ヒップホップ界に大きな影響を与える日本のカルチャー【EJ’s Playlist】

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「今聴いてほしいアーティスト」と関連する楽曲を音楽が伝えるメッセージや社会的・音楽的文脈などと合わせて渡辺志保さんが解説します。

今月の1曲

リル・ウージー・ヴァートの「Eternal Atake (Deluxe): LUV vs. The World 2」を紹介します。

Eternal Atake (Deluxe) - LUV vs. The World 2 [Explicit]

Eternal Atake (Deluxe) - LUV vs. The World 2 [Explicit]

  • 発売日: 2020/03/13
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

リル・ウージー・ヴァートの最新アルバムはチーフ・キーフ、ヤング・サグなどヒップホップ界のスーパースターたちが集結した豪華盤。名前のUziは「マシンガンみたいなラップ(Uziは小型マシンガンの愛称)」を意味する。

 

日本のアニメ&コミックカルチャーに魅せられたラッパー

かねてから、日本のカルチャーに魅せられる海外アーティスト、特にヒップホップ・アーティストは少なくない。カニエ・ウェストは映画『AKIRA』(1988)に対する憧憬をあらわにしてきたし、ベテランのラップグループ「ウータン・クラン」のリーダーでもあるRZAや、ファレル・ウィリアムス、ルーペ・フィアスコといったアーティストたちもこぞって日本のアニメ&コミックカルチャーから受けた影響を語ってきた。

そして近年、アメリカの若きヒップホップ・アーティストと日本のアニメ&コミックカルチャーの距離はますます近くなるばかり。彼らのリリックに目を通すと、「Goku(悟空)」「Yugioh(遊戯王)」「Naruto(ナルト)」といった固有名詞が頻出する。もちろん「Pikachu(ピカチュウ)」「Pokemon(ポケモン)」も人気だ。

また、現時点において最先端のヒップホップ・カルチャーと日本のアニメ&コミックカルチャーを最も端的に結び付けているラッパーといえば、1994 年生まれのリル・ウージー・ヴァートだろう。自らの体にゲームキャラクターのタトゥーを彫ったり、『千と千尋の神隠し』(2001)のTシャツを着てライブに登場したりするなど、“ギークネス” をアピールしてきた彼だが、最新アルバム『Eternal Atake (Deluxe): LUV vs. The World 2』でもハッキリとその世界観を表している。

収録曲「You Better Move」では“Yu-Gi-Oh, Yu- Gi-Oh, you wanna duel? Blue- Eyes White Dragon, no, I will not lose”と、カードゲーム「遊戯王」に興じながら相手を負かせるline(詩)が登場。ちなみに彼はかなり気合の入った痛車コレクターとしても知られ、ブガッティなどの高級車に惜しげもなくきらびやかなカスタム&ペイントを施しているので、興味のある方はぜひSNS などでチェックされたし。

アニメカルチャーとヒップホップを結び付けるラッパー5選

今回の記事で紹介している音楽のプレイリストをご紹介します。

  1. Hollywood’s Bleeding by Post Malone
  2. ZUU by Denzel Curry
  3. Road To Falconia by Robb Bank$
  4. Inuyasha by XXXTentacion*1
  5. Anime World by SahBabii

文:渡辺志保(わたなべ・しほ)

音楽ライター。主にヒップホップ関連の文筆や歌詞対訳に携わる。これまでにケンドリック・ラマー、A$AP・ロッキー、ニッキー・ミナージュ、ジェイデン・スミスらへのインタビュー経験もあり。block.fm『INSIDE OUT』をはじめ、ラジオMCとしても活躍中。

編集:ENGLISH JOURNAL編集部

※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2020年6月号に掲載された記事を再編集したものです。 

*1:Inuyasha by XXXTentacionは、Spotify非対応の楽曲です