現在形なのに未来のこと?決まった予定とwillの違い【時制神経②】

現在形、過去形、現在完了形……。学校で一通り習ったはずなのに、実際に自分で英語を書いたり話したりしようとすると、時制をどう表せばいいのか迷ってしまうことはありませんか?この連載では、大竹保幹先生と一緒に、あらためてじっくり時制と向き合い、問題を解きながら、時制に対する感覚を研ぎ澄ましていきます。第2回もテーマは「現在形」。今回は、未来の予定を現在形で表す使い方や、willを使った場合との違いについて考えます。

現在形の意外な姿

今回も前回に引き続き「現在形」がテーマです。

一般的に「習慣」の意味合いで使われることの多い現在形ですが、それ以外の意味を表すことだってあるんです。今回も現在形の意外な姿をのぞいてみましょう。

部分英訳問題に挑戦!

Q.指定された語を使って、日本語に合う英文を完成させてください。

  We        our rival team in the next round. 【meet】
  私たちは次のラウンドでライバルのチームと対戦します。

(答えは後ほど…)

習慣的なことは明日も続く

毎日6時に起きて会社へ行く準備をしたり、毎週日曜日には決まってテニススクールに通ったりと、私たちにはある程度決まった「習慣」があります。これらを表すのに使われるのが「現在形」だということはみなさんご存じの通りです。

(1) I usually get up at six in the morning.
  私はたいてい毎朝6時に起きます。

(2) My father plays tennis every Sunday.
  うちの父は毎週日曜にテニスをします。

やるべきことが決まっているのは何も個人的な習慣だけではありません。例えば、次の例文のように公共交通機関や施設、お店などは毎日同じ時間に営業が始まります。

(3) The bus comes here at 8:15 on weekdays.
  バスは平日はここに8時15分に来ます。

(4) The city library closes at five p.m.
  市の図書館は午後5時には閉館します。

公共の施設などは個人的な習慣と違って気分で営業日程を変えるわけにもいきませんから、この習慣は明日以降も「確実に行われること」と言えます。こういったことから、動詞の現在形は「ほとんど確実に行われる未来の予定」についても表すことができるのです。

現在形が表す「未来の予定」

現在形で表すことができる「未来」は予定としてほぼ確実に行われると分かっていることです。先ほどの(3)と(4)の例文も時を表す副詞を変えるだけですっかりと印象が変わり、「未来の予定」を表します。

(5) The bus comes here at 9:00 today.
 バスは今日は9時にここに来ます。

(6) The city library closes at three p.m. tomorrow.
 市の図書館は明日は午後3時に閉館します。

営業時間などがいつもと違うわけですが、「もう決まったことです」と言わんばかりですね。もちろん、この用法が使われるのは公共施設に限ったことではありません。

willの未来とはどう違う?

現在形でも未来を表せるとなると、未来のことを述べるときに大活躍する助動詞willとはどう違うのかが気になります。

まずはwillの基本的な意味について確認しておきましょう。

営業時間などがいつもと違うわけですが、「もう決まったことです」と言わんばかりですね。もちろん、この用法が使われるのは公共施設に限ったことではありません。

(7) The talk show starts after the evening news.
  そのトーク番組は夜のニュースの後に始まるよ。

テレビ欄を眺めながら、もしかするとお笑い芸人が楽しいトークを繰り広げる番組がいつ始まるのか話をしているのかもしれません。すでに書かれている番組予定が急に変わることはそうそうありませんから、ほぼ確実に予定されているということを現在形startsで表しているわけです。スケジュール上の事実というくらいに捉えるといいでしょう。

そうそう、この(7)の例文は、未来の予定だけでなく、文脈によっては「いつも夜のニュースの後に始まる」という習慣の意味にも取ることができることを忘れてはいけませんよ。

willの未来とはどう違う?

現在形でも未来を表せるとなると、未来のことを述べるときに大活躍する助動詞willとはどう違うのかが気になります。

まずはwillの基本的な意味について確認しておきましょう。

(8) It will be rainy tomorrow morning.
 明日の朝は雨が降るでしょう。

(9) I’ll go there in time.
 間に合うようにそこへ行くよ。

「未来」を表す助動詞willは、(8)では「〜だろう」とこれから起こると考えられる出来事についての推量を、(9)では「〜するつもりだ」というこれから行おうとしていることについての意志を表しています。mayやcouldなどの助動詞よりある程度強い確信を持って使われる語なので、天気の話をしているときも当てずっぽうで発言しているわけではありません。

ただ、それでも未来のことは誰にもわかりませんから、「絶対にこうなる!」とまで言い切っていないということが重要です。

(10) If you heat ice, it melts.
  氷を温めたら、溶けます。

(11) If you heat this piece of ice, it will melt.
   この氷を温めたら、溶けるでしょうね。

if(もし〜なら)はこれから起こることとセットで使われることが多い語ですが、(10)のように自然現象として絶対にこうなると分かりきっているのであれば、現在形を使うことになります。一方、(11)ではwillが使われているのであくまでも話し手の予測を述べています。

面白いのは、確実な感じを表せるからこそ、現在形は少し怖い意味合いを醸(かも)し出す場合もあることです。

(12) If you are late for the meeting again, you are fired.
  もし会議にあともう一回遅刻しようものなら、君はクビだ。

こういう言い方をされると、次にしくじったときにクビになるのは確実です。will be fired(クビになるぞ)であっても厳しい注意に変わりはありませんが、現在形はより強い警告をしているという感じですね。

部分英訳問題の答え

考えられる答えとしては次のようなものが挙げられますが、ここまで来ればその違いもすぐにわかりますね。

答え(1):We meet our rival team in the next round.
答え(2):We will meet our rival team in the next round.

どちらも日本語にしてしまえば「私たちは次のラウンドでライバルのチームと対戦します。」ですが、(1)では現在形が使われているので、すでに組み合わせが決まっていることになります。

しかし(2)の方には助動詞willがあるのでまだ現段階では次のラウンドの組み合わせは確定しておらず、「このままいけば次のラウンドで当たる」という予測を伝えていることになるのです。

もちろん、次の対戦相手が決まっているときにもwill meetを使うことがありますが、言わんとしていることは同じでも出来事の捉え方が違います。現在形ならスケジュール上決まっていることとして、willならばこれから起こる出来事として考えているというわけです。

英作文に挑戦!

Q.会話文中の日本語を英語にしてみましょう.
Naoto:I want to go out for a drink every weekend ...
Yasu:Even if you want to, 君の奥さんがいいとは言わないよ.

  ↓
  ↓
  ↓
  ↓
  ↓
  ↓

答え:Even if you want to, your wife never says yes.
  またはEven if you want to, your wife won’t say yes.

「毎週末飲みに行きたいなぁ」という気持ちはよくわかりますが、パートナーに許してもらえるかどうかは日頃の行いがものを言います。

never saysやdoesn’t sayのように現在形を使用したなら、ナオトの妻は基本的にそういうことを許可しないタイプの人であることを表します。「いつもそう言う」という感じです。

一方、will not (won’t)を使えばそれはあくまで予測ということになります。「そんなお願いしてみても、ダメって言われるに決まってるよ」とナオトの妻の性格などから判断しているわけです。

どちらも言っていることは基本的に同じですが、ちょっぴり違う。この違いを感じ取れるように「時制神経」を磨いていきましょう。

大竹保幹
大竹保幹

明治大学文学部卒業。神奈川県立多摩高等学校総括教諭。平成23年度神奈川県優秀授業実践教員(第2部門)表彰。文部科学省委託事業英語教育推進リーダー。著書に『 子どもに聞かれて困らない英文法のキソ 』『 まんがでわかる「have」の本 』(いずれもアルク)『APPLAUSE LOGIC AND EXPRESSION Ⅰ~Ⅲ』(開隆堂出版)『CNN Workbook』シリーズ(朝日出版社)など。


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