EJ新書『日本酒オタクのほろ酔い英語』刊行を記念して、著者の藤代あゆみさんのインタビューをお届けします。本書の魅力はもちろんのこと、藤代さんが国際?酒師となった きっかけ もお話ししてくれました。
- 作者: 藤代 あゆみ
- 発売日: 2020/12/08
- メディア: Kindle版
とにかくお酒が大好き!
――藤代さんが日本酒に興味を持った きっかけ はなんですか?
私がまだ小さかった頃、祖父と同居していたのですが、晩酌といえば日本酒の人でした。食卓の下にいつも日本酒の一升瓶を置いていて(笑)夕飯の時間になると、一升瓶からとくとくとく、と日本酒をお猪口(ちょこ)に注いで食事と一緒に楽しんでいました。ですから、私にとって日本酒は特別なものではなく、当たり前の日常。日本酒を飲んでほろ酔いになり、一日の締めくくりを楽しんでいた祖父の姿を見ながら育ったので、私にとって日本酒は大人になったら自然と嗜(たしな)む飲み物だったのです。
私はとにかくお酒が大好き!なので、本当になんでも飲むのですが、ほかのお酒も飲むからこそ、最近は日本酒の良さを 改めて 感じることが多くなってきました。
日本酒の本当の良さを伝えたい!
――国際?酒師になろうと思った きっかけ はなんですか?
7年ほど前から、日本の素晴らしい食べ物や飲み物を東南アジアの方に向けて紹介するため、仕事でシンガポールに駐在することとなったのですが、20代前半の 希望 にあふれる私にはショックの連続でした・・・。なんでもいいからとにかく「売れればいい」という風潮が強く、日本酒も焼酎も、まとめて「日本のお酒」として扱われていて、誰もそれぞれのよさを説明できない。「純米大吟醸は値段が高いからベストな酒だ!」と、まるで純米や本醸造のクオリティーが低いと勘違いさせるようなプロモーションが行われていました。
そんな折に、たまたま国際?酒師の認定する 日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI) の方と知り合い、シンガポールで初めて開催された国際?酒師試験を受験、無事第一回目の合格者になることができました!ビジネスですから、 売上 はもちろん大事です。しかし、日本酒の知識をちゃんと持った上で、外国の人に紹介し、しっかりと背景や文化も伝えることで、真に日本酒が世界で楽しまれるようにと活動を続けております。
日本酒の普及はまだまだ伸びしろあり
――海外での日本酒人気は高まっていますか?
連載と本書でも触れましたが、7年前にシンガポールで“sake”と言っても知らない人がほとんど。最近ではシンガポールでの日本酒の認知度はだいぶ高くなってきていますが、世界的に見るとまだまだだと感じます。私は現在、外国人が半数を占めるシェアハウスに住んでいますが、先日やって来たベルギー人に“sake”と言ったら、「なにそれ?」と言われてしまいました。
私たちが交流する外国人って日本好きな人が必然的に多いので、日本のことをよく知っていますが、日本にさほど興味のない人たちからしたら“sake”は無名なんですよね。でも、一回飲めば好きになってくれる人が多いんです!世界を見ればほとんどの外国人は日本酒ビギナーですから、華やかな香りだったり、甘めの味わいだったり、最近では発泡の日本酒など、軽くて飲みやすいものの人気が高いですね。
初の著書である新刊の読みどころ
――『日本酒オタクのほろ酔い英語』をどんな方に読んでいただきたいですか?
語学の本なのに『日本酒オタクのほろ酔い英語』というとんでもないタイトルなので、真面目に英語の勉強している人の中には購入を渋る方もいらっしゃるかもしれません(笑)。しかし、日本酒はまだまだ世界での認知度が高くないものの、「國酒」とも呼ばれ、日本が誇る飲み物として国をあげて世界中に広めようとしています。
あなたがもし、英語の勉強をしていたり、仕事で英語を使っていたりするのであれば、日本のことを知っているに越したことはないですよね。お酒が飲めなくても、いや、むしろ飲めない人にこそ読んでもらえたらうれしいです!
英語はさっぱりだけど、日本酒が好きだから、世界中の人と楽しみを分かち合いたい!そんなあなたにも、自分の好きなものを きっかけ に、 すぐに 使える実践的な英語を身に付けてもらえたらと思います。
――最後に、EJ新書『日本酒オタクのほろ酔い英語』のアピールをお願いします!
連載時は、日本酒ビギナー、そして英語ビギナーの方に向けてわかりやすく簡単に覚えられるような内容を意識していましたので、日本酒片手にほろ酔いで読んでもわかるし、覚えられるはずです!日本酒って、とにかく難しい話をしたがる人が多いんですよね・・・難しいことほど酔ったら忘れちゃうのに(笑)
とはいえ、EJ新書として出版させていただく機会に恵まれたので、新書のための書き下ろしでは通訳のプロでも間違えて英訳しがちな、ちょっと専門的なお話もしています。連載の頃から読んで応援してくださっていた皆さまにも満足していただける内容に仕上がっているかと思います。
別に勉強するつもりはないよ!という方でも、日本酒や食事をおいしく楽しむヒントも詰まっていますので、ぜひ読んでいただけたらうれしいです。
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- 作者: 藤代 あゆみ
- 発売日: 2020/12/08
- メディア: Kindle版
藤代あゆみ 平成元年、東京生まれ、共立女子大学文芸学部劇芸術コース卒。日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)公認国際?酒師・日本酒学講師・酒匠。「日本酒オタクのあゆみせんせい」として、シンガポールを中心に、アジア、オセアニア、ヨーロッパ、北米、南米など世界20カ国以上の人に向けて日本酒を広める活動を経験。好きな漫画は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(平尾アウリ著、徳間書店)
Official Website: https://www.ayumi-and-sake.tokyo/
Twitter: @ayumi_and_sake
Instagram: @ayumi_and_sake
『ENGLISH JOURNAL BOOK 2』発売。テーマは「テクノロジー」
現在、ChatGPTをはじめとする生成AIが驚異的な成長を見せていますが、EJは、PCの黎明期からITの隆盛期まで、その進化を伝えてきました。EJに掲載されたパイオニアたちの言葉を通して、テクノロジーの歴史と現在、そして、未来に目を向けましょう。
日本人インタビューにはメディアアーティストの落合陽一さんが登場し、デジタルの時代に生きる英語学習者にメッセージを届けます。伝説の作家カート・ヴォネガットのスピーチ(柴田元幸訳)、ノーベル生理学・医学賞受賞のカタリン・カリコ、そして、『GRIT グリット やり抜く力』のアンジェラ・ダックワースとインタビューも充実。どうぞお聴き逃しなく!
【特集】PC、IT、そして、ChatGPT・・・パイオニアたちの英語で見聞する、テクノロジーの現在・過去・未来
【国境なきニッポン人】落合陽一(メディアアーティスト)
【スピーチ&インタビュー】カート・ヴォネガット(作家/柴田元幸訳)、ケヴィン・ケリー(『WIRED』創刊編集長、未来学者)、レイ・カーツワイル(発明家、思想家、未来学者)、ジミー・ウェールズ(ウィキペディア創設者)、アンジェラ・ダックワース(心理学者、大学教授)、【エッセイ】佐藤良明