原爆投下から79年 日米同盟の今後は?【英語ニュースを聞く No-39】
広島市の平和記念公園で開催された平和記念式典で挨拶を述べる岸田文雄首相(出典:首相官邸ホームページ)

注目を集めた海外ニュースを紹介する、英語音声付きの連載。原爆投下から79年を迎えた広島と長崎で、平和記念式典が行われました。

同盟国アメリカでの報道は?

岸田政権は、防衛政策の転換を進めてきました。今や最大の同盟国となっている、原爆投下の当事者・アメリカではどのように報じられているのでしょうか。

Changes in Japan’s Defense Policies

Anchor: And Japan also(*1) this week marked the 79th anniversary of the bombings on Hiroshima and Nagasaki at a time when the entire country is changing its attitude towards war. Henry Ridgwell reports.

Reporter: At 8:15 a.m. on Tuesday – the exact time that the atomic bomb exploded 600 meters above Hiroshima on August 6, 1945 – Japan held a minute’s silence to remember the horrors visited on the city.

The manner of Japan’s defeat changed the country, driving an aversion to war and military power that lasted for generations. But analysts say that is changing – as the country faces numerous regional threats.

Yee Kuang Heng (Professor, Graduate School of Public Policy, The University of Tokyo): The(, uh,) DPRK's nuclear missile(, uh,) programs,( uh,) Chinese military assertiveness, territorial claims in the East China Sea, Russia's(, uh,) closer military cooperation with China in the past couple of years.(*2)

Reporter: Those threats prompted Japan to last year announce a doubling of defense spending to 2 percent of GDP by 2027.

Last week, the United States – Japan’s closest ally – announced a major upgrade of its military command in the country. Tokyo has repeatedly sought assurances from the U.S. that it would be prepared to use “extended deterrence” or its nuclear weapons to defend Japan.

Responding to Japan’s changing military posture, China last month said that Tokyo needs to “seriously reflect on its history of aggression.”

Analysts say Japan is facing up to multiple threats – not least from China itself.

VOA News, August 8, 2024

  • (*1) also:
    元の放送では直前にも日本に関する内容を伝えており、それを受けている。
  • (*2) ※編集部注:
    文意に合わせ、つなぎ言葉「uh」をカッコでくくる処理をしています。

日本の防衛政策の転換

キャスター:そしてまた日本は、国全体が戦争への姿勢を変えつつある中、今週、広島と長崎への爆撃から79周年を迎えました。ヘンリー・リッジウェルがお伝えします。

レポーター:火曜午前8時15分、1945年8月6日に広島の上空600メートルで原子爆弾が爆発したのとちょうど同じ時刻に、日本は1分間の黙とうを行い、この街を襲った恐怖に思いをはせました。

日本の敗戦のしかたは国を変え、戦争と軍事力に対する何世代にもわたる反感を駆り立てました。しかし、日本が数々の地域的脅威に直面するにつれ、それは変わりつつあるとアナリストは言います。

ヘン・イクァン(東京大学公共政策大学院教授):北朝鮮の核ミサイルの計画、中国の軍事的主張、東シナ海における領有権の主張、ロシアのここ数年にわたる中国とのより緊密な軍事的協力。

レポーター:こうした脅威に促され、日本は昨年、防衛支出を2027年までにGDPの2%に倍増させると発表しました。

先週、日本の最も親しい同盟国であるアメリカは、在日米軍司令部の大幅な格上げを発表しました。日本政府はアメリカに対し、同国が日本防衛のために「拡大抑止」や核兵器を使用する用意があるという確約をたびたび求めてきました。

軍事に対する日本の姿勢が変化しているのに反応して、中国は先月、日本政府が「侵略の歴史を真摯に省みる」必要があると述べました。

アナリストによると、日本は、複数の脅威、特にその中国からの脅威に立ち向かっています。

語注

語句意味
mark(記念日など)にあたる、~を記念する
bombing爆撃
atomic bomb原子爆弾
silence黙とう(通例 a ~)
defeat敗北、敗戦
drive~を駆り立てる
aversion反感、嫌悪、忌避
military power軍事力
numerous多数の
the DPRK北朝鮮
※Democratic People’s Republic of Korea
 (朝鮮民主主義人民共和国)の略
nuclear missile核ミサイル
assertiveness主張の強さ
territorial claim領有権の主張、領土の要求
East China Sea東シナ海
prompt ~ to ...~に…するよう促す
double~を2倍にする
defense spending防衛支出
ally同盟国、協力者
upgrade格上げ
※ここでは、在日米軍を、作戦指揮の
 権限を持つ「統合軍司令部」として
 再編成することを意味する。
military command軍司令部
Tokyo日本政府
※首都名によってその国の中央政府を
 表している。
seek ~ from ...…に~を求める、…から~を引き出す
assurance保証、確約
extended deterrence拡大抑止
※ある国が、同盟国が攻撃を受けた際に
 報復を行うという意思を示しておくこ
 とで、その同盟国への攻撃を防ぐこと。
posture姿勢
reflect on~を熟考する
aggression侵略、攻撃
face up to~に立ち向かう
ENGLISH JOURNAL編集部
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