TOEIC試験対策の専門家である田邉竜彦さんが、やさしく英文法を解説する本連載。最終回の今回は、not to do(不定詞の否定形)とto not do(分離不定詞)の違いについてです。ネイティブの間でも意見が分かれるこの問題。必ず押さえておきたい内容です。
目次
not to doとto not doの違い
こんにちは。トイグルの田邉です。
英語には、「・・・すること」や「・・・するために」の意味を表す、to不定詞と呼ばれる用法があります。to不定詞は特殊なものではなく、日常英会話でもよく使います。仕組みを知ることで、より多彩な英語表現ができるようになるでしょう。
ただ、to不定詞を使う場面で、否定の内容を表したいことがあるでしょう。そのとき、否定を表す副詞notを、どの位置に使うかが問題になります。
そこで、この記事では、to不定詞を否定にする方法について説明していきます。市販の教科書には載っていないような、生きた英語の知識を盛り込んでいます。ぜひ、最後までご覧ください。
to不定詞の否定はnot to doとするのが普通
to不定詞を否定にする場合、notをtoの前に置いてnot to doの形にするのか、それともtoの後ろにおいてto not doの形にするのか、ネイティブスピーカーの間でも、判断が分かれます。
英文法に関する規範的な考え方を元にすれば、notはtoの前に置くのがよいとされます。次の英文を見てみましょう。
He decided not to attend the meeting.
(彼は会議に出席しないことを決めた)
ここでは、彼が会議に出席しないことを決めたと述べられています。notをtoの前に置くことで、「会議に出席すること」を否定にしています。英文の構造を表すと、次のようになります。
He decided [not to attend the meeting].
もし、英会話や英作文をするにあたって、to不定詞に対するnotの位置で迷ったら、取りあえずtoの前に置いておけば間違いありません。
くだけた文体ではto not doとすることも可能
ただ、上のような考え方に反して、notがtoの後ろに置かれることがあります。次の例文をご覧ください。
He decided to not attend the meeting.
(彼は会議に出席しないことを決めた)
notの位置が変わり、toの後ろに置かれています。規範的な文ではありませんが、比較的くだけた文体では、このような形で用いられることもあります。
通例、notの位置が変わっても意味は同じです。上の例文は、最初の例文と同じく、会議に出席しないことについて述べられています。
分離不定詞はtoと動詞の間に副詞を挿入する用法
なぜ、notをtoの後に入れることができるのでしょうか。この使い方の鍵となるのが、分離不定詞です。これは、副詞(先ほどの場合はnot)をto不定詞の後ろに入れる用法を指します。
notとは別の副詞で、分離不定詞が使われている例を見てみましょう。
She decided to carefully examine the evidence.
(彼女はその証拠を注意深く調べることに決めた)
副詞carefully(注意深く)が、toの後ろに置かれていることが分かります。
分離不定詞はかつて、誤った英文の作り方として批判の対象になりました。現代でも、積極的に用いるのは避けたほうが無難です。
ただし、英語の実際の用法として、分離不定詞が使われることはしばしばあります。良し悪しは別として、こうした用法があることを知っておくことは、リスニングやリーディングなど、英文をインプットする際に役立つでしょう。
まとめ
この記事では、to不定詞を否定にする方法について、分離不定詞の考え方も紹介しながら、説明しました。
内容をまとめると次のようになります。
- to不定詞の否定はnot to doとするのが一般的
- くだけた文体ではto not doとすることも可能
- 分離不定詞はtoと動詞の間に副詞を入れる用法
ぜひとも、参考にしてくださいね。
「3分で分かる英文法」目次
第1回:canとbe able toの違い
第2回:willとbe going toの違い
第3回:mustとhave toの違い
第4回:May I ~? Can I ~? Shall I ~?の違い
第5回:shouldとhad betterの違い
第6回:Will you ~?とCan you ~?の違い
第7回:mayとmight、canとcouldの違い
第8回:wouldとused toの違い
第9回:might have、should have、would haveの違い
第10回:不定詞(to do)と動名詞(doing)の違い
第11回:if I amとif I wasとif I wereの違い
第12回:not to doとto not doの違い
英語力が伸び悩んでいる人にはこちらもおすすめ
英語力が上達しない5つの原因と解決法、早口な英語が聞き取れるようになる3つのポイント、スペリングを簡単に覚えられる3つの方法などを、田邉竜彦さんが解説します。
【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。
語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発
- スマホ相手に恥ずかしさゼロの英会話
- 制限時間は6秒!瞬間発話力が鍛えられる!
- 英会話教室の【20倍】の発話量で学べる!