海外メディアが報じた日本に関するニュースから英語表現を学びましょう!今回は、日本の国技である「相撲」に関するニュースを取り上げます。
時事英語専門のオンライン辞書サイト「RNN時事英語辞典」編集長の廣川です。
世界で報じられた日本、今回はドイツ国営放送(Deutsche Welle)のWebメディアが報じた、「日本の国技 相撲が窮地?」の記事をご紹介します。
9月25日に千秋楽を迎えた大相撲秋場所。玉鷲が37歳10か月の最年長で優勝し話題を呼びましたが、相撲界に何が起きているのでしょうか。
以下の引用部分はすべて https://www.dw.com/en/sumo-is-japans-national-sport-on-the-ropes/a-63369732 から
Critics slammed poor technique, weak physical strength and the large number of top-ranked wrestlers who pulled out of the recent Autumn Grand Sumo Tournament in Tokyo with injuries.
相撲評論家は、技術の低さや体力不足、そして東京で行われた大相撲秋場所をけがで多数の上位力士が欠場したことを批判した。
横綱の照ノ富士は途中からけがで欠場、大関の正代と御嶽海は4勝11敗と大きく負け越しました。大相撲秋場所はAutumn Grand Sumo Tournamentと言います。
To underline their argument, critics pointed out that the overall victor after 15 days of bouts at Tokyo's Ryogoku Kokugikan Stadium was Tamawashi, who at the start of the tournament was ranked "hiramaku" — the fifth-highest classification for wrestlers.
この批判を強調するのに、東京・両国国技館での15日間の戦いの末、最終的に優勝したのは、初日時点で上から5番目の番付である「平幕」の玉鷲であったことを評論家は指摘した。
玉鷲は前頭三枚目からの優勝で大活躍でしたが、その一方で横綱や大関陣が不調でした。
The Sankei warned, "Hollowing out of the upper ranks will be inevitable. If this situation continues, the national sport cannot escape the slander of merely being a signboard" of what the sport used to be, adding that unless the Japan Sumo Association (JSA) takes urgent action, fans of the sport will show their displeasure by no longer attending tournaments.
産経新聞は、「上位の空洞化は避けられない。状況が続けば、この国技はかつての相撲の姿のただの看板に過ぎないという批判を免れない」。さらに日本相撲協会は緊急に対策を取らないとファンが離れ不満を示す、と警告する。
相撲にも改革が必要だとする日本の新聞の社説を紹介しています。cannot escape the slander of …は「...という批判は免れない」という表現です。
国技の伝統が、変化を難しくしている事情があります。
Yet too many people in the sumo world resist change, he continued. "It's a very small, conservative world where all the decisions are made by veterans of the ring according to a strict hierarchy," he said. "They do not like to see changes, they don't like outside critics and they don't much like to see foreign wrestlers being the best at a 'Japanese sport.'"
しかし、変化に抵抗する人たちが相撲界にはあまりにも多いと彼(=スポーツライターの井川洋一氏)は続けた。
「すべての決定は厳格な階級に従う引退力士たちが下す、とても狭く保守的な世界。変化を見ること、外部の評論家は好きではなく、国技において外国人力士がトップに位置するのもあまり好まない」と彼は言う。
一方で、このような問題も。
"The quality of wrestlers will fluctuate up and down, just as it does in any sport," Varcoe described. "The bigger problem that sumo faces right now is that Japan has a rapidly aging population and there are not enough children coming through to take up the sport," he said.
どのスポーツでもあるように、力士の質は上下する。Varcoe氏(イギリスのジャーナリスト)は言う「相撲が今直面しているより大きな問題は、日本は急速な高齢化が進行しており、相撲を始める子どもが不足していることだ」
将来の力士のなり手が少ない点を指摘。記事では、若者は稽古のために早起きすることは好まないとも。また外国人力士を迎え入れたことで相撲界が活性化した事例も紹介しています。
come throughはいろいろな意味がありますが、ここでは相撲を始めようと自分の「姿を表す」といった意味合いでしょうか。take upはスポーツや習い事を「始める」という意味です。
いかがでしたでしょうか。スポーツとしても日本独特の文化としても海外からの興味を集めている相撲ですが、その魅力を保つのにはいろいろな課題がありそうです。
次回の配信をお楽しみに。
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