which や whoなど関係代名詞の使い方がわかるクイズ2題

習ったはずなのにすっかり忘れてしまった英文法。わが子が英語の宿題を持ってきたとき、どう付き合えばいいのでしょうか。大丈夫です!英文法を「子どもにも説明しやすいようにわかりやすく」復習するこの連載におまかせください。今回は関係代名詞です。

まずはクイズに挑戦!

今回も、さっそくクイズから始めましょう。2問ありますので、考えてみてください。

Q1.

公園を散歩しているとき、友人があなたにこんなことを言いました。①と②では状況がどのように異なるでしょうか。

Look at the children. They are playing soccer very well .

Look at the children who are playing soccer very well .

Q2.
イギリスの首都ロンドンには、キングスクロス(King’s Cross) という駅があります。この駅構内にある、とても有名なプラットフォームを説明した次の英文をご覧ください。説明の仕方がどこか変なのですが、一体どう表現すればよいのでしょうか。

King’s Cross station has “Platform 9 3/4” which will take you to the world of Harry Potter.

今回のテーマは「関係代名詞」

「関係代名詞」って何だっけ?

身の回りのものには思い出が詰まっています。どんな物でも、お店に並べられているときは「ただの商品」かもしれませんが、いったん自分の物になると単語の1つや2つを加えただけでは伝えきれない思いが込められるのではないでしょうか。

例えばbike(自転車)はどうでしょう。my favorite bike(僕の大好きな自転車)では、その自転車が好きなことはわかりますが、どうしてそこまで気に入っているのかまでは伝わらないかもしれません。

こんなときに役に立つのが「関係代名詞」です。「おじいちゃんが誕生日に買ってくれた自転車」や「毎日学校へ行くときに使っている自転車」のように、favorite やcool(かっこいい)などの「形容詞」だけでは語りきれない思いを伝えてくれる重要な文法です。

少し難しいイメージがある「関係代名詞」ですが、名詞を 具体的に 説明できるようになると、物に込められた思い出を他の人と共有できて嬉しいですよね。今回は、「関係代名詞」について考えていきます。

名詞により詳しい説明を加える

「形容詞」や「不定詞」など、 名詞を 具体的に 説明する方法はたくさんありますが、「関係代名詞」はその中でも一番詳しい情報を付け加えられる といってもいいでしょう。

例えば、 novel (小説)について話をするとします。「形容詞」を使えばa new novel新作の小説)のように、見た目などの特徴を簡単に伝えることができました。さらに「不定詞」を使って、a new novel to read now今、読むべき新作の小説)と言えば、「何をするためのもの」なのか「動き」を含めて表すことだってできるのでしたね。
ところが、これではこの本を「誰が」読むといいのかまでは伝えることができません。みんなに読んでほしいならこのままで問題ありませんが、本によっては薦める相手を限定したいときだってあるはずです。

そんなとき活躍するのが「関係代名詞」です。 「関係代名詞」は、説明したい人や物について「誰が、何をする」ものなのかを表すことができます 。先ほどの例で、他の誰でもなく、「君(you)」が「読むといい( should read)」と伝えたいのであれば、a novel which you should read君が読むべき小説)となります。「わたし(I)」が「昨日買った(bought yesterday)」ものなら、過去形を使ってa novel which I bought yesterdayわたしが昨日買った小説)ということだって伝えられるのです。

もうお気づきかもしれませんが、説明の始めには which が使われています。これは、今から「物」に対して何か説明が始まるという合図だと考えましょう。 ちなみに 「人」に対しては who を使うのが約束になっています。急に説明が付け加えられても焦らないように、親切に教えてくれているというわけです。

つなげて、限定する働き

文を「つなげる」だけじゃない!

「関係代名詞」というと、who や which を使って「2つの文をつなげて1つにする」という役割を覚えている人もいるかもしれません。

確かに、This is a novel which you should read. という文は、わざわざ「関係代名詞」を使わなくてもThis is a novel .  You should read it.(これは小説です。これ読んだほうがいいよ。)と2つの文を使って同じようなことを伝えることができます。それならば、「関係代名詞なんて必要ない」と子どもたちが 考えるのは当然です。

「関係代名詞」で2文をつなげることにどんな意味があるのか、冒頭のクイズQ1.で考えてみましょう。

Q1.

公園を散歩しているとき、友人があなたにこんなことを言いました。①と②では状況がどのように異なるでしょうか。

Look at the children. They are playing soccer very well .

Look at the children who are playing soccer very well .

①のせりふは文が2つありますが、②は「関係代名詞」によって1つの文にまとまっています。こう言われて、自分だったら何を見るか想像してみてください。

ポイントは範囲の「限定」にあります。
①では、最初に「子どもたち」を見るよう促しています。そう言われたら、当然、公園内の子ども全員に目が行くことになりますね。みんなでサッカーを楽しんでいる微笑ましい光景が目に浮かびます。
一方、②では「サッカーをしている子」を見て欲しいと言っているので、公園にいる子どもたちのうち「サッカーをしている子」だけに視線が集まることになります。公園には他にも野球や鬼ごっこなどをしている子たちがいるのでしょうけど、話題にしているのはサッカーをしている一部の子たちだけということです。

つまり、②のように 「関係代名詞」を使うと、たくさんある中から注目するものを「限定」できる というわけです。これは「関係代名詞」の非常に大切な役割です。注目してほしい物事を限定できるからこそ、思い出など特別なことを付け加えられるのですね。 「関係代名詞」は、ただ2つの文をつなげるだけの接着剤ではない のです。

「限定」してはいけないものもある

限定」する役割があるために、関係代名詞を使うと変な意味になってしまうこともあります。大好きなおじいちゃん(my grandfather)について、関係代名詞のwhoを使った場合、どのように伝わってしまうでしょうか。

I love my grandfather who gave me a lot of otoshidama.
このままだと「お年玉をたくさんくれたおじいちゃん」が好きということになってしまい、まるでもう一人「お年玉をくれなかったおじいちゃん」もいて、そっちは嫌いであるかのようです。

本当にそうであるときは別にして、誤解を与えるような表現は避けたいところですね。こういうときは、あえて関係代名詞を使わず、次のように2つの文で表現すると気持ちが正確に伝えられます。

I love my grandfather. He gave me a lot of otoshiodama.僕はおじいちゃんが大好き。お年玉をたくさんくれたしね。
my grandfatherだけでなく、my mother(母)やTaro(太郎)など、もともと1つしかないものを説明するときには、「関係代名詞」ではなく2つの文で表現するということを覚えておきましょう。

クイズの答え

Q1.の答え

①の場合、公園にいる子ども全員がサッカーをしていると考えられます。

一方、②の文からは、サッカーをしていない子どもたちが公園内に他にもいることがわかります。

「関係代名詞」によって、見て欲しい対象が限定されているというわけです。

Q2.の答え
2つの文に分けると正確に伝わります。
King’s Cross station has “Platform 9 3/4”. It will take you to the world of Harry Potter. キングスクロス駅には“9と3/4番線” があります。 そこからハリーポッターの世界に行くことができるんですよ。
冒頭で見たような形で「関係代名詞」を使ってしまうと(King’s Cross station has “Platform 9 3/4” which will take you to the world of Harry Potter.)、「ハリーポッターの世界に連れていってくれない“9と3/4番線”」があることになってしまいます。

世の中に1つしかないものを説明するときには、2つの文を使うほうが確実です。
ちなみに “9 3/4” は、nine and three quartersと読みます。quarter(4分の1)が3つあるという言い方をするのですね。

まとめ

人や物に説明を付け加える方法はいろいろあります。一番詳しく表現できるからといって「関係代名詞」が万能というわけではなく、「形容詞」や「不定詞」などさまざまな文法を知っているほど、自分の気持ちを相手に正確に伝えることができるようになります。実際に使っていきながら、少しずつ表現を増やしていきましょう。

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文:大竹保幹(おおたけ やすまさ)神奈川県立厚木高等学校教諭。1984年横浜市生まれ。明治大学文学部文学科卒業。平成23年度神奈川県優秀授業実践教員(第2部門)表彰。文部科学省 委託 事業英語教育 推進 リーダー。趣味は読書。好きな作家はスティーブン・キング。
編集:美野貴美

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