インドで英語を使っていると、知っている単語なのに意味が少し違って感じられたり、初めて見る表現に出合ったりすることがあります。今回は、Indian Englishとして知られるgood nameや、レストランや食品表示でよく目にするveg、non-vegなどを紹介します。言葉から見えてくるインドの文化にも注目してみましょう。
目次
※本記事は2016年に公開した記事をもとに、当時の『インド英語のツボ』著者・榎木薗鉄也さんの解説などを生かしながら、ENGLISH JOURNAL編集部が構成・情報を見直しています。
“good name”ってどういう意味?
初対面の相手から、こんなふうに尋ねられたら、何と答えればよいでしょうか。
- What is your good name?
お名前は何ですか?
good nameを文字どおり「良い名前」と考えると不思議ですが、これはIndian Englishとして使われる表現です。Cambridge DictionaryにもIndian Englishとして掲載されており、人の名前を丁寧に尋ねるときに使われると説明されています。
この表現は、ヒンディー語のAapka shubh naam kya hai?に由来する表現としてよく説明されます。shubh naamは直訳すると「良い名前」「めでたい名前」といった意味です。
そのため、
- What is your good name?
お名前は何ですか? - May I know your good name?
お名前を伺ってもよろしいですか?
といった言い方に出合うことがあります。
インドでは意味が通じる表現ですが、国際的な場面で自分から名前を尋ねるなら、次のような言い方の方が広く通じます。
- May I have your name, please?
お名前を伺ってもよろしいですか? - What’s your name?
お名前は何ですか?
「英米英語とは違うから間違い」と考えるのではなく、インドで発達した英語表現の一つとして知っておくとよいでしょう。
“many thanks”はインド英語?
2016年版の記事では、many thanksのようにmanyを使う表現もインド英語の特徴として紹介していました。
ただし、many thanksそのものはインド英語に限った表現ではありません。一般的な英語でも「どうもありがとう」「心から感謝します」といった意味で普通に使われます。
- Many thanks for your help.
ご協力、本当にありがとうございます。
インドでよく耳にする表現だからといって、それだけで「インド英語特有」とは限りません。英語の地域差を見るときは、こうした点にも注意が必要です。
インドでよく見る“veg”と“non-veg”
インドを旅行したり出張したりすると、レストランのメニューや食品売り場で頻繁に目にするのがvegとnon-vegです。
vegはvegetarian、non-vegはnon-vegetarianを短くした言い方です。
インドでは食事と宗教・文化との結び付きが強く、肉類をまったく食べない人だけでなく、特定の肉を避けたり、特定の日には肉を食べなかったりする人も少なくありません。
Pew Research Centerが2019~2020年に実施した全国調査では、インドの成人の39%が自分をvegetarianだと回答しています。一方、特定の肉や特定の日の肉食を避ける人まで含めると、何らかの形で肉を制限している人は81%に上ります。
つまり、「インドではみんな菜食」というわけではありませんが、食事の制限を確認することが非常に重要な社会だとはいえそうです。
実際、インドの食品安全基準を定めるFSSAI(Food Safety and Standards Authority of India)の規則でも、食品にはvegetarianかnon-vegetarianかを示す表示が設けられています。
レストランなどでは、こんな表現を覚えておくと便利です。
- I’d like a vegetarian meal.
ベジタリアンの食事をお願いします。 - Is this vegetarian?
これはベジタリアン向けですか? - Does this contain egg?
これは卵を使っていますか? - Does this contain meat?
これは肉を使っていますか?
卵は“veg”?それとも“non-veg”?
日本人には少し分かりにくいのが卵の扱いです。
インドのFSSAIの食品表示では、卵を含む食品はnon-vegetarianの区分になります。つまり、公式な食品表示上は卵もnon-vegです。
そのため、「肉は食べないけれど卵は食べる」という人と食事をするときなどは、単にvegetarianかどうかだけでは分からない場合があります。
逆に、卵を食べない人もいます。食事を共にするときは、相手の食習慣を決めつけず、必要に応じて具体的に確認するのが確実です。
- Do you eat eggs?
卵は食べますか? - Is there anything you don’t eat?
食べないものはありますか?
仕事の会食を手配するときにも覚えておきたい表現です。
“pure veg”ならニンニクや玉ねぎも食べない?
インドでは、pure vegやpure vegetarianと掲げるレストランも見かけます。
ただし、pure vegだからといって、必ず「卵、ニンニク、玉ねぎをすべて使わない」という一つの決まった意味になるわけではありません。
特にジャイナ教では、肉だけでなく、ニンニクや玉ねぎなどの根菜類を避ける食習慣があります。Pew Research Centerの調査では、ジャイナ教徒の67%が根菜類を食べないと回答しています。一方、同じインドでも宗教、地域、家庭、個人によって食習慣には大きな違いがあります。
そのため、食事に制限がある場合は、pure vegという表示だけで判断せず、必要な食材について具体的に確認する方が安心です。
例えば、
- Does this contain onion or garlic?
これは玉ねぎやニンニクを使っていますか? - Do you have Jain food?
ジャイナ教徒向けの料理はありますか?
と尋ねることができます。
“regular”の中身は国によって違う
食事や飲み物を注文するときに気を付けたいのが、regularのような一見簡単な言葉です。
regularには「普通の」「標準の」という意味がありますが、何を「普通」とするかは地域や店によって変わります。
例えば、コーヒーを注文するときでも、日本で思い浮かべる「普通のコーヒー」と、別の国や地域で想定されるものが同じとは限りません。
2016年の掲載時、榎木薗鉄也さんは、インドでは砂糖やミルクを入れた濃いコーヒーが飲まれる場面も多く、薄いコーヒーをweak coffeeと表現する場合もあると紹介していました。
weak coffee自体は一般的な英語でも「薄いコーヒー」という意味で使える表現です。ここで大切なのは、「普通」「濃い」「薄い」といった感覚そのものが文化によって異なるということです。
注文するときに分からなければ、
- What do you mean by regular?
regularとは、どんなものですか? - Does it come with milk and sugar?
ミルクと砂糖は入っていますか?
と確認すれば安心です。
インド英語を知ると、文化も見えてくる
good nameのように現地の言語から影響を受けた表現もあれば、vegとnon-vegのように、その土地の食文化を知っていると意味がよく分かる言葉もあります。
英語は世界のさまざまな地域で使われています。そのため、同じ英単語でも、使われる土地によって意味やニュアンスが少しずつ変わることがあります。
「自分が知っている英語と違う」と戸惑ったときこそ、その背景を知るチャンスです。インド英語を知ることは、英語だけでなく、多言語・多文化社会であるインドを知る入り口にもなります。
インド英語の発音や語彙については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
インド英語の発音・単語の特徴は?聞き取りで戸惑いやすいポイント
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構成・文:浦子
オリジナル公開日:2016年9月15日
更新日:2026年9月16日
更新:ENGLISH JOURNAL編集部
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