英語を話したり書いたりするとき、いつも同じ表現を使い回してしまっていませんか?幅広い表現をストックしておき、日本語からの直訳に頼らず話せるようになると、意図をより的確に伝え、洗練された印象を与えることができるようになります。本連載では、国連英検特A級(外務大臣賞)、英検CSEスコアSpeaking満点の英語講師・ まんちゅう 先生が、表現のマンネリから脱するためのポイントを全6回で紹介します!
目次
thinkを言い換えよう
「~と思う」を英語で言いたいとき、私はまずI think ...が浮かびます。もちろん、それで十分自然に伝わる場面はたくさんありますが、日本語の「思う」は、「質問されて意見を述べるとき」「周りの情報から判断するとき」「実際に試してみて感想を言うとき」など、様々な場面で使われます。I think ...以外の表現も手元に持っておけると、「何を根拠に」「どんな態度で」そう思っているのかを的確に表すことができます。そこで今回は、「思う」を表すI think以外の6つの表現を見ていきます。
1. 「私なら~だと思う」と自分なりの意見を述べるとき
I’d say ...
A: What’s the hardest part of learning English?
英語を学ぶ上で一番難しいことって何だろう?B: I’d say finding opportunities to actually use it.
実際に英語を使う機会を見つけることだと思うよ。
I’d say ...は、特に、答えを一つに決められない質問に対して、「私ならこう答える」と自分なりの意見を伝えるとき使いやすい表現です。I’d は I would の縮約形です。would が入ることで、唯一の正解として断定せず、「答えは色々あると思うけれど、私ならこれを挙げる」というニュアンスを出すことができるので、私もよく使います。
また、意見を求められたときだけでなく、おおよその数字を答えるときにも使えます。How many people were at the party?(パーティーには何人来た?)と尋ねられて I’d say about twenty. と言えば、「20人くらいかな」と、自分なりの見積もりを示せます。
また、否定形のI wouldn’t say ...は、何もないところから感想を述べるというより、相手から「○○と思うのか」と尋ねられた場合など、すでに候補に挙がった評価を「そこまでは言わない」と調整するときによく使われます。「そこまで言うつもりはない」とはっきり言いたいときは、I wouldn’t go so far as to say ...が使えます。
【I’d say ...の使用例】
- [友人から、旅行のプランを2つ提案されて]I’d say the second one. 僕なら2つ目かな。
- [上司から作業にかかる期間を聞かれて]I’d say about a week. 1週間くらいですかね。
- [同僚に、英語での会議が大変か尋ねられて]I wouldn’t say it’s hard, exactly. It just takes a lot more energy. 難しいとまでは言わないけど、とにかく体力を使うんだよね。
2. 「まあ、そうなんだろう」と受け入れるとき
I suppose ...
A: Are you going to apologize to her?
彼女に謝るつもり?B: I suppose I should. I was pretty harsh.
まあ、謝った方がいいんだろうね。かなりきつい言い方をしたし。
I suppose ...は、「おそらくそうなのだろう」と、少し距離を置いて自分の考えを述べる表現です。例文の会話では、自分の言動を振り返って、迷いがありながらも謝るべきだと認める響きが出ています。I think I should apologize. なら、自分で考えた結果、「謝るべきだ」と判断していることをまっすぐ伝える感じがします。I suppose I should. には、「できれば認めたくないという気持ちはありながらも、事情を考えれば謝った方がよいのだろう」と、結論を受け入れるニュアンスが含まれます。
似た表現の I guess ... も、確信を抑えて「たぶん~だと思う」という意味で使われます。使われる場面は I suppose ... とかなり重なりますが、I guess ... は特にアメリカ英語のくだけた会話でよく聞かれます。
【I suppose ...の使用例】
- [同僚から会議の延期を知らされて]Oh well. I suppose that gives us a bit more time to finish the slides. まあ、そのぶんスライドを仕上げる時間ができたと思おう。
- [家族から、引っ越し物件の契約を焦らない方がよいと言われて]I suppose you’re right. We don’t have to decide today. まあ、そうだね。今日決める必要はないしね。
- [同僚に、今日の歓迎会に顔を出すか尋ねられて]I suppose so. Just for an hour, though. まあ、そうだね。1時間だけだけど。
3. 「実際に接して~だと思った」と評価するとき
find O C
A: What did you think of the film?
あの映画、どうだった?B: I found it surprisingly dark for a film with such cute characters.
あんなにかわいいキャラクターが出てくる映画にしては、意外とダークだなと思った。
findは「見つける」という意味でよく知られていますが、find O Cの形では、何かに接して「OをCだと感じる」「OはCであると評価する」という意味になります。先日私が見た映画は、キャラクターはかわいらしい一方で、ストーリーは意外と重く、不穏なところがありました。例文のように言えば、「作品を見た結果、自分がそのように思った」ということが伝えられます。
I thought it was surprisingly dark. でも自然ですが、findを使えば、作品に触れた自分がどのように感じ取ったかを前面に出せます。逆に、見ていない映画について I found it boring. などとは言えません。findは、実際に食べたもの、訪れた場所、使った商品などについて、自分なりの評価を伝えるときに使いやすい単語です。
また、下の使用例の3つ目のように、find it + 形容詞 + to do の形でもよく使います。
【find O Cの使用例】
- [最近見た映画について感想を問われて]I found it a bit slow at first, but the second half was really good. 最初はちょっと展開が遅いと思ったけど、後半はすごくよかったよ。
- [最近読んだ本についての話題で]I found it surprisingly accessible. I thought it would be much more academic. 読んでみたら、意外と読みやすかったよ。もっと学術的な本だと思ってた。
- [在宅勤務についての話題で]I find it hard to focus at home, so I usually come into the office on Mondays. 家だとどうも集中しにくくて、月曜はたいてい出社してるんだ。
4. 「手がかりから判断する限りでは」と伝えるとき
As far as I can tell, ...
A: Is the dog feeling any better?
ワンちゃん、少しは元気になった?B: As far as I can tell, yes. He finished his breakfast and even wanted to go for a walk.
見る限りではね。朝ごはんを全部食べたし、散歩にも行きたがっていたよ。
As far as I can tell, ...は、「自分で確認できる手がかりや情報から判断すると~だと思う」と伝える表現です。as far asは「~の範囲で」、tellはここでは「伝える」ではなく「(様子から状況を)見分ける/判断する」という意味です。
例文の場合、「体調は、外からはっきりとは分からないけれど、今見えている様子から判断する限りでは大丈夫そうだ」と伝えています。単に自信がないのではなく、「現在得られる手がかりから言えるのはここまで」と、自分の判断の範囲を示す点で、控えめな言い回しとして重宝します。
同じような意味でFrom what I can tell, ...と言うこともできますので、さらなるバリエーションとして覚えておくとよいでしょう。
【As far as I can tell, ...の使用例】
- [レンタカーを返す前に友人から、車に傷が付いていないか尋ねられて]As far as I can tell, there’s no damage. 見る限り、傷はなさそうだよ。
- [ホテルでWi-Fiが使えず、同行者から、ホテル全体で止まっているのかと尋ねられて] As far as I can tell, yes. A few other guests are having the same problem. 見る限り、そうみたい。他の宿泊客も何人か同じことで困ってるよ。
- [同僚から、新しいシステムが正常に動いているか確認されて]As far as I can tell, yes. I’ve been using it all morning and haven’t had any problems. 見る限りではね。午前中ずっと使ってるけど、特に問題はないよ。
5. 「私の理解では~」と伝えるとき
My understanding is that ...
A: Can we cancel our hotel booking without paying a fee?
ホテルの予約はキャンセル料なしで取り消せるの?B: My understanding is that we can cancel for free up to 48 hours before check-in.
チェックインの48時間前までなら無料でキャンセルできたと思うよ。
規則や予定のように、自分の意見ではなく「どこかで決まっていること」について話す場面では、I think ... だと推測に聞こえてしまうことがあります。My understanding is that ... は、説明を読んだり話を聞いたりして得た情報に基づいて、「私はこう理解している(違っていたら訂正してほしい)」と伝える表現です。上で紹介したAs far as I can tell, ... は自分で得た手がかりに基づきますが、My understanding is that ... は、人から聞いた話や読んだ説明に基づくと言えます。
また、My understanding was that ...と過去形にすることで、相手の認識の間違いを角を立てずに指摘できます。
My understanding is that ...と同じように使える表現に、As I understand it, ...があります。また、「自分の理解が合っているか相手に確かめる」場合には If I understand correctly, ... 、「記憶や認識に誤りがないことを確認したい」場合には If I’m not mistaken, ... が使えます。
【My understanding is that ...の使用例】
- [一緒に旅行している友人から、朝食が料金に含まれているか尋ねられて]My understanding is that breakfast is included in the price. 朝食は料金に含まれていたと思うよ。
- [次回の打ち合わせの日程について確認されて]My understanding is that we’re meeting again next Thursday. 次回は来週の木曜日だと認識しています。
- [打ち合わせで、同僚が「締め切りは来週末だよね」と言ったのを受けて]Oh, really? My understanding was that it was due this Friday. え、そうなの? 今週の金曜が締め切りだと思ってたけど。
6. 「~という印象が浮かぶ」「ふと~だと感じる」と伝えるとき
It strikes me that ... / S(人) strikes me as C
A: You’ve met Samantha a few times now. What do you think of her?
サマンサには何度か会ったことがあるよね。彼女のことどう思う?B: It strikes me that she remembers tiny details about everyone. She asked me about a book I mentioned weeks ago.
人についての細かいことまで覚えている人だなと思う。何週間も前に話した本について聞いてくれたんだ。
It strikes me that ... は、人とのやり取りや体験を通じて、自分の意識に浮かんだ印象を伝えるときに使います。strikeには「打つ」という意味がありますが、自分の中から意見を出すというより、それまでのやり取りや体験から「そういえば、こんな印象だな」と降ってきた印象をそのまま伝えるようなイメージです。
人についての印象を言うときは、He strikes me as a good listener.(彼は聞き上手な印象だ) のように人 strike me as ~の形もよく使います。また、出来事を振り返るときはWhat struck me was ...が定番です。
類似表現として、 I get the impression that ... があります。It seems to me that ...も似ていますが、こちらは、ふと浮かんだ印象というより、自分なりに考えた解釈を控えめに示す表現です。
【It strikes me that ...の使用例】
- [生成AIの普及による仕事の変化について話していて]It strikes me that we spend less time writing things from scratch now, but more time checking whether they’re actually right. 最近はゼロから文章を書く時間は減ったけど、それが本当に正しいか確認する時間は増えたと思う。
- [友人と、共通の知人について話していて]It strikes me that he’s a really good listener. He rarely interrupts anyone. 彼って、本当に聞き上手な人だなと思う。人の話をほとんど遮らないよね。
- [公共交通機関を利用していて]It strikes me that hardly anyone pays in cash anymore. 現金で払う人ってもうほとんどいないんだなと思うよ。
「思う」に至る道筋まで言葉にする
thinkは便利な単語なので、使いすぎを恐れて不自然に言い換える必要はありません。ただ、「~だと思う」の中身を見てみると、状況によって様々な表現が使える余地があります。自分の判断を差し出すなら I’d say、気は進まないけれど受け入れるなら I suppose、実際に接してみた評価なら find、自分で確かめた範囲で言うなら As far as I can tell、人から得た情報に基づくなら My understanding is that、ふと印象が浮かんだなら It strikes me that。こうした表現を自然に言えるように練習すると、自分の考えをより正確に伝える助けになるはずです。次回もお楽しみに。



