デイビッド・セインさんが教える、ネイティブのような英語を話す発想法とは?

英語で話すとき、ついつい「日本語を訳しただけのこなれない英語」を使ってしまいがち・・・という人は多いのではないでしょうか。なんとかしたい!ということで、デイビッド・セインさんにネイティブらしい英語を話すコツを教えていただきましょう。

スマート&ストレートに伝わる3つのポイント

「ネイティブらしい英語」というと、皆さんはどのようなものをイメージされますか?カジュアルな口語やスラングでしょうか? 実は、ネイティブの英語はズバリ、短くて簡単、つまり「シンプルな英語」なのです。

「シンプルな英語」への近道は「日本語の発想から離れる」こと、できれば「日本語を忘れる」ことです。では、どうすれば日本語を一語一句英語に置き換えようとしない、柔らかい頭を養えるのでしょうか。

今回は、そのポイントを3つに絞って紹介します。これらをマスターして、自分の言いたいことをスマートに、そしてストレートに伝えましょう!

発想その1:難しい単語や構文は使わない

早速ですが、「ネイティブらしい英語」は、英検1級レベルの単語を使うことでも、難しい構文を使うことでもないと断言させてください。「簡単な単語ばかり使っていると、英語力がないと思われてしまうのでは?」という心配は無用ですのでご 安心 を。ちなみに、「難しい単語、堅苦しい語」をネイティブは big word と呼びます。

を見ていきましょう。

「この業界が成長する見込みは大きいと思う」を、あなたならなんと言いますか?

I think the prospects of this industry growing are excellent.

これでもオーケーですが、私ならこう言います!

This industry is going to grow.

prospect (見込み)なんていう big word を使うよりも、短くシンプルに言う方が好まれます。「~する予定だ」と訳されることが多い be going to ~ですが、実はこのように話し手の「予想」を表す意味合いもあるので、すっきりと、かつ十分に言いたいことを伝えられます。

ちなみに、I think は「思う」よりも「あまり確信がない」という意味で使われることが多い表現ですので、注意しましょう。また、The future looks good for this industry. のように言うこともできます。

もう一つ例を見てみましょう。

「遅刻を直さない限り、解雇はやむを得ない」を英語で言うなら?

It’s an undeniable fact that if you do not stop being late, then you will be forced to leave.

なんだか長い英語になりました。でも、こんな回りくどい言い方をしなくても、or(さもなければ)をうまく使って次のように言えます。

You can come on time or get fired.

同じ意味を表しながら「堅い語」と「平易な語」がある場合は、目的によって使い分けるようにしましょう。いくつか例を挙げておきます。

意味堅い語平易な語
始めるinitiatebegin/start
終えるterminateend
変更modificationchange
等しいequivalentequal

発想その2:文を短くする

英語には Brevity is the soul of wit. という格言があります。「簡潔さこそがウィットの要」、裏を返せば「下手な人ほど長くしゃべる」という意味です。短くすっきり言えるはずなのに、わざわざ冗長な言い回しを使おうとしていないか、ときどきセルフチェックすることをおすすめします。

例を見ていきましょう。

最近は在宅ワークに興味がある人も多い」、あなたなら、なんと言いますか?

Nowadays, there are a lot of people who have an interest in working from home.

これでもオーケーですが、私ならこう言います!

There is a lot of interest in working from home.

「~な人」は訳さない方が、すっきりしたネイティブらしい英文になることがよくあります。 interest で「人々の興味・関心」を表せるので、ここでは people を使う必要もなければ関係代名詞を使う必要もありません。

例えば「質問がある人はいますか?」も、日本語をそのまま英語に置き換えようとすると people を使いたくなるかもしれません。しかし、実際は Do you have any questions? の方が自然ですよね?また、現在形の文なので、nowadays などの語も不要です。

では、次の例を見てみましょう。

「事前に決めていた議題についてのみ議論しましょう」を、英語で言うと?

Let’s discuss only the topics that we agreed on beforehand.

日本語をそのまま英語にしようとすると、どうしても長くなってしまいます。私ならこう言います。

Let’s not get off track.

get off track で「脱線する」という意味なので、要は「脱線しないようにしよう」ということです。ぴったりなイディオムがある場合、それを使わない手はありません。

発想その3:物を主語にする

英語には、人にも物にも同じような動詞を使えるという特徴があります。

例えば、日本語の発想では人にしか使わない take (~を連れていく)を、This bus will take you to the Narita Airport.(このバスに乗れば成田空港に行けますよ)のように用いることができます。

Coffee keeps me awake.(コーヒーを飲むと目が覚めます)のように、コーヒーを主語にすることだってできます。このように物を主語にした文を使いこなせると、表現の幅がぐっと広がります。

次の文を見てみましょう。

「名刺の肩書によると、彼はこのレストランの総料理長だ」、あなたなら、なんと言いますか?

According to the title on his card, he is an executive chef at this restaurant.

これでもオーケーですが、私ならこう言います!

His card says he’s an executive chef.

According to ~ という前置きフレーズは、会話ではほとんど使う必要がないと思っていいでしょう。say には「~と書いてある」という意味があり、「名刺」を主語に取ることもできます。

似たパターンには The newspaper says ~(新聞によると~)や The sign says ~(看板によると~)などがあります。at this restaurant もよくよく考えれば文脈からわかることなので、省きました。

例をもう一つ挙げておきます。

「この本を読むのに3時間はかかる」を、英語で言うなら?

Three hours will be needed to read this book.

時間を主語にしていますが、日本語を訳した印象が強く出てしまっています。私ならこう言います。

This book takes three hours.

「(時間・労力など)がかかる」という意味の take も、このように物や事を主語に取ることができます。

文京区根津にオフィスがあるセインさんは、通称「谷根千」エリアを熟知。こちらは谷中のシンボルとも言えるヒマラヤスギの大木。

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デイビッド・セインさんの本

デイビッド・セイン David Thayne
デイビッド・セイン David Thayne

英会話教室「A to Z English」代表。アメリカ出身。日本人に合う、日本人のための英語学習法を考え続けて約40年。これまで累計400万部の著作を刊行してきたベストセラー著者。現在も自ら英会話を教えている。「日米バイリンガル」として、日常会話からビジネス英語、TOEICに至るまで、幅広く教えている。NHK英語番組雑誌監修、日経・朝日・毎日新聞での連載などメディア出演多数。著書に『爆笑!英語コミックエッセイ 日本人のちょっとヘンな英語』『10年ぶりの英語なのに話せた!あてはめて使うだけ英語の超万能フレーズ78』(どちらもアスコム)などがある。Youtubeチャンネル:【公式】AtoZ English Instagram:atozenglish_teachers

●写真:山本高裕
●作成:2018年8月7日、更新:2024年9月10日

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