外資系企業にもバカな上司はいる。では、どう付き合うべきなのか?『 英語転職の教科書 』から、その答えをご紹介します。 外資系企業に強い転職エージェントのまとめ記事 と合わせ、ぜひご覧ください。
外資でも日系でも「上司の悪口」はある
会社勤めをしている人と話をすると、たいがいのケースで上司の悪口に出くわします。
よくあるのは「上司はいつも自分の手柄を横取りして、上に対して、一人でやったような顔をしている」といった類のものです。
こういう場合、私はいつも「上司が手柄を取るのは当たり前」といいます。
手柄は、横取りされて当たり前
ある管理職が、本当に「俺が一人でやった」なんていうことをアピールしていたとします。もし、私がその人のだったら「そうですか! では、今いるスタッフをゼロにするのでぜひ一人でやってください。人件費 予算 も 厳しい この折、本当にありがとうございます!」といいます。
そうはならないのは、上司は、一人でやったようなことを言ってないし、そのまた上の上司も、一人でできるなんて思っていないからです。
もし、あなたが上司の立場にいたとして、自分の上司が自分を飛ばして直接自分の部下に「君たちがよくやった。ありがとう」と言ったりしたら、どう思われますか? 相当に気分が悪いはずです。
組織の順序としては、まずは上司を評価し、それからその部下、となるわけです。
これらの2点のポイントは、少し考えれば当たり前の話。企業組織のコモンセンス、とでも言うべきものです。
上司のサポートが自分の仕事、と考える
部下は、上司をサポートしてなんぼのポジションです。最近はリーダーシップの逆のフォロワーシップという言葉もよく使われます。
あなたの上司は、あなたの上司の上司が任命した管理職。上司の上司の覚えを良くするためにも、自分の上司を助けることが必要です。
また、手助けをきちんと行うためには、リーダーシップなど、ある程度の技術が必要です。ですから、自分に部下がいないとしても、リーダーシップを学ぶのがいいと思います。なぜなら、理想の上司が分かっていてこそ、自分の上司の良い点、欠けている点も分かり、よりうまく支えられるようになるからです。
上司の悪口はなぜナンセンスか? 2つの理由
サラリーマンがよく集まる街の飲み屋に行くと「うちの上司はダメだ。社長は分かってない」などという会話が非常に多いです。じつは彼らは、2つの側面から「ダメなサラリーマン」といえるでしょう。
まず、あなたの上司や社長は、少なくとも会社の中で、それなりに成功した人たちです。もし、その彼らが本当にダメならば、早々に会社を見 捨てる べきでしょう。つまり、会社を見 捨てる という決断・行動ができていない点が、ひとつめのダメな点です。
多くの場合、上司はそんなにダメではありません。部下の人々が、上司のことをダメだと思ってしまうのは、じつは、彼らが「上司の視点」あるいは、上司の上司である「経営者の視点」を持てていないからなのです。つまり、視線が低いというのが、二つめのダメな点です。
結局、本節のタイトルにあるように「上司はあなたが思うほどバカではない」のです。
上司のひきがないと、実力も発揮できない
以前、ビジネススクールの受講生に部長クラスの方がいました。彼は、頑張り屋だったのですが、自分がスタッフの時に課長の朝令暮改ぶりに?みついてえらく困らせたと。課長になったら、課長の大変さ(課長の上も朝令暮改の中でやらなければならない)がわかり、当時の自分を反省したものの、やはり課長の立場で部長に噛みついてしまったらしいです。
自分が噛みついている部長の上司である役員、さらにはその上の社長が朝令暮改なのだから、上からの 指示 がコロコロ変わるのはやむを得ない…と頭では分かっているが、フラストレーションで同じ失敗をしてしまったと言っていました。
(まあ、それでも彼は、部長にまで昇進したので、ある程度の自制は利いていたのでしょう。文句も、他の人より建設的なぶつけ方だったのだど想像します。それでも、彼はやり過ぎたとはいっており、当時の上司に申し訳ないことをしたと言っていました。
ある大企業の方がおっしゃっていましたが、社内で成功するには「1:引き、2:運、3:実力」だと。3の実力がないと、間違って昇進してもすぐバレてしまいますが、実力があるからといって上がれるわけではない。
「フォロワーシップ」をしっかりとしてこそ、2の運はともかく、1の引きが出てくるということだと思います。
日本一の下足番
それでも「自分は頑張りほどの評価を得ていない」とおっしゃる方がいるかも知れません。その場合は、阪急の創始者の小林一三氏の言葉を噛みしめて欲しいと思います。
下足番を命じられたら、日本一の下足番になってみろ。そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ」まずはこのスタンスで頑張ってみて、それでもどうもやはり会社はおかしい、ということであれば転職すればいいわけです。
まわりを見渡して、社内で楽しくやっている人を見つければ、まさしく上司とうまくやっている人です。ゴマすりだと楽しくなく、楽しんでいる人は、自分たちの美学ではなく組織というものを理解し、上司の人達の苦労を分かって動いている人達なのです。身近な例として研究してみてください。
村上賀厚(むらかみ・のりあつ)
同志社大学商学部卒業、イェール大学経営大学院経営管理学修士(MBA)
マーケティングエージェンシーで市場調査 分析 や 売上 モデル作成など、一般消費財メーカーの販促活動をサポート。その後、住友ビジネスコンサルティング等で、大手ゼネコン、電機メーカー、不動産開発会社および石油精製企業などへの処遇制度、人材開発制度、ホワイトカラーの生産性 分析 などの人事組織コンサルティングに従事。
イェール大学卒業後は、フォードジャパン人事課長、日本JDエドワーズ人事部長、日本モンサント人事総務本部長、ロイタージャパン人事本部長、GEコンシューマーファイナンス日本で人事本部ディレクターを務める。独立後はノリ・コーポレーション代表取締役として、エグゼクティブコーチおよび人事・組織関連コンサルティングを行うとともに、収益不動産開発も手掛ける。
著書に 『元・外資系人事部長が見た 要領よく出世する人』 (東洋経済新報社)がある。
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