絶賛公開中!『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』来日記者会見レポート

左からクエンティン・タランティーノ、シャノン・マッキントッシュ、レオナルド・ディカプリオ

レオナルド・ディカプリオとブラッドピットの初共演が注目を集める『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』がついに公開。8月26日にはクエンティン・タランティーノ監督、主演のレオナルド・ディカプリオ、プロデューサーのシャノン・マッキントッシュが来日。都内で行われた記者会見の様子をレポートします!

「2人が選んでくれて」実現した初共演

3人が登壇すると、まずは司会者からタランティーノ監督に祝福の言葉が贈られました。監督の妻であるダニエラ・ピックが第一子の妊娠を発表していたのです。「家中に小さなタラちゃんが、たくさんいる日も近いと思います」とタランティーノ監督が応じ、温かいムードで会見がスタートしました。

そんなタランティーノ監督は、ディカプリオとピットにダブル主演をオファーした理由を問われて、こう答えました。

They were perfect for their characters. People have been asking me, how did you choose Leo and Brad? Frankly, it’s more that they chose me. Ha-ha. And I'm lucky enough that I've worked with both of them, and they liked my work and, you know, so , I think my scripts end, end on the, towards the top of the pile. So , I was lucky enough that they both read it and they responded to it, and they responded to the, characters.
(2人がこのキャラクターたちにぴったりだったんです。レオとブラッドをなぜ選んだのですか、とよく聞かれます。正直なところ、[自分が選んだというよりは]彼らが僕を選んでくれたんです(笑)。そして、彼らの両方と仕事をしたことがあったこと、自分の作品を彼らが好きでいてくれたことはとても幸運だったと思います。[たくさん送られてくる]脚本の山のいちばん上に私の脚本があったんでしょう。彼らが2人ともそれを読んでくれ、内容にも、キャラクターにも響くものがあったことがとても幸運でした。)

さらに監督は、今回の映画の主演2人が落ち目の映画スターとそのスタントマンであることに触れ、2人の関係性について言及します。

But you know, since one guy is playing a lead actor, and the other guy is playing his stunt double, you can't just cast any two actors, no matter how good they are or how big they are. They have to work together. You have to believe that they physically ? as different as they are as characters on the inside ? physically , they have to resemble each other . They have to look like each other when they wear the same outfits. One guy has to actually double for the other guy on camera. You needed two actors that you could believe that one could actually double the other one. And so , the fact that it's, like, these two guys, it worked out really fortunate for me.
(しかし、1人の役者が主役を演じ、もう1人がそのスタントマンを演じるのですから、どんなにいい役者でも大物俳優でも、誰でもキャスティングできるわけではありません。2人は一緒に働かねばならないのですから。キャラクターたちの内面が違ったとしても、外見としては、お互いに似ていなければなりませんでした。彼らが同じ衣装に身を包んだとき、お互いに似たルックスである必要がありました。カメラの前で、1人の役者が実際に、もう1人の役者のスタントマンでなければならなかったのです。2人の役者は本当に、1人がもう1人のスタントになれると確信できる人物たちでなければなりませんでした。そして実際のところ、彼ら2人がそうであった、ということは私にとって本当に幸運でした。)

ハリウッドの歴史をたどる旅

本作で落ち目の映画スター、リック・ダルトンを演じたディカプリオは、役作りに当たって入念なリサーチを行ったそうです。

That research in its own right was the realization for me that this movie in a lot of ways is the celebration of our industry, those that have contributed to films and work that we love but may have been forgotten historically. It was an incredible journey for me to go on . And ultimately , how that referred into Rick as a character, I believe, is, a man dealing with his own mortality , realizing that, maybe time has forgotten him, maybe the culture is moving, but he should be thankful for the fact that he's there and present and able to work in a part of this magical world that we call Hollywood.
(この映画に関するたくさんのリサーチをして、ある意味、この映画は僕たちの業界への祝福なのだと認識しました。僕たちが愛する映画や作品に貢献した、しかし歴史的には忘れられてしまった かもしれない 人々[に対する祝福]です。僕にとって、[このリサーチは]とても素晴らしい旅でした。そして最終的には、リックというキャラクターに対して言うと、時代が彼を忘れてしまった かもしれない こと、文化が変わってしまった かもしれない ことを認識しながら、自分の俳優生命の終わりに向き合っている人だと思います。しかし、それでも彼がまだ、ハリウッドという魔法のような世界に存在し、その一員として仕事ができていることに 感謝 すべきだと思うのです。)

映画界での立場について、「ありがたいことに自分はいいキャリアを築けているが、大半の俳優はそうはいかない」とも語っていたディカプリオ。華やかに見えるハリウッドですが、その厳しさが感じられる言葉でした。

「家族」で作り上げる魔法のように素晴らしい作品

会見に同席した本作のプロデューサー、シャノン・マッキントッシュは、撮影現場やクルーの様子をこう語ります。

Making a movie with Quentin is magical, and the set is an amazing place to be . We have what we call “family” on set . And there's many people who’ve worked with since his very first movie, Reservoir Dogs. So the crew are always excited to come back together to work with him.

And in between shots, he's giving them film history lessons. It's we always learn, and we write down what movies and TV shows we should go watch, because he knows more than most anyone on these subjects, more than anyone else I know.

Our crew, when they hear that he's writing, begin to call and ask when do you think it's gonna go because they would quit any other movie to be on his sets. And it's truly a joy to be there and witness it.

(クエンティンと一緒に映画を作ることは魔法みたいで、撮影現場は本当に素晴らしい場所です。現場にはいわゆる「家族」があるんです。彼の最初の映画である『レザボア・ドッグス』から一緒に働いている人が大勢います。撮影クルーは(現場に)戻って彼と一緒に働くことを、いつも嬉しく思っています。

撮影の合間には、クエンティンが映画の歴史の授業をしてくれるんです。毎回、私たちは学び、どの映画やテレビ番組を見るべきかを書き留めます。この話題について、私が知る誰よりも知識がありますからね。

私たちのクルーは、彼が[脚本を]書いていると知ると、いつから撮影が始まると思うかを私に電話して聞いてきます。というのも、彼の現場に参加するためなら、ほかのどんな映画の仕事でもやめるからです。彼の現場に参加して、[映画製作の]目撃者になることは、この上ない喜びなんです。 )

ENGLISH JOURNAL 2019年10月号、本日発売

『ENGLISH JOURNAL』2019年10月号には、レオナルド・ディカプリオに加え、本作での来日はかなわなかったブラッド・ピットのインタビューを収録しています。2人が「タランティーノからハリウッドへのラブレター」だと表現するこの作品の魅力について、余すところなく語っています。

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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』絶賛公開中

www.onceinhollywood.jp

構成・文:江頭 茉里
ENGLISH JOURNAL編集部員。夢は自分が編集した本ばっかりの本棚を作ること。 熱しやすく、冷めにくい。好きなもの・趣味が多すぎるのが悩み。

写真:山本高裕

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