アジアへの海外出張が決まったけど、現地で英語って通じるんだっけ? どれくらい通じるの? という方に向けて、タイ、インド、ベトナム、シンガポールで英語がどれくらい通じるのか、各国の事情に詳しいプロに伺いました。旅行に行かれる方も必見です。
目次
タイの場合:バンコクなら通じる
旅行先としても人気のタイ。工業団地が多いので、海外出張で行かれる方も多いですよね。タイではどれくらい英語が通じるのでしょうか?
書籍 タイとビジネスをするための鉄則55』の著者によると、企業や職場によって差はあるものの、一般的にバンコクのビジネス社会では英語が話せて当たり前だそうです。大企業は英語を話せるスタッフが多く、タイ人の同僚とのコミュニケーションも基本的に英語。タイ人の英語の特徴にはパターンがあるので覚えておけば楽に理解できます。
タイ人の英語の特徴として、間違えやすい英文法があります。
- タイ人が間違えやすい英語の文法
気をつけたいのは時制。タイ語には動詞の時制変化がなく、代わりに過去や未来を示す単語を付け加えます。よってタイ人は英語でも I go to the airport yesterday.やI go to the airport tomorrow.といった表現をしがちです。
また、タイ人独特の発音も事前に知っておくと聞き取れますね。
- タイ人に多い発音
単語やフレーズの最後の部分が伸びて尻上がりになったり(コーラが「コーラー」、テレフォンが「テレフォーン」など)、語末のLがNに近い音になってホスピタルが「ホスピターン」になったりします。また「ゲート」が「ケート」になったり、スズキが「ススキ」になったりといったケースも多々あります。
タイの英語まとめ
- タイのバンコク(企業内)では基本的に英語が通じると思ってよし
- 時制を間違えがち
- テレフォーンやホスピターンなど独特な発音が多い
その他、タイ社会については以下の記事でご紹介しています。
タイの英語をもっと知りたい人におすすめの本
この際タイ語を習ってみよう!という方はこちら
インドの場合:ビジネスなら事実上の公用語
「インド英語」をテーマにした書籍が出ているくらい、インド英語に独特なアクセントがあることは有名ですよね。『インドとビジネスをするための鉄則55』の著者によると、インドのビジネスの場で、英語は事実上の公用語になっているそうです。
日本人ビジネスパーソンが取引で接するインド人は高い教育を受けていて、英語に堪能な人が多いでしょう。英語を話すインド人は全人口の1~3割程度と見られますが、そのレベルはさまざまです。高等教育を受けた人の英語レベルが非常に高い一方、限定的な内容についてしかコミュニケーションが図れず、発音に強い癖がある人も少なくありません。
独特なアクセントについては、強弱やリズムがあまりなく、早口で「r」を強く発音する人が多いので、marketは「マルケット」と聞こえてしまうことも。
また、強調したいときに文末にonlyを入れたり、数の単位でthousandやmillionよりも、インドの単位lakh(10万)crore(1000万)を使うなど、インド独特のルールもあります。
インド人の英語が聞き取れない場合は、
Could you please say that again?(もう一度言っていただけますか?)
Could you please speak more slowly?(もっとゆっくり話していただけますか?)
など、遠慮しないで言うことが大事ですよ。
インドの英語まとめ
- 英語はビジネス上は公用語と思ってよし
- インドならではの独特な英語ルールがある
- 聞き取れないときはすぐに伝える
その他、インド英語やインド社会については以下の記事でご紹介しています。
インドの英語をもっと知りたい人におすすめの書籍
インド英語の聞き取り方のコツがわかる本
ベトナムの場合:都市部なら通じる
経済的に急激な発展を遂げたベトナムですが、それに伴い国民の英語力も高くなってきています。『ベトナムとビジネスをするための鉄則55』の著者によると、ベトナムの英語力は日本よりも上と感じることが多いそう。
ハノイやホーチミンといった都市部に住んでいると、日本よりもはるかに英語ができる人が多い印象を受けます。ホテルはもちろん、レストラン、カフェ、コンビニ、ショッピングセンターといったあらゆる商業施設で、最低一人は英語ができるスタッフがいます。
ベトナムでは外国語が話せるかどうかで、就職できる企業も異なり、給与や待遇などが大きく変わってくるため、外国語教育に興味関心が高い傾向にあるようです。
ただ、ベトナム人独特の英語の発音には注意と慣れが必要です。「tr」の発音を「チャ行」で発音するため、知らないと聞き取れないかも。
ベトナムでは「tr」をチャ行で発音します。例えばスーパーマーケットのメトロ(Metro)は「メチョ」、trust(信用する)は「チャスッ」となります。そのほか、train(電車)は「チャイ」、translator(翻訳家)は「チャンスレタッ」のように聞こえます。
また、ベトナム人は単語の語尾の子音を発音しないクセがあり、日本人が聞くと途中で発音するのを止めてしまったかのように聞こえてしまいます。
map(地図)は「マッ」、eight(数字の8)は「エイッ」、rich(裕福な)は「リッ」など。ベトナム人は破裂音や摩擦音といった子音を省く傾向にある
ベトナムの英語まとめ
- ベトナムの都市部では日本よりも英語が通じると思ってよし
- Metro=メチョ、train=チャイなど「TR」の発音に注意
- 語彙の子音を発音しないことに慣れる
その他、ベトナム社会については以下の記事でご紹介しています。
ベトナムの英語をもっと知りたい人におすすめの本
ベトナム語を学んじゃおうという方向けの本
シンガポールの場合:公用語の1つ
シンガポールでは、英語は4つある公用語のうちの1つで、ビジネスでも日常生活でも使われています。シンガポール英語のことを「シングリッシュ」と言いますがどのような特徴があるのでしょうか?『シンガポールとビジネスをするための鉄則55』の著者によると、「シングリッシュ」は中国語やマレー語などの影響を受けているんだそうです。
独特の発音やイントネーション、文法などを持ち、早口で、イントネーションが波のように上下するのが特徴です。文の最後に、日本語で言う「~だね」「~だよ」といったニュアンスで「~ lah(ラー)」や「~leh(レー)」が付いたり、主語が省略されたりします。
ここ最近、標準的な英語を話そうという動きもありますが、シングリッシュを自国のアイデンティティーと考える人も多く、街の中ではシングリッシュが使われています。
シンガポールは国際的な国なので、英語を外国語として学んできた人も多く、発音や文法を気にせず、積極的にコミュニケーションを取ってきます。英語に自信がなくても、ジェスチャーを入れたり、相手もフォローしようとしてくれるので、こちらも積極的に話すことが英語上達への一歩かもしれませんね。
シンガポールの英語まとめ
- シンガポールでは公用語の1つ
- 独特な英語「シングリッシュ」が使われている
- 積極的にコミュニケーションを取ってくれるので安心
その他、シンガポール社会については以下の記事でご紹介しています。
シンガポールの英語をもっと知りたい人におすすめの本
構成・編集:Natsue Tanaka
本文写真:Alice, Julian Yu, Tron Le, Jisun Han from Unsplash
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