イディオムは、日常生活の中で鮮やかに感情や状況を表現します。この連載では、そうした表現が「どんな意味で」「どんな場面で」使われるのかを、英語学習者の視点で整理していきます。今回取り上げる表現は「the elephant in the room」です。
目次
部屋の中のゾウ⁉ the elephant in the roomの本当の意味は?
「the elephant in the room」というフレーズは、文字通りには「部屋の中のゾウ」という意味です。しかし、イディオムとしては「誰もが気付いているのに、あえて触れない重大な問題」を表します。非常に目立つ問題がそこにあるにもかかわらず、気まずさなどから皆がそれを話題にしない状況を指します。
大きなゾウが部屋の中にいれば、見落とすことはほとんど不可能です。それでも、その存在について誰も口にしないという不自然な場面を思い浮かべることで、問題が明白なのに無視されている状態を印象的に表しています。
現在の意味に近い用例は、20世紀後半に広まりました。1984年に刊行された書籍『An Elephant in the Living Room』には、この表現の意味を生かしたタイトルが使われています。本書は、アルコール依存や薬物依存の問題を抱える親を持つ子どもに向けて書かれたもので、「明らかに存在するのに、家族の中では話題にしにくい問題」を子どもが理解することを目的としています。つまり、「リビングに象がいるほど大きな問題なのに、みんなが見て見ぬふりをしている」というニュアンスです。
the elephant in the roomが使われる場面
the elephant in the roomは、会議や家族の話し合い、社会問題をめぐる議論などで、誰もが重要だと認識しながら避けている話題を指すときに使われます。問題そのものだけでなく、触れにくい人物や事実を表す場合もあります。
この表現は多くの場合、address(~に対処する)、mention(~について述べる)、ignore(~を無視する)、talk about(~について話す)などの動詞と一緒に使われます。例えば、We need to address the elephant in the room.と言えば、「皆が避けている重大な問題に向き合う必要がある」という意味になります。
例文紹介
では、the elephant in the roomの用例を見てみましょう。
Nobody mentioned the elephant in the room: The project was already far behind schedule.
誰も、明白なのに触れにくい問題には言及しなかった。そのプロジェクトはすでに予定から大幅に遅れていたのだ。
Let’s talk about the elephant in the room before we make a decision.
決定を下す前に、誰もが避けている重大な問題について話しましょう。
elephantを使った他の表現
英語には、elephantの大きさや賢さを生かした表現が他にもあります。ここでは、代表的なものを紹介します。
a white elephant(費用ばかりかかる無用の長物)
維持費が高いのに役に立たない建物や設備、所有物などを指します。価値がありそうに見えても、持て余してしまうものに使われます。have a memory like an elephant(非常に記憶力がよい)
ゾウは物事をよく覚えているとされることから、長い間忘れない優れた記憶力を表します。これと似た表現で、An elephant never forgets.(ゾウは決して忘れない)ということわざがあります。執念深いことを表したり、過去の出来事を長く覚えていることを冗談めかして表す場合もあります。see the elephant(世の中の現実や珍しいものを実際に経験する)
主にアメリカ英語の古い表現で、見聞を広めることや、戦争などの厳しい現実を経験することを表してきました。
まとめ
the elephant in the roomは、「誰もが気付いているのに、あえて触れない重大な問題」を表すイディオムです。部屋の中の大きなゾウを無視するという不自然なイメージが、問題の明白さと話題にしにくい空気の両方を伝えます。addressやignoreなどの動詞との組み合わせにも注目すると、使い方がつかみやすくなります。
聞く・読む・解く・続く!アルクの語学学習アプリ「booco」
語学学習アプリ「booco」なら、アルクの語学学習書をスマホで手軽に学べます。
「キクタン」などアルクの人気書籍800冊以上の音声を聞けるのはもちろん、「読む」機能では電子書籍を利用できます。書籍の内容を基にした問題を解いて、力試しや復習ができる「クイズ」機能も!boocoにはログイン機能があるので、学習の進捗などのデータは保管され、機種変更をしても続きから学習を再開できるので安心です。
さらに、Plusプランに加入すれば200冊以上の書籍が学習し放題!
boocoでは、次のような使い方ができます。
- アルクの語学書の音声を聞く
- 電子書籍を読み、しおりを付けて続きから学ぶ
- 単語・並び替え・ディクテーションなどのクイズで力試し
- 学習時間や連続学習日数を確認して目標達成を目指す
- 復習機能で知識を定着させる
- 「今日の一題」で毎日気軽に英語に触れる
聞く、読む、問題を解く、振り返る――毎日の学習をboocoで始めてみませんか?
(※利用できる機能は教材によって異なります。)
