英語を話したり書いたりするとき、いつも同じ表現を使い回してしまっていませんか? 幅広い表現をストックしておき、日本語からの直訳に頼らず話せるようになると、意図をより的確に伝え、洗練された印象を与えることができるようになります。本連載では、国連英検特A級(外務大臣賞)、英検CSEスコアSpeaking満点の英語講師・ まんちゅう 先生が、表現のマンネリから脱するためのポイントを全6回で紹介します!
目次
importantを言い換えよう
「〜が重要だ」「大切なんです」と言いたいとき、すぐにimportantが連想されないでしょうか。便利な語ではありますが、何にでも使えるぶん、何度も使うと伝えたいメッセージが薄れてしまうかもしれません。
それに、ひとくちに「重要だ」と言っても、「自分にとって大事」なのか、「相手のために勧めている」のか、「世の中一般にとって重要だ」と論じているのかで、英語では自然な言い方が変わってきます。
importantを言い換える手立てをいくつか持っておくと、同じ「重要だ」でも、誰にとっての、どんな重要さなのかを的確に示せるようになり、英語らしい歯切れも出ます。
今回は、これらの言い換え表現を場面ごとに紹介していきます。
1. 「これは欠かせない」と勧めるとき
essential
A: Can I skip the warm-up and just start running?
ウォームアップは飛ばして、すぐ走り出してもいい?B: You can, but warming up first is essential. It’s the best way to avoid injury.
いいけど、まず体をほぐすのは欠かせないよ。怪我を防ぐ一番の方法だから。
importantを、より重みのある essential (必要不可欠な)に置き換えた表現です。[S is/are 形容詞]という構造を保ったまま使えるので、importantのマンネリから抜け出す最初の一歩として使いやすいでしょう。
「これがないと成り立たない」という土台やものごとの前提を語るのに向く語といえます。同様に使える語に indispensable (なくてはならない)や vital (極めて重要な)があります。
2. 改まった場で重要さを論じるとき
of vital importance
First impressions are of vital importance. Once formed, they are extremely difficult to change.
第一印象は極めて重要です。一度形成されると、それを変えるのは容易ではありません。
形容詞importantではなく名詞importance(重要性)を使い、それを形容詞 vital (極めて重要な)で修飾した形です。
例文のように、[is/are of 形容詞 importance]の構文で、「どのように重要なのか」を細かく表せます。書き言葉や、改まった議論・説明によく合い、is/are of particular importance(特に重要な)やis/are of central importance(中心的な重要性をもつ)、is/are of paramount importance(何より重要な)のように使います。
3. 自分にとっての優先を伝えるとき
matter(s)
The night bus is so much cheaper, but for me, comfort matters more than price. I’d rather take the train.
夜行バスのほうがずっと安いけど、自分は安さより快適さのほうが大事なんだ。電車にしたいな。
「重要だ」は自動詞 matter 一語でも表せます。とりわけ、what matters to me is ...やfor me, S matter(s) more than ...の形で、自分にとっての優先を述べるのに使える単語です。
一方で、every detail matters(どんな細部も無視できない)のように、結果を左右する要素として論じる使い方もできます。
疑問・否定のDoes it matter? / It doesn’t matter.も会話で頻出。似た意味でmake(s) a difference(差を生む)も使われます。
4. 「これが最優先だ」と一番を示すとき
come(s) first
A: With that workload, how do you make it home for dinner every night?
あれだけの仕事量で、よく毎晩、夕食に間に合うように帰れるね。B: For me, family comes first. The work can wait.
自分にとっては、家族が一番大事なんだ。仕事は後回しでいいから。
「一番大事」「最優先」と言いたいときは最上級the most importantなどを使いたくなりますが、複数の選択肢が並ぶ場面で「他の何よりも先に置く」ことを表すcome(s) firstもよく使われます。
仕事や用事を脇に置いてでも優先するという含みがあり、「自分にとって何が優先か」をはっきり示す場面に向いています。似た表現にtake(s) priority(〜が優先される)などがあります。
5. あれこれ言った後に「要するに大事なのは」とまとめるとき
The main thing is {to do / that S V}
A: So should I work on grammar, or vocabulary, or what?
じゃあ、文法をやるべき? それとも単語? どうすれば?B: Look, the main thing is to keep using it. The rest follows.
まあ、要は使い続けることが大事だね。あとは後からついてくる。
あれこれ説明した後に「いろいろ言ったけど、要するに大事なのは〜」と、核心を一つにまとめる言い方。
「重要だ」と「つまり」の中間のような働きで、話の締めくくりに向きます。似た表現にThe bottom line is ...(結局のところ大事なのは)やWhat it (all) comes down to is ...(突き詰めると・・・だ)があります。
「大事」を、場面の数だけ言い分けよう
importantは便利だからこそ、つい頼りたくなる言葉です。しかし、今回紹介した表現を身に付ければ、「大事」の一語では表しきれないニュアンスまで、より細やかに伝えられるようになります。
importantが頭に浮かんだら、一拍おいて、「これはどの“大事”だろう?」と問い直してみましょう。日本語をそのまま英語に置き換えたようなワンパターンな表現から抜け出し、場面に合った、より的確な英語に近づくきっかけになるはずです。
次回もお楽しみに。
