ビジネスやプライベートの場面における、ちょうどいい「距離感」の英語を学んでいきましょう。今回は、「英語を丁寧に話すための5つのルール」を経営コンサルタントのロッシェル・カップさんに教えてもらいました。5つのルールを基にしたフレーズも覚えて、実際に使ってみてください!
ルール1:相手への質問を付け足す
日本人は英語に自信がないと、相手とのあいさつや会話を短い一言で終わらせてしまうことが多くあります。しかしそれでは素っ気ないように思われ、自分と話したくないのかと相手に誤解を与えかねません。 積極的に相手に質問することで、相手への関心と敬意を示す ことができ、よい雰囲気もつくり出せます。また、質問することは会話の出発点をつくり、情報交換のきっかけにもなるでしょう。
それでは、「ルール1」で品格度がUPしたフレーズを実際に学んでいきましょう!
場面① 以前に何度か会ったことがある人とのあいさつ
△品格不足△
Hello.
こんにちは。
◎品格UP!◎
It’s good to see you again. How’s it going?
またお会いできてうれしいです。調子はどうですか?
あいさつはただ一言のHi.やHello.で終わらせるのではなく、相手と会えた喜びをまず伝えましょう。それから 相手の近況を尋ねることで、その後の会話が広がります 。
場面② 月曜日の朝、同僚と休憩室で会ったときのあいさつ
△品格不足△Good morning!
おはようございます!
◎品格UP!◎
Happy Monday! Did you have a nice weekend?
いい月曜日ですね!楽しい週末を過ごしましたか?
週明けの仕事が始まる月曜日は、誰もが多少ゆううつに感じるものです。それを あえてhappy(幸せな)と皮肉って使う ことがあります。Happy Friday!も、明日から休みでうれしいという喜びを込めて使われるので、ぜひ金曜日に使ってみてください。
ルール2:クッション言葉を使う
誘いを断ったり、意見を否定したり、 相手にとって好ましくないことを伝えるときは「クッション言葉」 を使ってみましょう。冒頭にクッション言葉を添えることで、相手に心構えをしてもらってから言いにくい内容を伝えることができます。なお、このようなクッション言葉を使うことによって、否定的な情報を言わなければならないのは自分の本意ではないということも示唆できます。
それでは、「ルール2」で品格度がUPしたフレーズを実際に学んでいきましょう!
場面① 忙しいので相手からの誘いを断りたいとき
△品格不足△
I’m busy that day.
その日は忙しいです。
◎品格UP!◎
I’m really sorry , I have another job that day.
本当に申し訳ありません、その日は別の用事があります。
I’m sorry(申し訳ありません)というクッション言葉を最初に言う ことで、相手に心の準備をさせてから伝えることができます。「忙しい」とただ断るのではなく、行けなくて本当に残念だという気持ちを相手に伝えましょう。
場面② 依頼について時間的な問題でできないと断るとき
△品格不足△
I don’t have time.
時間がありません。
◎品格UP!◎
I wish I could, but I have two reports due at the end of this week.
できればよいのですが、今週末は2つの報告書の締め切りがあるのです。
I wish I could, but ...(できればよいのですが・・・)を冒頭に添える ことで、ストレートに「できない」と突き放すのではなく、「自分もそうしたいと思っているけれど、できない」と丁寧に断ることができます。
ルール3:まず肯定的なことを言う
何かについて断りたいときに毎回No, thank you.(いいえ、結構です)と言ってしまうと、意思があいまいでわかりづらく、相手も次の機会に誘いにくくなってしまいます。だからと言ってストレートに「忙しい」「無理」などと断ると角が立ってしまうこともあります。そのため、 誘いに対して素直に「うれしい」「とても楽しそう」といったポジティブなことをまず伝える ようにするといいでしょう。
それでは、「ルール3」で品格度がUPしたフレーズを実際に学んでいきましょう!
場面① 相手からの誘いを断るとき
△品格不足△
I’m busy then.
そこは忙しいです。
◎品格UP!◎
That sounds like so much fun! I would really love to join you, but unfortunately, that doesn’t work with my schedule.
とても楽しそうですね!ぜひ一緒に行きたいのですが、残念ながら予定が合いません。
相手からの誘いを断るときは、まずポジティブな反応を示す ようにしてください。それによって相手の気分を害することもなく、今後もまた別の機会に誘ってもらえるでしょう。
場面② 相手から勧められたものを断るとき
△品格不足△I don’t eat ice cream.
アイスは食べません。
◎品格UP!◎
Chocolate ice cream is my favorite, but sadly, I’m on a strict diet right now.
チョコレートアイスクリームは大好きですが、悲しいことに今は厳しいダイエットをしています。
one’s favorite(~のお気に入り)だから本当は食べたいのだけれど・・・ということを表しています。 sadlyを言うときは悲しそうな表情をする と、より気持ちが相手に伝わります。
ルール4:質問の形で言う
Please do(~してください)などと言ってしまうと、pleaseを使っているとしても相手にとっては命令のように聞こえてしまいます。Would you be able to do ~ ?(~していただくことは可能ですか?)やIs there any way you could do ~ ?(~していただける方法はありますか?)のような 質問の形にすることで、相手に対して押し付けがましくない依頼をする ことができます。
それでは、「ルール4」で品格度がUPしたフレーズを実際に学んでいきましょう!
場面① 相手に締め切りを設けた依頼をしたいとき
△品格不足△
Please get it done by 5 p.m.
5時までに終えてください。
◎品格UP!◎
Would you be able to get this done by 5 p.m. ?
これを5時までに終えていただけるでしょうか?
Would you be able to do ~ ?(~していただくことは可能ですか?)と質問の形にする ことで、「引き受ける かどうか」の選択を相手に与えています。丁寧にお願いすることで、相手もより協力的になってくれるでしょう。
場面② 仕事を手伝ってほしいとき
△品格不足△
I want your help.
あなたに手伝ってほしいです。
◎品格UP!◎
I have something that I need help with. Do you have any spare time today?
助けが必要なことがあります。今日は空いている時間があるでしょうか?
Do you have time?(時間がありますか?)と相手の都合を聞く質問 を付け足しています。ただお願いするのではなく、「時間があれば手伝ってもらいたいのですが、どうでしょうか?」と相手の予定を気遣って言うことが重要です。
ルール5:理由を説明する
多くの日本人において、話すときに「説明」部分が足りていないと感じます。「なぜその仕事をやってほしいのか」「どうして納品が遅れたのか」などの 理由をちゃんと説明することで、相手の気持ちを必要以上に害することなく、スムーズに物事を進める ことができるようになります。また、相手もその理由を理解することで、より協力的な姿勢を持って仕事に臨んでくれるでしょう。
それでは、「ルール5」で品格度がUPしたフレーズを実際に学んでいきましょう!
場面① 難しいタスクを依頼したいとき
△品格不足△
I need you to do it.
これをやってほしいです。
◎品格UP!◎
I know this is a difficult request, but our client is counting on it .
これは難しい依頼だと思いますが、顧客がそれを頼りにしているのです。
count on~ は「~を頼りにする、~に期待する」という意味です。 たとえ難しい仕事であったとしても、その人にやってほしい理由をちゃんと説明する ことによって、そのタスクの重要性を相手に理解してもらえます。
場面② 納品の遅れを顧客に謝罪するとき
△品格不足△
There is no excuse.
弁解の余地がありません。
◎品格UP!◎
Unfortunately, there has been a problem with production . As a result, the delivery will be late. We are very sorry.
残念ながら、生産過程で問題が発生しました。結果として、納品が遅れております。大変申し訳ございません。
相手に対してただ謝るのではなく、 納品が遅れてしまった理由をしっかり説明 しましょう。不手際があったときもただ謝罪するだけで相手が納得するはずはないので、理解を得るためにより豊富な情報を提供しましょう。
品格がUPするルールの全フレーズは『ENGLISH JOURNAL』2020年7月号で!
Rochelle Kopp(ロッシェル・カップ)
1964年、アメリカ、ニューヨーク州生まれ。シカゴ大学経営大学院修了(MBA)。北九州市立大学教授兼ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社社長。専門は異文化コミュニケーション、グローバル人材育成、人事管理、リーダーシップと組織活性化。著書に『 反省しないアメリカ人をあつかう方法34 (アルク はたらく×英語シリーズ) 』(アルク)、『 [音声DL付]英語の品格 実践編 』(アルク)など多数。
※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2020年7月号に掲載された記事を再編集したものです。
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