近年のアートは、油絵、水彩画、彫刻、インスタレーションなどのアナログ作品に加え、デジタル技術の発達によりテクノロジーを駆使したさまざまなデジタル作品も登場し、その潮流は海外から日本にやってきます。2022年の12月に、アメリカ、マイアミで行われたアートとITイベントに参加したイラストレーターのレポートをお届けします。
マイアミのITイベントでデジタルアートパフォーマンスを披露
デジタルマーケター/イラストレーターのHirofumiです。縁あって、2022年の12月にアメリカのマイアミで開催されたNFT(偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ)のイベントに招待され、観客の前で制限時間内にデジタルデバイスで絵を描くライブペイントをすべく3泊5日にて渡米しました。実質の滞在は2日間でしたが多様なアートに触れ、自分のアートを通じて異文化・異国でのコミュニケーションの機会に恵まれました。
ライブペイントではスピードを重視しつつ、観客を飽きさせないように、オブジェクトを描き足したり背景を変化させています。私のインスタグラムアカウントでぜひご覧ください。
約20年ぶりの海外渡航はITで超便利になっていた
18年前に新婚旅行でイタリアに行った以来の海外。パスポートの準備やワクチン接種証明、空港でのチェックインや税関・検疫などはIT化が進み、スマートフォンでの事前登録が可能となり、手続きがスムーズにになっていました。
また、マイアミでの移動ではUber、Googleマップ、関係者への連絡はLINEと、日本以上にスマートフォンのありがたみを感じました。
世界最大級のアートフェア「Art Barsel」
渡米期間中はスイスのバーゼルを中心に、香港、パリなどで開催されるアートフェア「Art Barsel(アートバーゼル)」の会期中でした。1970年から始まる、厳しい審査を経て選ばれたアートギャラリーやアーティストが参加・展示し、アートの専門家(国際的なアート財団、学芸員、アートディレクター、コレクターなど)を繋ぐアートフェアです。2021年はコロナウィルスの影響もありつつも6万人の来場者がありました。
一般の入場チケットは1日70ドル(約9,000円)と日本の美術展の2~3倍とやや高額でしたが、最新のアートに触れるべく自由時間に会場へ向かいました。会場のあるマイアミビーチ方面は、ホリデーシーズンのため混雑し、到着が遅れて短時間の滞在となりましたが、広く大きなスペースに展示された絵画や立体物、インスタレーションは迫力十分で印象的でした。
「Art Barsel」のインスタグラムアカウントで、会場の様子が動画で紹介されていますので、ぜひ体験してみてください。
ITテックの最先端Web3、NFTに触れる
私がライブペイントをしたのは、マイアミのダウンタウンで行われたWeb3とNFTのイベント「The Gateway」。
Web3はブロックチェーン技術によって実現した分散型インターネットのことで、ユーザー同士で直接、データやコンテンツ、金銭のやり取りができることを目指しています。その最たるテクノロジーが「NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)」です。NFTの仕組みにより、コピーや改善がしにくいデジタルデータを作成することが可能となり、資産価値を付与できるようになったため、デジタルアートが高額で取引されるようになりました。
「The Gateway」ではNFTアートや仮想通貨(暗号資産)を扱う企業、eスポーツ組織、自動車企業など、多彩な企業が、LEDで作成された動くアートブロック、VR体験できるブース、モニター上で表現されるデジタルアートなど、照明を落としたフロアできらびやかな展示を行っていました。
20分のデジタルアートパフォーマンス
今回の渡米の目的であるデジタルライブペイントは、「The Gateway」のメインステージで、私が数年来参加しているデジタルアートのイベント LIMITS の形式で行われました。
Limitsでは2人のアーティストが、ルーレットで直前に決定された抽象ワードと具体的ワードをテーマに、20分で制作されたデジタルアートを競います。2015年から始まり、ここ数年は日本大会・世界大会が開催され、私は2018年、2019年の日本大会、世界大会に出場しています。公式の紹介動画もご覧ください。
今回のテーマはblue×hope。対戦するのは世界中で巨大な壁画を描くアーティストJabaさん。水上の建築物を描くJabaさん、海に沈むメカニックを描く私、どちらも未来感あるデザインでコラボレーションしたかのようなエキシビションとなりました。
終了後は拍手喝采され、何人かの方に声をかけられましたが、乏しい英語力ではほとんど理解できず、thanksくらいしか返せませんでした。それでも楽しんでもらえていたことが嬉しかったです(なぜかTシャツをプレゼントしてくれた方も)。言葉は通じなくても、自分の作品に伝わるものがあったことは自信になりました。
今回のバトルの様子をまとめた動画です。最後の方に今回の作品も出てきますので、ご覧ください。
アートの拡張と、それを伝えるもの
「Art Barsel」では従来のアナログアートに、「The Gateway」ではデジタルアートに触れ、改めてアートの多様性を感じました。ITテクノジーの進歩により、アートにも新しい手法が次々と提示され悩ましい限りですが、ツールやメディアが異なっても、何かを表現し伝えるという根幹は変わらないと思います。この2日間は自分の創作の幅を広げる良い経験となりました。
なお、余談ですが、翻訳ツールを使いにくいリアルなイベントの場では、多少なりとも英語が聞き取れて話せたほうが、より発展的なコミュニケーションを取り、また新たな話につながるチャンスも生まれるのでは、と感じました。進歩する翻訳のテクノロジーに期待しつつ、次の渡航までにはもう少し英語が話せるようになっておきたいと思います。
【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。
語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発
- スマホ相手に恥ずかしさゼロの英会話
- 制限時間は6秒!瞬間発話力が鍛えられる!
- 英会話教室の【20倍】の発話量で学べる!
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。