実は大事! 5文型の意味と見分け方【5文型の知識で正しく英語を使えるようになろう(前編)】

学校でも仕事でも、英語が苦手でずっと避けて通ってきた。だけど急に仕事で必要になって大慌て!という方に向けて、「とりあえず押さえておけば大丈夫」という基本的な文法をご紹介します。

5文型の知識で正しく英語を使えるようになる

中学校で習った5文型、覚えていますか?5文型は正しい語順を理解できることに加え、英単語の性質も学ぶことができます。英単語の正しい性質を理解すると、単語を適切な位置に置けるようになるので、語順を間違えて英語の意味が異なってしまうということがなくなりますよ。

5文型を学ぶなんて今さら・・・という方も、とりあえず次の英文をご覧ください。

  • 例文A: I went.
  • 例文B: I visited.
  • 例文C: I went quickly.
  • 例文D: I went to his office.
  • 例文E: The flower is beautiful.
  • 例文F: The flower is beauty.
  • 例文G: I went his office.
  • 例文H: I visited his office.

例文A~Hを見て、どう思いましたか?変な英文が混じっているとすぐに気が付いたでしょうか。例文のどれが正しくて、どれが間違っているのか、すぐに判別できるよう「5文型」を学んでいきましょう。

5文型:動詞の後に何をどの順で置くか?

5文型とは以下の5つです。

  • 第1文型:SV
  • 第2文型:SVC
  • 第3文型:SVO
  • 第4文型:SVOO
  • 第5文型:SVOC

それぞれ「S=Subject(主語)」、「V=Verb(動詞)」、「O=Object(目的語)」、「C=Complement(補語)」ですね。と言っても、なんのことやらさっぱり分からない人もいると思います。とりあえず、「V(動詞)の後」に着目してみましょう。

  • 第1文型:Vの後は「何もない」
  • 第2文型:Vの後は「C」
  • 第3文型:Vの後は「O」
  • 第4文型:Vの後は「O」と「O」
  • 第5文型:Vの後は「O」と「C」

上記の通りであることがわかると思います。

実は5文型とは「動詞の後ろにどのような性質の単語をどのような順番で並べるべきか」を記したものなのです。

5文型を理解すると、辞書さえあれば、正しい語順で英文が作れます。辞書は『ジーニアス英和辞典』(大修館書店刊)のように、文の要素(SVOC)が記された辞書が望ましいでしょう。

では第1文型から解説していきます。

第1文型(SV):Vの後は「何もない」

  • 例文A: I went. → ○
  • 例文B: I visited. → ×

例文Aは正しい英文ですが、例文Bは正しくありません。理由は、go(went)は第1文型で使える動詞で、visit(visited)は第1文型では使えない動詞だからなのですが、なんだか分かりにくいですよね。

まずはgoを辞書で調べてみましょう。単語の意味より前に、[SV(M)]という記号が書いてあると思います。Mは修飾語です(後で詳しく説明します)。(M)は「Mがあってもなくてもどちらでもよい」ということなので、SV、つまりgoは「第1文型」で使える動詞ということを示しています。

I went.はどう考えても S(主語)とV(動詞)しかありませんね。辞書に書かれてあるようにgoは「第1文型」で使える動詞なので、I went.は正しい英語、となります。

I visited.もSとVしかありませんが、visitを辞書で調べると、[SVO(M)]はありますが、[SV(M)]はないので、I visited.は正しくない英語となります。

Mの正体

文型を学習する場合の「M」について説明しましょう。

MはM=Modifier(修飾語)で「副詞(扱いするもの)」という意味です。Mは文の要素(SVOC)のどれにもなることができない部分のことです。

典型的なMの例を2つ紹介します。

Mの例その1:単純な副詞

  • 例文C: I went quickly. → ○

quicklyを辞書で引けば、意味(速く、急いで、すぐに)と同時に品詞(副詞)も分かりますね。quicklyは副詞なので、I went quickly.はSVMという形を取っています。goはSV(M)の形を取るのを先ほど確認したので、この英文は正しく、文型は「SV:第1文型」となります。

Mの例その2:前置詞+名詞

  • 例文D: I went to his office. → ○

この英文は「to his office」のtoが前置詞、his officeが名詞、つまり「to his office」で「前置詞+名詞」のかたまりと認識します。5文型学習時は、こういう「前置詞+名詞」をM扱いします。

全ての「前置詞+名詞」がM扱いされるわけではありませんが、5文型の初期の学習時は「前置詞+名詞」を見たらM扱いすると覚えたほうがいいかと思います。I went to his office.はSVMなので、この英文は正しく、文型は「SV:第1文型」となります。ちなみにこの場合のtoの意味は「~に」ですね。

第2文型(SVC): Vの後はC(形容詞か名詞)が1つ

  • 例文E: The flower is beautiful. → ○
  • 例文F: The flower is beauty. → ×

例文Eは正しい英文ですが、例文Fは正しくありません。例文EもFも動詞はis。動詞の直後はbeautifulとbeautyですね。このbeautifulやbeautyがCなのかOなのかMなのかを判定するため、品詞を辞書で調べましょう。beautifulは形容詞、beautyは名詞なのですが、Mは「副詞」でなければなりませんでしたね。例文EとFはSV(M)という第1文型ではない、と確定します。

次に、例文EとFの動詞(isですが、be動詞なのでbe)を調べましょう。『ジーニアス英和辞典』によると、①に「SVC/ to do/doing/that節/wh節/whether節/wh句/前置詞+(代)名詞」と書いてあります。②には[SVM]、③には[SV]と書いてあります。動詞のbeはこれ以外はないのでSVCの第2文型かSV(M)の第1文型のどちらかで使います。でもこの2つの例文の場合、SV(M)ではないと先ほど確定していますので、SVCの第2文型である、と判断します。

SVCはS=Cになる

Cは「補語」と呼ばれています。SVCの場合、S=Cという関係が成立し、成立しない英文は正しくない、と判定できます。では確認しましょう。the flower(その花)はbeautiful(美しい)と言えますね。S=Cが成立します。the flower(その花)はbeauty(美)だと「その花」は「美」という存在、とは言えません。なのでThe flower is beauty.は正しくない英文となります。

よろしいでしょうか?ここまでは、自動詞、他動詞の見分け方で説明した「自動詞」が使われた場合の英文の説明でした。

第3文型(SVO):Vの後はOが1つ。Oは名詞(の役割をするもの)

  • *例文G: I went his office. → ×
  • *例文H: I visited his office. → ○

例文Gは正しくない英文ですが、例文Hは正しい英文です。理由はgo(went)は第3文型で使えない動詞であるのに対し、visit(ed)は第3文型で使える動詞だからです。

例文GとHの動詞はwentとvisited。その動詞の後はhis officeです。このhis officeがCかOかMかを判定します。officeの品詞は名詞ですね。M(副詞)ではないので、例文GとHはSV(M)の第1文型ではない、と確定します。

では例文GとHで使われている動詞goとvisitを辞書で確認しましょう。何度も出てきましたがgoにはSV(M)とSVCがあります。[SV(M)]ではないことは確定しており、[SVC]だとS=CでI(私)=his office(彼の事務所)になってしまうので、例文Gは正しい英文ではないと分かります。(ただし I went to his office.とtoを入れれば正しい英文になります。詳しくは第1文型の説明中にあるMについての部分を参照)

次に例文Hの動詞visitですが、[SVO(M)]という文型で使うとお伝えしましたね。[SVO(M)]の場合、visitの意味は「~を訪問する」です。

SVOではS≠O

第3文型はSVOです。Oは「目的語」という意味です。目的語は「名詞」もしくは「名詞相当語句(名詞を役割を担う部分)」なので、officeは名詞だからOになる条件には叶います。ここではもう1つ特徴をお伝えします。「Oは決してS(主語)と同じにならない(S≠O)」という特徴です。

I visited his office.のSはI、Oはhis officeでI≠his officeなのでhis officeは「O」である、と確定します。[SVO(M)]の場合のvisitの意味は「~を訪問する」ですから、文Hの意味は「私は彼の事務所を訪れた」でこの英文は正しい、と判定できます。

初歩ですが、まずはこうやって正しい語順を意識して、簡単な英文を作ってみることから、始めてみましょう。

第4文型(SVOO)と第5文型(SVOC)については次回、解説します。お楽しみに!

答え(各例文の正誤のおさらい)

  • 例文A(○): I went.(私は行った。)
  • 例文B(×): I visited.
  • 例文C(○): I went quickly.(私は急いで行った。)
  • 例文D(○): I went to his office.(私は彼の事務所に行った。)
  • 例文E(○): The flower is beautiful.(その花は美しい。)
  • 例文F(×): The flower is beauty.
  • 例文G(×): I went his office.
  • 例文H(○): I visited his office.(私は彼の事務所を訪れた。)
文:マウスバード
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早稲田大学卒。中高では英語は赤点ばかりの超オチコボレであったが、浪人時代に苦手なりにも受験英語をクリアーする方法に目覚める。未だに英語が嫌いなため、英語が嫌いで苦手な人に教えるのが好き。
ホームページ: 本気で嫌いな英語を何とかする方法

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