こんにちは。KANAです。
今回はシリコンバレーで働くビジネスパーソンにインタビュー。世界的に有名な某半導体メーカーにお勤めのバリーさん(仮名)に「アメリカでの転職」の成功のカギについてお話しを伺ってみました。
日本の大企業での勤務歴17年。博士号を持つエンジニアが、キャリアアップにシリコンバレーを選んだ理由
きっかけ は?">シリコンバレーで働く きっかけ は?
日本からアメリカへの移住後、最初に勤めた会社は南カリフォルニアにある 小さなスタートアップ でした。ここではコンピュータービジョン技術を駆使した物体認識アプリケーションの開発や研究を行っていました。
スタートアップですからいろいろと細かい苦労も多かったのですが、それはそれでやりがいがありましたね。ちょうど数年して会社が軌道に乗り始めた頃、日本での自動車メーカーでの経歴を生かして、もう一度大きな組織でグローバルなプロジェクトに関わりたい、と思うようになったんです。
「 世界有数のIT企業が集まるシリコンバレーでいつか自分の実力を試してみたい 」と幼い頃から思っていたので、その夢をかなえるには今しかない!と思いました。
面接のプロセスはどんな感じでしたか?
はじめのうちは自分で履歴書を書いて、直接企業のホームページから応募していたのですが、結局この時電話は一度もかかってきませんでした。その後、 LinkedIn 1 の自分のプロフィール情報を工夫してアップデート* してみたところ、企業のヘッドハンターの方から直接コンタクトしてくるようになりました。
採用までの経過としては、 筆記試験?3次面接までは全てビデオチャット で行われました。
一般教養に関する試験のほか、エンジニア数人から過去のプロジェクトに関する質問を受けたり、技術面のテストを受験したりしました。時間にしてそれぞれ30分?1時間程度だったと思います。
LinkedIn で情報を公開する際、どんな点に工夫を凝らすとよいでしょうか?
これまで携わったプロジェクトについて、その 成果をできるだけ 具体的に 記述するのがコツ ですね。例えば「 売上 増加に貢献した」とザックリ書くのではなく、「自分の携わった????プロジェクトによって、 売上 が前年度に比べて15パーセント増加した」「????システムの導入により、労働時間を20パーセント削減させることに成功した」など、 具体的な 成果を数字で示す と印象に残りやすいです。
シリコンバレーで働きたいと思った理由は?
シリコンバレーにこだわる理由は3つあります。
1つ目の理由はシリコンバレーという、日々刻々と前進するテクノロジーの最先端の地に身を置ける醍醐味ですね。この体験ができるのは、 世界中でここしかない と言っても過言ではないと思います。
2つ目は優れた人材の受け入れには、 出身や人種、大学名は関係ありません 。そういった垣根を越えたオープンカルチャーなところも魅力です。企業に対する貢献度がそのままパフォーマンスとして 判断 される実力主義なので、成功すればそれに見合っただけの報酬があります。
営業部門であれば売り上げという 具体的な 数字がパフォーマンス評価に直接つながりますが、われわれエンジニアの場合はそういったわかりやすい評価はないというのが実情です。通常新プロジェクトのチーム結成時は、開発スキル(製品の 性能 、先進性、革新性など)やチーム内の協調性、コミュニケーション能力などを重視してリーダーを選出します。ですから、 実績を残せば、入社時期に関係なくどんどん大きなプロジェクトに関わるチャンスも舞い込んできます 。
3つ目は転職を考慮する上で忘れてはならないのが、家族の存在です。キャリア的には満足のいく選択であったとしても、家族がハッピーでいられる かどうか も大切ですからね。2人の娘を持つ父親として、居住地の治安や学校のアカデミックレベルは、非常に大切な決断要素でした。
ご存じかもしれませんが、 シリコンバレーの治安は全米一 2 ですし、国内トップレベルの高校や大学も多く存在 します。世界中から集まった優秀なビジネスマンのご家庭は、やはり教育熱心なところが多いですから、そういった環境は娘たちにもプラスになると思っています。
シリコンバレーに来る前の準備は?
第一にしなくてはならないのは、シリコンバレーに強いヘッドハンター、リクルーターを見つけることです。誰がいつ、あなたのプロフィールをチェックしているかわかりませんから、LinkedIn 上の公開情報を、常に最新の状態に保つことも大切ですね。
日本とは違うと実感するプラス面とマイナス面は?
プラス面 はこれまで育ってきた環境の全く異なる、世界中から集まった優秀な人たちとプロジェクトを組めることです。プロジェクトを通じて広がるネットワークも貴重ですね。
マイナス面 は、日本では終身雇用とまではいきませんが、ある程度従業員が守られている、雇用が保障されている、また安定した収入が見込める、と感じました。
シリコンバレーで働く人たちの中には(私も含めて)「一寸先は闇」というような心の不安は常に心のどこかにあると思いますよ。
若い世代であれば、「来年は別の会社へステップアップ」というようにフットワークの軽さも武器にできますが、やはり50代になった今は「安定感」を感じられる職場というのははそれだけで魅力的です(苦笑)。
シリコンバレーでは、1つの会社での勤務年数は平均2年と聞いたことがあるのですが、本当でしょうか?
若い世代ではそうですね。 2年以下、といってもウソではないかもしれません 。それだけ雇用の需要があるということではありますが、私のようなディレクターレベル(部長クラス)になると、求人そのものがぐっと少なくなりますね。ですから、職種・肩書による、といったところでしょうか。
- 年収に関する参考サイト:下記の求人サイトによると、 単純に1日8時間労働のフルタイム勤務で、年収$249,600位(2017年10月現在、日本円で約2,800万円)の計算。
シリコンバレーに来て学んだことは?
うわさには聞いていましたが、 物価の高さは尋常ではありません 。アメリカの他都市なら一軒家が購入できてしまう金額が、こちらではかろうじて「頭金」になる かどうか ・・・といったところですから。
面接の最終段階で、これまでとは比べ物にならない給与額を提示されたとしても、そこで二つ返事はしてしまわないことです。税金や健康保険など諸々を差し引いてどのくらい残るのかをきちんと見極めた方がいいです。また住みたいエリアの家の物件価格あるいは賃貸価格なども頭に入れておいた方がいいでしょう。
シリコンバレーで挑戦したい日本の若者へのアドバイスをいただけますか?
英語はアメリカ人のネイティブスピーカーのように流暢(りゅうちょう)でなくとも、チーム内でコミュニケーションが取れる程度の英語力があればOK です。文法的にパーフェクトな英語を話せるようになろうとTOEICのスコアに一喜一憂するよりも、ビジネススキルやコミュニケーションスキルに磨きをかけましょう。
シリコンバレーは多様性に満ちた、いわば弱肉強食の世界です。個性の強い人たちを前にしても怖気ずかずに自己 主張 ができるだけの高いコミュニケーション能力と強い精神力は必須です。
またどんなフィールドであっても「 これ に関して は負けない 」と言えるスキルがあることが大 前提 ですね。テクノロジー関連であれば、日々進化していく技術に柔軟に対応していけるよう、常に学習を続ける向上心も不可欠です。
オススメの本があれば教えてください。
マネージメントスキルを身につけるのに役立つ本を3冊ほど紹介します。
- 作者: ピーター・ティール,ブレイク・マスターズ,瀧本哲史,関美和
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/09/25
- メディア: 単行本
- 脱コンピテンシーのリーダーシップ―成果志向で組織を動かす
- 作者: デイブウルリッチ,ノームスモールウッド,ジャックゼンガー,Dave Ulrich,Norm Smallwood,Jack Zenger,DIAMONDハーバードビジネスレビュー編集部
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2003/10
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- Execution: The Discipline of Getting Things Done
- 作者: Charles Burck,Larry Bossidy, Ram Charan
- 出版社/メーカー: Random House Business
- 発売日: 2011/02/03
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文:KANA
カリフォルニア州在住の翻訳家・フリーライター。元大手英会話学校講師の経験を生かし、英語学習や海外生活に関するコラムの執筆および英会話教材の制作なども手掛けている。シリコンバレーを東奔西走中の3児の母。
*2 :シリコンバレーの治安は全米一:次の記事で最も安全な街として挙がっているサニーベール(Sunnyvale)、サンノゼ(San Jose)、フリーモント(Fremont)はどれも、シリコンバレーに位置している。
www.nbcbayarea.com
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