英検受験を決めたものの、何から手を付けたらいいか分からないという人も多いのではないでしょうか。本記事では、英語コーチの星名亜紀さんが、英検1級に合格した際に実際に使っていたというおすすめの教材を紹介します。
正しい順番での学習がポイント!
皆さんこんにちは!英語コーチの星名です。第3回の今回は、「英検1級を受ける!」と決めたらまず取り組むべきテキストと学習法をご紹介します。
試験対策をする上でテキスト選びは重要ポイントの一つですよね。受けようと決めて張り切って書店に行くと、ずらずらと並ぶ英検1級対策テキスト。どれが良いのか迷ってインターネットで調べてみると、これまたずらずらと出てくるおすすめ書籍の数々。どれが本当に良いのか分からず、とりあえず紹介されていたものをあれこれ買ったものの、うまく使いこなせずモチベーションがガクンと低下。これは私を含め、多くの方が経験することだと思います。
私も、「やると決めたらまずは試験のことを知らなきゃでしょ!」と、過去6回全問題集(過去問)を買ったものの、語彙問題は知らない単語ばかりで消去法を使っても正解にたどり着けず・・・。長文読解は単語が分からなすぎて意味が理解できないので当然問題も解けない・・・。TOEIC L&Rテストで990点満点を取れても、こんなに私の英語力は低いのかと自分自身にがっかり。スタートしたと同時に大きな壁にぶち当たりました。
そのような経験をしたからこそ、英検1級に最短ルートで合格するためには正しい順番で学習に取り組むことが非常に大切だと考えています。英検1級対策におすすめの教材は多くあり、私も2次試験対策を含めると合計10冊くらい取り組みましたが、今回は英検1級を受けると決めたら最初に取り組むべきおすすめテキストと学習法についてお話ししたいと思います。
まずは何よりも語彙力アップを優先!
英検1級の合格には、そのレベルに等しい語彙力を付けることが必須です。まずは単語学習に取り組みましょう。私は先ほどもお伝えしたように、語彙力が完全に不足していたので、最初の2カ月くらいは集中してパス単を使い、単語学習に取り組みました。
こちらの単語帳は頻出度が高い順に分けて単語が掲載されているので、頻出度が高い「でる度A」と「でる度B」をまずはほぼマスターするくらいまで繰り返し学習します。ただ単に単語帳学習をするのが苦痛な方もいると思いますが、語彙力が増えるとみるみる語彙問題が解けるようになりますし、長文も読めるようになっていきます。そう実感するようになるまでは苦しいかもしれませんが、1カ月たつ頃にはご自身の成長が目に見えるようになってくるので、徐々に楽しさや喜びも感じられるようになっているはずです!
でる度Aをほぼマスターし、でる度Bに取り掛かろうかなという頃には、語彙問題のテキストにも取り組むとよいでしょう。
始めのうちは、問題文が読めても4つの選択肢全ての意味が分からず、消去法すら使えないという状態だった私も、語彙力が増すと徐々に選択肢のうち2つ、3つの意味が分かるようになり、消去法を使えば正解にたどり着けるようになりました。だんだんと正答率が上がるのはモチベーションキープに何より貢献してくれるはずです!語彙問題を解く中で知らない単語に出合ったら、パス単の索引をチェック。パス単に載っている単語であればでる順関係なく覚えていきましょう。
試験のことを知るには過去問よりもこれ!
英検1級を受けるには試験のことを知ることが必須。つまり、過去問題集を解くことが欠かせません。しかし、最初から過去問に取り組むとそのレベルの高さに心が折れてしまう可能性が・・・。ということで、まずはDAILY30日間 英検1級集中ゼミに取り組みましょう。こちらは本番レベルより若干難易度が低いので取り組みやすいはずです。
テキストのタイトルには「30日間」とありますが、ちゃんと学習すれば30日間では全く終わらない濃い内容のテキストです。ただ問題を解いて終わりではなく、出てきた単語・語彙で知らないものがあれば全て覚える!長文は解いて終わりではなく、その後何度もすらすらと意味を理解しながら読み進められるようになるまで音読する!など、丁寧に取り組みましょう。私も最初に2カ月くらいかけて、しっかりと取り組みました。こちらのテキストを問題なく解けるようになれば、過去問題集に取り組む準備ができた証拠です。
英検で扱われるトピックに関する知識も大事
単語学習と集中ゼミはかなり学習らしい学習なので、集中力も気合も必要です。「今は長文を読んだり単語を覚えたりする精神的余裕はないけれど、もう少し楽しみながら取り組める内容であれば英語に触れる元気があるかな・・・」。そんなときはYouTubeやTEDトークの時間にしてみましょう。
私が学習でつまずいた原因の一つに、英検で扱われるトピックへの知識が欠けていることがありました。例えば、「原子力発電を全て停止し、水力・太陽光など持続可能なエネルギーに完全移行するべきか」「世界の貧困を完全になくすことは可能か」「テクノロジーは教育を良いものにしたか」「日本はより多くの移民を受け入れるべきか」などのトピックについて、日本語でもいいのでご自身の意見を明確に述べることができますか?YES/NOどちらで答えるとしてもその理由を明確に3つ、できれば具体例も含めて説得力ある回答ができますか?
これまでずっとTOEICの学習をしてきましたが、TOEICで話題となるのはビジネスパーソンが日常で出くわすさまざまなシーン。「悪天候のため飛行機に遅延が発生」「会議室がダブルブッキング」など、普段の生活でなじみがあり想像しやすいようなシーンが多く登場します。しかし、英検1級で出てくるトピックは「国際政治」「経済」「貧困」「環境」「教育」「テロリズム」「テクノロジー」など。大変恥ずかしい話ではありますが、社会人を何年もやってきたのに私にはこれらに関する知識が欠けていたので、自分の意見を述べることができませんでした。英語力以前に、それらのバックグラウンドにある知識を身に付け、まずは自分でそのトピックについて考えてみることが必要だったのです。
私はYouTubeやTEDトークでさまざまな動画を見ましたが、特に環境問題や教育、女性の権利についての関心が高かったので、ミシェル・オバマさんや環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんのスピーチを何度も聞きました。
英検で扱われるトピックを中心に、共感するトークや動画を見つけ、使えそうな表現や具体的な数字(例えば「世界でどのくらいの子供が学校に行けず、児童労働を強いられているのか」「世界でどのくらいのペースで動植物の種が消えているのか」など)をメモしながら繰り返し視聴しました。
こういった動画を見ることは、1次試験の英作文はもちろん、2次の面接対策としても非常に役立ちます。しかし英検対策以上に、「使える英語力を身に付ける」という意味でも大切です。皆さんが英語学習をしているのは単に試験に合格するためではなく、英語を使ってコミュニケーションを取ったり、仕事をしたりしたいという思いがあるからだと思います。残念ながら、海外の人と比べると日本人は世界で起きている問題に関心が低い人が多い気がします。世界で起きていることへの問題意識を高く持ち、自分の意見をしっかりと述べられるようになることは、皆さんが今後、英語をツールとして世界中の人とコミュニケーションを取る上では欠かせないスキルです。
今回のコラムでは「英検1級を受ける!」と決めたらまず取り組むべきことをご紹介しました。次回は2次試験(スピーキングテスト)対策の学習法、私の失敗からの学びについて紹介したいと思います。
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