生のイギリス英語をたっぷり収録した、リスニング教材が登場!著者は、イギリス英語と大阪弁の達人、川合亮平さんです。本書には、イギリスとイギリス英語好きにはたまらない魅力がいっぱい。早速チェックしましょう!
イギリス現地で生録音した音声
本書に掲載されている英語は、全て川合さんがイギリスで録音してきたもの。
登場するのは、ナレーターやアナウンサーと言った「しゃべりのプロ」ではなく、現地で普通に生活している人たちです。
そのため、話される英語は、決して聞き取りやすいものばかりではありません。意味のないフレーズが混じったり、話のつじつまが合わなかったりする部分もあります。
でも、それこそが「生英語」の魅力!ヘッドフォンで聞いていると、まるで自分がその場にいるかのような臨場感で、話者の息遣いまで伝わってきます。
イギリス英語好きにとって、これ以上の教材はありません。
誌上イギリス旅行が楽しめる!
本書に掲載されている12本の音声は、ロンドンエリア(7本)、ロンドン郊外(3本)、イングランド北部(2本)と、3つの地域で録音されました。
巻頭にはイギリスの地図も掲載されているので、順番に聞いていけば、まるでイギリスを旅しているような気分が味わえます。
特におすすめのインタビューをご紹介します。
5つ星ホテルのシェフが語るアフタヌーン・ティー
「イギリスといえばアフタヌーン・ティー」というイメージを持つ方も多いのでは?
本書では、5つ星ホテル「クラリッジズ」のエグゼクティブ・シェフ、マーティン・ネイル氏にインタビュー。
シェフといえば常に厨房にいるというイメージがありますが、マーティンさんはなかなかアクティブ。食材の生産者に会いに行くことも多いようです。
サンドイッチに使うキュウリや卵の生産者に会いに行ったり、おいしいハムを求めて食肉業者に会いに行ったり。そんな行動をとるのは、マーティンさんが次のように自負しているから(一部言いよどんでいる部分がありますが、本書にはそのまま収録されています)。
So I think that what we need to do is use our British suppliers and encourage them to use -- to - to grow great produce .我々の役割は、イギリスの生産者を積極的に起用して、素晴らしい食材を生産する手伝いをすることなのです。
Because all of our suppliers are partners. They’re not just somebody that brings something in back door everyday. We like to know who they are.イギリスの文化の一角を支えているという、プライドと自信がうかがえますね。なぜなら、すべての食材業者(紅茶・コーヒー製造者を含む)は、我々のパートナーだからです。彼らは、ただ単に厨房の裏に毎日来て、食材を置いていくだけの人たちではありません。我々は彼らのことを(個人的に)知りたいのです。
穏やかでゆっくりした話し方なので、聞き取りやすいのもうれしいところです。
映画『キングスマン』の舞台になった名店が登場!
高級紳士服店が実はどの国にも属さない独立したスパイ組織だった……という設定のアクション映画『キングスマン』。イギリス好きなら見た方も多いのでは。2018年1月には続編も公開され、現在もヒット中ですね。
この映画に出てきた高級紳士服店「キングスマン」の舞台となったのが、本書に登場する実在の店・HUNTMAN(ハンツマン)です。
160年の歴史を誇り、英国産生地を使ったビスポーク・スーツを提供する名店で、顧客には王室関係者や世界各国の著名人がずらり。
ちなみに 、ビスポーク(bespoke)は、be-spoken(話される)から派生した単語で、職人と対話しながら作られる、その人専用の特注品のことです。
本書には、この店で服飾職人のまとめ役を務めるキャンベル・ケアリー氏が登場。彼の言葉からは、真のジェントルマンとは何かを学ぶことができます。
Uh, well , for me, clothes are only the tip of the iceberg, uh, to being a gentleman. I’ve met many a CEO, a head of industry, billionaires. But it’s how you conduct yourself around others, um, no matter , um, who the others are.映画『キングスマン』には、こんな決めゼリフが登場します。私にとって、ジェントルマンであることに、洋服は氷山の一角でしかありません。これまで、数多くのCEOや、業界の大物、億万長者に合ってきましたが、(重要なのは)相手が誰であれ、どのように振る舞うか、ということです。
Manners maketh man.ちなみに maketh は make の古語。このセリフには完全に同意すると、キャンベルさん話しています。マナーが人を作る。
キャンベルさんの落ち着いた語り口は、いかにも老舗の職人という感じ。映画『キングスマン』にもカメオ出演しているそうですよ。今度映画を見るときは、探してみてください。
kingsman-movie.jpまだまだ話を聞いてみたい人がいっぱい!
本書には他にも、ぜひ話を聞いてみたいと思うようなイギリスの人々がたくさん登場します。
映画『ハリーポッター』シリーズで小道具のデザインを一手に引き受けているデザイナーや、イギリスで一番ビートルズに詳しいといわれるツアーガイド、世界遺産グリニッジで働く観光のプロフェッショナルなどなど。
ひと口にイギリス英語と言っても、生粋のロンドナーからアイルランド出身の人まで、なまりも話し方もさまざまで、飽きることがありません。
繰り返し聞いたり音読したりすれば、もちろん英語力アップにも役立ちそうです!
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構成・文:浦子
GOTCHA!のエディター兼ライター。かつてドラマ『相棒』で右京さんが喜々としてビスポーク・スーツについて語るシーンがあり、「be pork? 豚肉になれ?なんで?」と思っていましたが、本書を読んで謎が解けるとともに、おのれの無知と英語力の低さを深く恥じました。