英語・中国語・タミル語・マレー語が公用語のシンガポールでは、工事現場の危険立ち入り禁止のサインも4ヶ国語で書かれている(写真:著者提供)

シンガポールでいちばん多い民族は中華系ではありますが、国語はマレー語です。「英語じゃないの?!」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんね。シンガポールは1965年にマレーシアから分離、独立してできた国なので、国歌もマレー語で作られており、“Majulah Singapura”(マジュラー・シンガプーラ)*4という名前です。

シンガポールのことをマレー語で「シンガプーラ」と言うの、かわいいですよね!国歌は、原則マレー語で歌う決まりになっていますが、一方で、シンガポール人全員がマレー語がペラペラというわけではありません。むしろ、マレー系以外のほとんどの人はちょっとしか話せません。

基本的には、自分のルーツ、つまり中華系だったら中国語、マレー系だったらマレー語、インド系だったらタミル語などを話すか、公用語である英語を使っています。でもね!これまた、全員が英語を話せるわけじゃないんですよ!若い世代の人たちは英語を使える人が多いですが、それでも全員ではありませんし、特に年齢層が高いほど、英語を話せない人もたくさんいらっしゃいます。

親が中国語で息子に話し掛けると、息子が英語で返すので、「それってどういう意味?」なんて親が息子に英語の意味を聞いている現場に、何度も出くわしたことがあります。

シンガポール人は全員バイリンガルもしくはトリリンガルだと思っているかもしれませんが、よくいうバイリンガル像とはちょっと違うかもしれません。例えば、英語も中国語も話せるけど漢字は読めないし書けない、なんて人もザラにいます。英語の4技能であるリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングがすべてできる「完璧なバイリンガル」というよりは、「リスニングとスピーキングができるバイリンガル」として、普段からいろいろな言語で活発にやり取りが行われているのです。

English? Singlish!

皆さんは“Singlish”(シングリッシュ)って知っていますか?

牧村朝子さんの記事でも取り上げられていましたが、シンガポールで話される英語は非常に特徴があるので、このように呼ばれています。イギリス英語やアメリカ英語の発音が違って・・・とか・・・もう・・・そんなレベルじゃない!本当に“Singlish”という言語として認定すべきくらい、独自に発達しているんです!

いちばん有名なのは、“OK lah!”(オーケーラー)という言い方でしょうか。“lah!”にビックリマークが付いているので、実際に言うときは「オッケーラァァァアア!!!」という感じで言います(笑)。試しに、みんな大好き、英辞郎で検索してみましたが、「ok lahに該当する項目は見つかりませんでした。」って出た。まあ、そりゃそうだよね。はい。ちなみに、この“lah”というのは中国語です。

シングリッシュの特徴は主に3つです。

  1. 英語と中国語(北京語・広東語・福建語など)やマレー語が同じ文章の中に混ざり合う
  2. 独自の文法を使う
  3. 語尾になんか付けたがる

イギリスやアメリカでは“How are you?”とか、“What’s up?”というのがベタなあいさつ(?)ですが、シンガポールや日本以外のアジアでは「ご飯食べた?」があいさつです。「ご飯食べた?」って、欧米ではあいさつとしてあまり聞かないかと思いますが、まあ英語にするとしたら“Have you had your breakfast?”とかそんなところですよね。

シングリッシュでは、“Makan already meh ah?”「マカン・オーレディー・メーア?」とか言います。「ご飯食べたよね?」みたいな意味です。公用語が英語って本気か???って思いますよね。

“Makan”はマレー語で「ご飯」や「食べる」、“already”はかろうじて英語だとわかってもらえると思いますが、“meh ah”は中国語で疑問文のときに付けたりする表現のようです!中国語は話せないので詳細は知りませんが!(笑)ちなみに、返事の仕方も英文法とはちょっと違います。

ほかにも、“Makan already ya?”とか、“Makan already hor?”とか、“Makan neh?”とかとか、もはや英語どこいった?!という会話が繰り広げられます。

A:Makan already meh ah?(ご飯食べたよね?)

B:Have have.(食べた食べた)

C:Makan already.(ご飯もう食べた)

A:Eat what huh?(何食べたの?)

B:Chicken rice lor.(チキンライスだよ)

C:Noodle.(麺)

A:OK.(おけ)

あいさつ代わりに食事をしたかどうかを聞くのですが、何を食べたのかもしょっちゅう聞かれます。だから、“noodle”とかいう、めちゃくちゃ広範囲な返事をされます。いや、麺ってなんの麺なのよ、そして具とかソースはなんだったのよ(笑)。別になんでもいいんだけどさあ。

そして、ご飯を食べたかどうかを聞いている側も、あいさつとして聞いているので、何を食べたのかは本当に興味がないの。“OK”に“lah”さえも付けてくれない。いや、聞いたんだからもっと興味を持ってよ。という毎日を約7年間過ごしました。

今回のあとがき

実は、私がシンガポールに行って間もない頃、英語がめちゃくちゃ堪能な日本人の方に「シンガポール人の英語は発音もおかしいし、文法も間違っているから、まねしちゃダメだよ」とか、それこそシンガポールの政府関係者の某偉いおじさん(笑)に「シングリッシュは恥ずかしいから、公の場ではシンガポール人も話すべきではない。あゆみも気を付けなさい」とお小言を言われたことが・・・めちゃくちゃあったんです。

今ではすっかりシングリッシュがペラペラな私、もちろんシングリッシュスクールに通っていたわけではありません。「シングリッシュはダメ!」と言われたのに、“Never mind lah~!”とばかりにシンガポリアンに間違われるほど、コテコテのシングリッシュになった理由とは・・・?

次回で詳しくお話ししたいと思いますので、ぜひ楽しみにしていてくださいね。TwitterやInstagramでも気軽に絡んでください〜!

編集:加藤愛美

*1:シンガポール人が困ったときや驚いたときに使用する感嘆詞の一つ。

*2:外務省Webサイトより:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/singapore/data.html#section1

*3:東京都Webサイトより:https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/tokyoto/profile/gaiyo/kushichoson.html

*4:The National Heritage Board of Singaporeより:https://www.nhb.gov.sg/what-we-do/our-work/community-engagement/education/resources/national-symbols/national-anthem

藤代あゆみ

藤代あゆみ平成元年、東京生まれ、共立女子大学文芸学部劇芸術コース卒。日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)公認国際唎酒師・日本酒学講師。日本酒などの輸入・販売・販路開拓支援を行うIPPIN PTE LTDと共に、シンガポール全域にて日本酒を1時間で配達する画期的なサービス「SAKE TO GO」を展開。マレーシア・タイ・ベトナム・インドなどでも日本酒を広める活動を展開している。好きな漫画は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(平尾アウリ著、徳間書店)
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