3月17日はアイルランドの国民の祝日、セントパトリックスデー。全身を緑の衣装に包んでイベントに参加することもあるこの伝統的な日ですが、どのような意味があるのでしょうか。
セントパトリックスデーとは
アイルランドの国民の祝日、セントパトリックスデー。アイルランドに住む人たち、そして世界各地に暮らすアイルランド系の人々がこの日を祝福します。3月17日はアイルランドにキリスト教を布教したといわれるセントパトリックが永眠したとされる日です。
この祝日の最大の催しはパレードで、多くの人々が緑色の物を身にまとって盛大に練り歩きます。世界一の規模を誇るニューヨークのパレードは、アメリカが独立宣言する14年前の1762年から開催されており、3月17日の11時ちょうどから始まります。毎年約15万人が参加し、「世界最古で最大のパレード」ともいわれています(参考:NYC St. Patrick’s Day Parade)。
3月17日には、たくさんの野菜とラム肉が入ったアイルランドの伝統料理のシチューを食べます。また、イースター(今年は4月9日)前の40日間のレント(四旬節)からカトリック教徒は肉や甘い物を口にしませんが、セントパトリックスデーの1日だけは1つだけ甘い物が食べられるので、小さい子供たちにとっては夢のような日なのです。
セントパトリックって誰?
ところで、この祝日の名前にもなっているセントパトリックとは、どのような人だったのでしょうか。
言い伝えによれば、セントパトリックは5世紀ごろ、それまで土着信仰であったアイルランドにキリスト教を広めた宣教師でした。布教の際にクローバーの一種である「シャムロック」という植物の葉を用い、3枚の葉を三位一体(父である神、子であるキリスト、そして精霊それぞれが一体であるという教え)に例えて教えを説いたといわれています。2016年の国勢調査によると、アイルランドの約78%が今もカトリックを信仰しています(参照:外務省アイルランド基礎データ)。
なぜ緑の衣装を身にまとうのか?
なぜパレードに参加する人は緑の衣装を身にまとうのでしょうか。
その意味は、アイルランドの国旗からも読み取れるかもしれません。アイルランドの国旗は左から緑、白、オレンジの3色で構成されており、それぞれに意味があります。緑は昔からアイルランドに住む民族を、オレンジはイギリスからの入植者を、そしてその間をつなぐ白は「平和」、つまり、カトリック系住民とプロテスタント系住民の平和と友情をアイルランド国旗は表しています。
アイルランド大使館の関係者にお伺いしたところ、「祖国を離れた地に暮らすアイルランド人にとって、緑色は最も母国を想起させる色といえるでしょう」とおっしゃっていました。緑の丘に緑の山、緑色は緑が豊かなアイルランドを思い出す色なのでしょう。
イベントに参加してみよう!
ニューヨークに限らず、日本中でもセントパトリックスデーを祝うイベントが開催されます。多くのイベントは、日本で暮らすアイルランド人やアイルランドにゆかりあるメンバーで構成されるアイリッシュネットワークジャパン(INJ)により運営されています。
東京では、3月12日(日)の13時より、「第28回セントパトリックスデーパレード東京」が4年ぶりに開催され、表参道通りが緑色で飾られます。アジアで最も長い歴史を持つこのパレードには、マーチバンド、ミュージシャン、ダンサー、そして日本とアイルランド両国からの特別ゲストが参加します。横浜の元町中華街でも3月11日(土)の12時半から「第17回セントパトリックスデー」が開催される予定です。
また、パレードだけでなく、「グリーニング(グリーン・ライトアップ)」も全国各地で予定されています。
パレードに参加しなくても、十分にセントパトリックスデーを楽しむことができます。この祝日で一番大切な「友情」について、家族や親せき、友人同士で集まって一緒に夕食を楽しみながら考えてみてはいかがでしょうか。
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