ちょっと気になるニュースな英語②:train bragging

train braggingって「鉄道自慢」?ということは、鉄道マニアが使う言葉?いえいえ、環境問題への意識が高い人たちが使う言葉です。

今回のニュースな英語

train bragging
昨年くらいから話題になっている言葉です。「train(列車)」と「brag(自慢する)」という単語から、「鉄道マニアのこと?」と思ってしまいそうですが、決してそうではありません。鉄道での旅の様子をソーシャルメディアに投稿して、飛行機よりも列車での移動を他の人たちに働きかけることです。

「train bragging」の語源は、スウェーデン語の「tagskryt」。同じくスウェーデン語の「flygskam」から英語にされてよく使われている「flight shaming」(「フライト・シェイミング」または「飛び恥」)と対になった言葉と言ってもいいかもしれません。

二酸化炭素の排出量が多い飛行機の利用を控え、移動には鉄道を使うべきだという考えが、欧米の環境意識が高い人たちの間で広まっているのです。中には、KLMオランダ航空のように「節度をもった飛行機の利用」を呼びかける航空会社も出てきました。こうした 影響 から、ヨーロッパでは実際に飛行機の利用が減少しており、一方で鉄道の利用が増えています。

この言葉がニュースを賑わせている背景

飛行機の移動に比べ、鉄道での移動は環境負荷が 少ない というのは、当然ながら今に始まった話ではありません。例えば日本でも、鉄道各社は環境にやさしい乗り物であることを以前からアピールしています。

ではなぜ今、鉄道での移動が世界でこんなに注目されているのか?というと、2019年に大きな話題となったスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの存在があります。

トゥーンベリさんは昨年9月、米ニューヨークで開催された国連気候行動サミットに出席するためヨットで大西洋を渡りました。その後11月には、気候 変動 枠組条約第25回締約国会議(COP25)に出席するためスペインに向けて再びヨットで大西洋を横断。12月のCOP25終了後は、マドリッドからスウェーデンまで列車で帰宅しました。

こうしたトゥーンベリさんの環境に配慮した考え方や生き方による 影響 は、「Greta Effect 」(グレタ効果)と呼ばれています。

どんなふうに使われている?

今のところ 報道では、「train bragging」について「現象」として取り上げ説明しているものが多く、文章の一部として使われているのはあまり多くはありません。たいていは、名詞形として「train bragging」(またはハイフンを入れてtrain-bragging)という形で使われています。

アメリカの旅行雑誌『コンデナスト・トラベラー』のウェブサイトには、こんな文がありました。

As the idea of train-bragging takes hold , a ride from Chicago to San Francisco gives the bigger picture on this country鉄道自慢という考え方が広がる中、シカゴからサンフランシスコへの鉄道の移動は、この国をもっと大局的に見せてくれる
www.cntraveller.com

ちなみに 、カナダの日刊紙『ナショナル・ポスト』は、カナダの鉄道網はヨーロッパのように発達していないため、鉄道移動ができない場合もあると 指摘 しています。また、時間がないなど飛行機を使わざるを得ない場合もあると書いています。

その代わり、地産地消を心がける(物資輸送による二酸化炭素排出を抑える)とか、車の使用をやめるなど、他の方法で自分なりに二酸化炭素排出の削減に貢献できる方法を探そうと提案しています。

まとめ

新たな旅のあり方を示す「train bragging」は、グレタ・トゥーンベリさんの環境保護に対する考え方からの 影響 「Greta Effect 」の一つと言われています。

「shame」や「brag」だけを取り上げるとネガティブな響きですが、その根底にあるのは、どうすれば地球環境を守れるのかということ。自分なりに何ができるのかを考えてみるのもいいかもしれませんね。

文:松丸さとみ

フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。
Blog: https://sat-mat.blogspot.jp/
Twitter: https://twitter.com/sugarbeat_jp

記事中画像: Dennis LarsenPixabay

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