注目を集めた海外ニュースを紹介する、英語音声付きの連載。ロシアの侵攻開始以来、約50万人のウクライナ移民がアメリカに移住したといわれています。彼らが直面する最大の課題――それは医療を受けること、そして仕事を見つけることです。
言葉の壁、医療の壁を共に乗り越える
今回は、コロラド州のクリニックで働くウクライナの人々にスポットを当てます。患者が抱える問題、そして医療従事者が提供するヘルスケアとは?
Colorado clinic provides Ukrainian refugees with care in own language
Narrator: Liana Marienko came to Denver, Colorado in the fall of 2022. In her native town of Vinnytsia she was working in diagnostics[diagnostic] medicine〔*1〕. In Colorado, Marienko found a similar job from the owner of a local clinic.〔*2〕
Marienko (clinic employee)〈voice of interpreter〉: One morning she called me, said she knew I had a medical degree and told me she had a job at the clinic for me.
Narrator: That “she” is Ellie Titarenko, who came to the U.S. from Ukraine over two decades ago.
Titarenko (clinic owner)〈voice of interpreter〉: It was really important for me to help people who only just came here from Ukraine, who may not be able to speak English very fluently yet.
Narrator: In 2021, Alina – or “Ellie” – Titarenko opened Arvada West Family Medicine Clinic in Arvada, Colorado, northwest of Denver. Every month the clinic sees some 500 patients. About 80 percent of them are Ukrainian.
Anna Parsaeva (patient)〈voice of interpreter〉: When we arrived, we had problems with insurance and a language barrier. Ellie helped us a lot. She told us what to do.
Hanna Leskiv (patient)〈voice of interpreter〉: I had problems with blood pressure in Ukraine and Alina helped me normalize that, and then got me my medicine.
Titarenko (clinic owner)〈voice of interpreter〉: It breaks my heart that war alters human psychology to the point where they stop valuing what should be most precious – their life. We teach patients how to live one day at a time, because worrying about the future brings anxiety; worrying about the past often leads to depression.
Narrator: Today, seven out of ten staff at the clinic are Ukrainians, and many more are interning at the clinic. In the future, Titarenko hopes to open another clinic in Colorado and employ more Ukrainian professionals there.
ⒸVOA News, May 19, 2024
- 〔*1〕音声内の英語の間違いを[ ]内で編集部が訂正しています。
- 〔*2〕 Marienko found a similar job from the owner of a local clinic.
「Marienko was offered a similar job by the owner of a local clinic.」と言おうとしたと思われる。
コロラド州のクリニック、ウクライナ難民に母国語でヘルスケアを提供
ナレーター: リアナ・マリエンコは2022年秋にコロラド州デンバーにやってきました。故郷の町ヴィーンヌィツャでは診断医学に携わっていました。彼女はコロラドの地元クリニックのオーナーからも同じような仕事を紹介されました。
マリエンコ(クリニックの従業員)〈通訳の声〉: ある朝、彼女は私に電話をしてきて、私が医学の学位を持っていることを知っていて、クリニックに仕事があると知らせてくれたのです。
ナレーター: その「彼女」とは、20年以上前にウクライナからアメリカにやってきた、エリー・ティタレンコです。
ティタレンコ(クリニックのオーナー)〈通訳の声〉: ウクライナからアメリカに来たばかりで、まだ英語を流暢に話せない人々を助けることは、私にとって本当に重要なことでした。
ナレーター: 2021年、アリーナ(エリー)・ティタレンコはデンバー北西部のコロラド州アーバダに「アーバダ・ウエスト・家庭医療クリニック」を開業しました。このクリニックには毎月500人ほどの患者が訪れます。その約80パーセントがウクライナ人です。
アンナ・パルサエヴァ(患者)〈通訳の声〉: 来院したとき、私たちには保険の問題と言葉の壁がありました。エリーは私たちを大いに助けてくれました。何をすればいいのかを教えてくれたのです。
ハンナ・レスキフ(患者)〈通訳の声〉: 私はウクライナで血圧に問題があったのですが、アリーナはそれを正常化する手助けをしてくれ、そして薬も処方してくれました。
ティタレンコ(クリニックのオーナー)〈通訳の声〉: 私が心を痛めているのは、戦争が、本来最も尊いものであるはずの命を大切にしなくなるほどに人間の心理を変えてしまうことです。我々は患者たちに、一日一日をどう生きるかを教えています。なぜなら、将来を心配すると不安になり、過去を気にかけるとうつ病になってしまうことが多いからです。
ナレーター: 現在、クリニックのスタッフ10人のうち7人がウクライナ人で、さらに多くの人々がインターンとして働いています。将来的に、ティタレンコはコロラド州でさらにクリニックを開業し、より多くのウクライナ人専門家を雇用したいと考えています。
語注
語句 | 意味 |
---|---|
diagnostic medicine | 診断医学 |
medical degree | 医学学位 |
blood pressure | 血圧 |
normalize | ~を正常化する |
alter | ~を変える |
to the point where | ~の程度まで |
depression | 〔気持ちの〕落ち込み、意気消沈、うつ病 |
SERIES連載
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