英語教材は「おすすめ」通りに選ばなくていい | 続く学び方の見つけ方【井上智介(精神科医・産業医)】

良質な英語の教材を検索して、気づいたら数時間経っていた──そんな経験、ありませんか?どれも同じに見えてきて結局よく分からない。教材選びは勉強そのものより疲れることがあります。精神科医・井上智介さんが英語の勉強で一番大事だと考えるのは、「続くかどうか」。どれだけ評判が良くても、自分に合わなければ長続きしません。ではそんな井上さん自身は、どうやって教材を吟味し、何を使っているのでしょうか?

英語の教材選びで疲れないために

はい、どーも!今回で5回目の連載記事です。ここまで離れずに読んでくれてるあなた、本当にありがとう、感謝感激です。今回初めてだよ!って方もぜひ、今までの4回分もぜひ読んでみてくださいね。

さて、前回は「第二言語習得理論ってどうなん?」という軸を立てつつ、英語の勉強法について語らせてもらいました。でね、改めて思うんですが、勉強とは「続くかどうかが最重要ポイント」だと思いませんか。どんなに効率が良くても、どれだけ評判が良くても、あなたに合ってないなら、結局は長続きしないでしょ?だから私は、勉強法の良し悪しには、自分との相性というのをかなり重視しています。

大きな声では言えないけど……英語の参考書の内容って極論をいえば、かなり似たようなことが書かれていたりしませんか。じゃあ、使う側にとって何が大事なのか。見やすさとか、文章のクセとか、読んでいてストレスにならないこととか、そういった自分なりの肌感覚の方が案外大事やったりするんです。

教材は「正解」を探さなくていい

ということで今回は、完全に私の主観だけで「この教材、好き!」というものを紹介しちゃおうと思います。自信を持っておすすめ!とかではなく、私の肌感覚になじむレベルという話なので、万人にフィットするわけではないことを悪しからずご理解ください。その一方で、もし私と感覚が似ているなら共感してもらえるかなとも思ってます。

とはいえ、そもそものなのですが、自分に合う教材を見つけるのって、めちゃくちゃ時間かかりません?「おすすめ英語教材」とかでネット検索して、YouTubeを漁って、Amazonレビュー読みまくって、気づいたら2時間経過。

やっとのことで「推薦してる人めっちゃ多いしこれ良さそうやん!」と思ったのも束の間、動画の説明欄や投稿画像にキラッとひかる #PRの文字。「いや、全部案件やん!」とツッコミを入れて振り出しに戻る、あの無限ループね。

そうなると、ネットの情報に頼るのではなく、本屋さんの語学書コーナーで本を実際に手に取ってみて決めようと思うわけですよ。で、いろいろな本をパラパラめくっているうちに、何も買わずに1時間が経過。「この時間を勉強に充てられたよな……」という考えが一瞬だけ頭をよぎりはするけれど、不思議と「なんとなく賢くなった気分」になれるんよね。いやー、本屋さんって偉大です。

『究極の英語リスニング』シリーズ

そんな迷走の果てに、私がついに出会ったお気に入りの書籍がこちら!

アルクさんの『改訂版 究極の英語リスニング』シリーズです。え?「めちゃくちゃPR案件やん!」って?いいえ、マジで違うので、ここではっきり宣言しておきます!これが売れても私には1円も入りません!ほんまに!ただただ私みたいなひねくれ者との相性がかなり良かっただけです。だから語らせてちょーだい!

まず私なりの使い方ですが、正直、「本書の使い方」として推奨されているルートからはズレています。その使い方は画像を参考にしてください。

リスニング教材だけど「まず読む」でいい

私のやり方はというと、「リーディング→リスニング→音読」の順番。リスニングの書籍なのに、初っ端からスクリプトを読みます。これ、私の中では鉄板ルール。その理由として、「読んでつまらん文章は、聞いても絶対おもんない(面白くない)」という持論があるから。読んでおもろいからこそ、聞いてみよかってなるわけです。

なので、まずは英文を頑張って読んでみて、「お、この話おもろいなぁ」と思えたら音声再生スタート。そして、聞きながら「あ、この単語はこんな風に発音するんや」「ここリエゾンリンキング(2つの音が連結して発音されること)やなぁ」という感じで、音と文字をリンクさせていく。そして、飽きてきた頃に音読して、口も動かしてみる。まあ、この音読パートはまだまだ修行中で、そう簡単にはついていけないんですが(笑)。

そういうわけで、最初にリーディングをするのが自分のこだわり。だから、実は『究極』シリーズで最初に手を付けたのは『改訂版 究極の英語リーディング』なんです。しかし、こっちは残念ながら私には合いませんでした。内容がちょっとお上品すぎて、私みたいな歪んだ心には刺さらんかった……!ハートウォーミングな話も多く、逆に「あー、はいはい」って感じで冷めてしまって、早々にリタイアしてしまいました。

でも、『究極の英語リスニング』は違いましたよ!チャプターが全部で4つあるんだけど、第1〜3章はほぼ会話形式。この中身がなんとも日常的で、かなりリアルで最高。喜怒哀楽でいうところの「怒」と「哀」にあたる内容が多くて、惹きつけられたなぁ。夫婦ゲンカ、モンスタークレーマーの応対、ママ友との愚痴、「子どもってうるさいし、疲れるわ……」なんていうぶっちゃけ老人のひと言などなど、普通の教材では触れへんやろ、なネタ満載です。

それから、医者目線では「絶対にあり得んわ」っていう頭痛の解消法だったり、映画を見たあとの男女のトークが全く噛み合っていなかったり、転職の面談で堂々と「家から近いんで絶対に遅刻しません!」ってアピールする場面とか、もうツッコミどころ満載で、なかなか飽きない。

「英語の勉強をしてる」というより「ドラマのワンシーンを見てる」感覚に近いのよ。書籍に限らず、大体のメディアは「子ども、動物、ラーメンの3つだけは褒めとけ!!」ってノリがあるじゃないですか。あるやんな?でも、『究極の英語リスニング』はそんな“予定調和”をガッツリ覆してくれるから、「おもろい」の一言。

そして何より、主に2人の登場人物による会話ベース(注:一部、登場人物が3人以上の項目もあります)だから、入試のような硬い英文ではなく、“リアルに使う表現”がぎっしり詰まってるんです。そのまま口に出してちゃんと通じそうな表現。会話に臨場感があるからこそ、セリフとして捉えやすく、音読するモチベーションだって下がりにくい。

全部が合うわけじゃない、でもそれでいい

あっ、ただね、第4章だけは正直微妙です……。遺跡の話とか有名絵画の説明とか、いきなり“教科書感”が強くなって、リーディングしてても眠くなります。これだけは、次に「新装版」なんかが出るときに面白くしてほしいなと願ってやみません。というわけで私は第4章を基本的にスルーしてます、ごめんなさい!

ちなみに、この『究極の英語リスニング』は、レベル別にvol.1~4までの4段階あるんですが、1と2は単語がそこまで難しくないという感想。「英語苦手かも」という人でも、単語でつまずくことはあまりないんじゃないかな。むしろ私の場合は、「こんな簡単な単語で、これだけ表現できるんや!」という発見がいっぱいあり、テンション爆上がりでした。私みたいに、少しでも楽して結果を出したい人間からしたら、そういう普段の使い方とリンクする喜びって大事です。

自分の「おもろい」を信じていい

ということで、以上が私の偏愛教材である『究極の英語リスニング』の魅力語りでした。まだ1と2までしかやれてないけれど、このまま頑張って3や4もやってみようと思います。

私と同じような感性で、「この本、気になるな」って思った、そこのあなた!ぜひ本屋さんでパラッとでも見てみてください。もしかしたら、運命の一冊になるかもしれませんよ。その一方で、「『究極のリスニング』っぽい雰囲気で、これもおすすめやで!」って教材があれば、コソっと教えてほしいです。

やっぱり大事なのは、誰かの評価よりも自分自身が「これ、おもろいな」と思えるかどうか。それが、学びを続けるためのポイントですよね。だって、考えてみてください。世間で「これが最高!」「みんな使ってる!」と言われている参考書を買ったとして、最初の3ページで「あ、なんか違うな……」って思っちゃったら、それでもずっと苦虫をかみ潰したような顔のまま、勉強をやり続けますか?って話です。私なら買っただけで満足して、もう開かないパターンですわ。

たとえレビューはついていない本でも、自分が「これ、おもろそう!」と思えたなら、気づけば最後まで読み切っている――そんなものです。何より、前向きに取り組んだことは記憶に残りやすい。そもそもの前提として、“英語の勉強は苦痛”。でも、そこに少しでもワクワクを見つけられたら、それだけで手に取る十分な理由になります。誰かの物差しなんて気にせず、あなたが「おもろい」と感じる肌感覚こそが、最強の学習エンジン。これからも、自分のペースで、自分のやり方で勉強していきましょう!

さあ、次回はついに涙の最終回ですよー!


井上 智介(いのうえ ともすけ)
井上 智介(いのうえ ともすけ)

産業医・精神科医・健診医。島根大学医学部卒。大阪を中心に活動し、産業医としては毎月30社以上を訪問。また、精神科医としてはうつ病、適応障害などの疾患の治療にあたっている。「おおざっぱに(rough)笑って(laugh)生きてほしい」という思いから「ラフドクター」を名乗り、ブログやSNS、講演会などで情報発信している。
・X:@tatakau_sangyoi
・ブログ:たたかう産業医!


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❖ 『考えなくていいこと」リスト:心がスーッと軽くなる49のヒント』

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