英語を話したり書いたりするとき、いつも同じ表現を使い回してしまっていませんか? 幅広い表現をストックしておき、日本語からの直訳に頼らず話せるようになると、意図をより的確に伝え、洗練された印象を与えることができるようになります。本連載では、国連英検特A級(外務大臣賞)、英検CSEスコアSpeaking満点の英語講師・ まんちゅう 先生が、表現のマンネリから脱するためのポイントを全6回で紹介します!
目次
likeを言い換えよう
何かが好きだな、いいなと思ったときにI likeと言いすぎてしまう。私もこういう悩みを抱えていました。これはやはり「好き」という日本語にlikeという英単語が直結してしまっていることが原因でした。そこで、広く「あるものに好意的な感情を抱いている」と言いたいときに私が使っている6つのフレーズを紹介します。
1. 「純粋に楽しんでいる、好きだ」と伝えるとき
enjoy
A: Do you want to join the basketball club?
バスケ部入らない?B: Maybe. I’ve never really enjoyed team sports, though.
うーん。団体競技はあまり好きじゃなくてね。
enjoyと言えば「楽しむ」の訳語として知られていますが、「やっていて“好きだな”と思う」「実際の経験から“楽しいな” “好きだな”と思える」という意味だと捉えると、likeの類語として認識しやすくなります。たとえば、I enjoy cooking.と言えば、「料理をする時間そのものを楽しんでいる」という感じが出ます。
また、例文のI’ve never really enjoyed team sports.のように否定の形で使うと、I don’t like team sports.「団体競技が好きではない」と直接的に言うのと比べ、「これまでの経験を踏まえて、あまり楽しめない」と柔らかく苦手意識を伝えることができます。
【enjoyの使用例】
- I really enjoy talking to people from different backgrounds. 「いろいろな背景を持つ人と話すのがすごく好き」
- I’ve started enjoying cooking more lately. 「最近、料理が前より好きになってきた」
- I didn’t expect to enjoy it this much. 「こんなにハマるとは思わなかった」
2. likeより強い「好き」を伝えるとき
love
A: What did the client say about the new proposal?
クライアントは新しい提案について何て言ってた?B: She loved it. We’re moving forward next week.
気に入ってくれたよ。来週から進めることになった。
loveは、likeを強調した単語としてなじみがあると思います。ただ、日本語の「愛する」と同じだと考えてしまうと、積極的に使うのが少しはばかられるかもしれません。しかし、loveは、「かなり好き」「すごく気に入った」という感覚でごく日常的に使われます。
アイデアなどを「高く評価する」とき、日本語では「結構いいって言ってくれた」のように具体的な発言内容で表すことが多いですが、それを直訳してShe said it was great.のように言うのではなく、She liked/loved it.のように表すと、相手の好意的な反応をより簡潔に伝えられます。
【loveの使用例】
- I absolutely love it. 「めちゃくちゃ気に入ってる」
- I’d love to try that. 「ぜひそれやってみたい」
- I love that idea. 「そのアイデアすごくいいね」
- You’re going to love this. 「(おいしいものやツール、コンテンツなどを薦めるときに)これ絶対気に入るよ/好きだと思うよ」
3. 「夢中になっている」と伝えるとき
into
A: You’re always talking about that podcast.
いつもそのポッドキャストの話してるね。B: Yeah, I’ve gotten really into it lately.
うん、最近あれがすごく好きでね。
into は、「中に入り込んでいる」というイメージから、「あるものにかなり興味を持っている」「ハマっている」という意味で使えます。I like jazz. のように言えば、普段からジャズが好きだという比較的安定した好みを表せますが、I’m really into jazz these days.とすると、「最近かなりジャズにハマっている」という現在の熱量が出ます。
私自身も、何か新しい分野に興味を持つと、その関連動画を見たり、本を読んだり、しばらく集中的に調べたりすることがあります。そういうときはlikeよりもintoの方が、「今かなりその世界に入り込んでいる」という感覚をよく表せます。
【intoの使用例】
- I used to be really into Japanese rock when I was in high school. 「高校生の頃は日本のロックにかなりハマっていた」
- I’m not really into horror movies. 「ホラー映画はあまり好みじゃない」
4. 「自分の好みにぴったり合っている」と伝えるとき
right up my alley
A: How about getting Thai food for lunch?
昼食にタイ料理はどう?B: Perfect. Spicy food is right up my alley.
いいね! 辛いものは大好物なんだよね。
right up my alleyは、「まさに自分の好みだ」「どストライクだ」と言いたいときに使える口語表現です。単に like を使うよりも、「これは自分の関心や好みにかなり合っている」という感じが強く出ます。alley は「路地」という意味ですが、この表現では「自分の得意分野・好みの領域」といった感覚で捉えると分かりやすいでしょう。
私の場合、山椒や花椒(ホアジャオ)がしっかり効いた、舌がしびれるタイプの担々麺にはかなり惹かれます。メニューに「花椒たっぷり」と書いてあれば、Spicy, tongue-numbing noodles are right up my alley. 「舌がしびれる系の麺、まさに自分好み」と言いたくなります。
【right up my alleyの使用例】
- A documentary about how cities developed would be right up my alley. 「都市がどう発展してきたかを扱うドキュメンタリーなら、まさに自分好みだと思う」
- Anything that combines history, design, and fashion is right up my alley. 「歴史・デザイン・ファッションが組み合わさったものは、完全に自分の好み」
5. 「あるタイプのものが大好きだ」と伝えるとき
I’m a big fan of O.
A: Do you want to try the chocolate cake?
チョコレートケーキ、食べてみる?B: Definitely. I’m a big fan of anything with chocolate in it.
もちろん。チョコレートが入っているものなら何でも大好きなんだ。
fanと言えば、スポーツ選手やアーティストを応援する「ファン」として覚えている人が多いと思います。しかし、I’m a big fan of ...には、「~のファンだ」という意味を表す以外に、食べ物や趣味などについて「~が大好きだ」「~には目がない」という意味を表す使い方もあります。さらに強調したいときは、bigを huge に変えることもできます。
fan はもともと fanatic に由来する語で、「熱心に支持する人」という意味合いがあります。そのため、I’m a big fan of ... には、単なる好みだけでなく「そのタイプをかなり支持している」「そういうものを選びがちだ」というニュアンスも出せます。
反対に、I’m not a big fan of ...と言えば、「~はあまり好きではない」と苦手意識を柔らかく伝えることができ、こちらもよく使われます。
【I’m a big fan of O.の使用例】
- I’m a huge fan of films that leave some things unexplained. 「あえて全部を説明しない映画が大好き」
- I’ve never been a big fan of learning vocabulary from word lists alone. 「単語帳だけで勉強するやり方は昔からあまり好きではない」
- She’s a big fan of keeping things simple. 「彼女は物事をシンプルにするのがかなり好きだ」
6. 「特別な愛着がある」と伝えるとき
have a soft spot for O
A: You still watch that old movie?
あの古い映画、まだ観てるの?B: I know it’s not great, but I’ve always had a soft spot for it.
傑作じゃないのは分かってるけど、昔からなんとなく好きなんだよね。
soft spotは、直訳すると「柔らかいところ」「弱いところ」です。have a soft spot for ...で、理屈では割り切れない特別な愛着や、「どうしても嫌いになれない」という気持ちを伝えられます。例文は、傑作と評価されていないとは分かっていても、昔からなぜか好きな映画についての話です。
ちなみに私は昭和歌謡をギターで弾くのが好きで、今の感覚では少し古く聞こえる曲でも、弾いてみるとメロディーの良さに心をつかまれます。I have a soft spot for old Showa-era pop songs. 「古い昭和の歌謡曲がなんか好きなんだ」と言いたくなります。
【I have a soft spot for O.の使用例】
- I’ve always had a soft spot for old neighborhood bookstores. 「昔ながらの街の本屋にはずっと特別な愛着がある」
- I have a soft spot for songs my parents used to play when I was a kid. 「子どもの頃に両親がかけていた曲には特別な思い入れがある」
- I know the movie is a bit cheesy, but I still have a soft spot for it. 「ちょっとベタな映画なのは分かってるけど、それでもなんとなく好き」
「好き」を、英語の発想で組み立て直す
日本語で「好き」と言いたいときは、広く好意的な感情を持っているときに使うと思います。英語を話すときは、「私が好き」(I like ...)だけでなく、ものを主語にして「自分にとって良い」と表現したり、「ハマっている」(into O)、「目がない」(I’m a huge fan of O)など、様々な表現を感情を込めて伝えるとマンネリ化が避けられます。likeを選択しようと思ったとき、「言いたいのはどういう”好き”だろう?」と一瞬立ち止まってみると、英語らしい表現にぐっと近づく一歩になると思います。私も研究を続けていきますので皆さんの気づきを共有していただけると嬉しいです。次回もお楽しみに!
