イディオムは、日常生活の中で鮮やかに感情や状況を表現します。この連載では、そうした表現が「どんな意味で」「どんな場面で」使われるのかを、英語学習者の視点で整理していきます。今回取り上げる表現は「get someone’s goat」です。
誰かのヤギを手に入れる⁉ get someone’s goatの本当の意味は?
「get someone’s goat」というフレーズは、文字通りには「誰かのヤギを手に入れる」という意味です。しかし、イディオムとしては「人をいら立たせる」、「人を怒らせる」という意味で使われます。人の言動や状況が神経に障り、腹立たしく感じられることを表す、くだけた言い回しです。
この表現は20世紀初頭のアメリカで使われ始めたとされていますが、詳しい由来は分かっていません。かつては、競走馬を落ち着かせるためにヤギを一緒に飼っており、ライバルの馬の持ち主がわざとヤギを持ち去り、馬の落ち着きを失わせたことに由来するという説もあります。ただし、これは広く知られた説ではあるものの、裏付けはなく、確かな語源とはいえません。
形としては、someone’sの部分にmy、your、his、herなどを入れて使います。例えば、That really gets my goat.なら、「それには本当にいらいらする」という意味になります。
get someone’s goatが使われる場面
get someone’s goatは、繰り返される迷惑な行動や、不公平な態度、ちょっとした癖などに腹が立つ場面で使われます。深刻な怒りというよりも、「どうにもしゃくに障る」「いらいらさせられる」といった感情を表すことが多い表現です。
主語には人の他に、行動や状況も入ることがあります。例えば、His constant complaining gets my goat.と言えば、「彼がいつも文句を言っているのにはいらいらする」という意味になります。日常会話や親しい間柄でよく使う表現なので、注意してください。
例文紹介
では、get someone’s goatの用例を見てみましょう。
It really gets my goat when people interrupt me.
人が私の話を遮ると、本当にいらいらする。
Her careless attitude is starting to get his goat.
彼女の不注意な態度に、彼はいら立ち始めている。
goatを使った他の表現
英語には、goatを使った表現が他にもあるので見てみましょう。
GOAT(史上最高の人・もの)
Greatest Of All Timeの頭文字を取った表現です。スポーツ選手やアーティストなど、その分野で史上最高と評価される人を表します。また形容詞として、非常に優れているものや素晴らしいものを表す際に、goatedという言葉もよく使われます。scapegoat(身代わり、責任を押し付けられる人)
本来の責任者に代わって、失敗や問題の責任を負わされる人を表します。日本語でも「スケープゴート」という表現がありますね。separate the sheep from the goats(優れた人とそうでない人を分ける)
人々を価値や能力によって二つの集団に分けることを表す、聖書に由来する表現です。やや硬い響きがあります。play the goat(ふざける、ばかなまねをする)
主にイギリス英語で、周囲を笑わせようとしてふざけたり、ばかな振る舞いをしたりすることを表します。
まとめ
get someone’s goatは、「人をいら立たせる」「人を怒らせる」という意味で使われる、くだけた表現です。詳しい由来は不明ですが、20世紀初頭のアメリカで使われていたことが確認されています。someone’sの部分をmyやyourなどに置き換え、何かが誰の神経に障るのかを表します。
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