『 英語でボランティアガイド 』(アルク刊)の発売を記念して「明治神宮で英語ボランティアガイドに挑戦!」への参加者募集をしたところ、多数の方にご応募いただきました。9月30日のイベント当日、厳正な抽選で選ばれた5名の方と、外国人ゲスト役をしてくださった日本語学校の学生さん3名、そして著者で通訳ガイド(通訳案内士)の葛西朋子先生とともに、実際に明治神宮を訪れました。( 協力 : ABK学館日本語学校 )
いよいよイベント当日
さっそく明治神宮へ!JR原宿駅近くの南参道からスタートし、順路に沿って本殿までの、英語ガイドの仕方を詳しく紹介します。
1.英語ボランティアガイドって?
今回のイベントで当選者のみなさんがチャレンジするのは、「英語ボランティアガイド体験」。明治神宮の案内スポットを1つ選び、ガイドする内容をあらかじめ考えてきていただきました。
葛西先生の言葉によると、英語ボランティアガイドとは「英語を理解するゲスト(主に海外からの旅行客)を対象に英語で観光地や街を案内し、ゲストと楽しい体験と時間を分かち合うこと」。基本的には日常の延長線上にある活動で、肩ひじ張らず、ゆっくり長く続けていくもの。それが英語ボランティアガイドだと、葛西先生は言います。
2.JR原宿駅 表参道口に集合!明治神宮に向けて出発
JR原宿駅から5分ほど歩くと、大きな一の鳥居が見えてきます。ここから明治神宮の中へと進みます。一の鳥居の前の開けたエリアで、簡単に自己紹介し合いました。
ここで、本日の参加者をご紹介しておきましょう。
・葛西朋子先生(通訳ガイド、『英語でボランティアガイド』著者)
・当選者のみなさん
マユミさん、ミズホさん、カツヒロさん、クミさん、エリさん
・外国人ゲスト役のみなさん(いずれもマレーシア出身)
ケイさん、キーンイーさん、リューさん
ここで一つ注意点があります。鳥居をくぐる、手水を使う、参拝するなどの行為は、あくまでも、ゲストがOKであれば実際に試してもらうようにしましょう。ゲストによっては、これらを行うことが、信仰的にNGに当たる場合があります。今回は参拝OKな人たちが集まりました。
通訳ガイド・葛西朋子先生のモデルガイドin明治神宮
1.明治神宮の概要と神道について
まずは、葛西先生のモデルガイドを聞きます。当選者のみなさんは、メモを取りつつ葛西先生のガイドに聞き入ります。外国人ゲスト役のみなさんも時折うなずきながら、説明を受けていました。
- 明治神宮は1920年に、明治天皇と昭憲皇太后(明治天皇の皇后)のために建てられた神社
- 神道とはどんな宗教でどんな考え方を持つのか、神社とはどんな場所か
- 神道と仏教の違い など
2.一の鳥居
続いて、目の前にそびえたつ「一の鳥居」について説明します。一の鳥居には、金色の大きな菊の紋章がついています。そこから、天皇についても話が及びました。
- 鳥居とはどういうものか
- 一の鳥居の素材(台湾産のヒノキでできている)
- 金色の大きな菊の紋章は、天皇家の家紋
- 天皇について など
また、鳥居をくぐるときは、軽く一礼し、端のほうを歩くことを伝えます。真ん中は「神様のお通りになるところ」とされているので、私たちは端のほうを歩くのだそうです。
3.清酒菰樽(こもだる)
一の鳥居をくぐり、しばらく参道を歩くと、右側にずらっと菰(こも) *1 を巻いた酒樽が見えてきます。ここは「清酒菰樽(せいしゅこもだる)」と呼ばれる場所で、ゲストには特に喜ばれる撮影スポットです。酒樽に日本らしい模様や漢字があしらわれており、いかにも「日本に来た!」という写真が撮れます。外国人ゲスト役の3人も楽しそうに写真を撮っていました。
清酒菰樽の前での葛西先生のガイドを、動画でちょっとのぞいてみましょう。
4.葡萄(ぶどう)酒樽
また、清酒菰樽の向かい側には葡萄酒樽があり、ずらっとワインの樽が並んでいます。これらの樽は、はるばるフランスからやってきたそうです!
参加者が英語ボランティアガイド挑戦 in 明治神宮
1.日本一の大鳥居
ついに、「英語ボランティアガイド体験」スタート! トップバッターはマユミさんです。「目標はガイド体験中に1回でも笑いを取ること」というマユミさん。日本一の大鳥居の前でガイドを披露しました。
マユミさんが 'If you want to buy a torii, you can buy one on the internet. If you do want to buy one, please tell me.'「鳥居を買いたいなら、インターネットで買えるんですよ。欲しい方は私に お知らせ くださいね」と言うと、大受け!場が一気に和みました。
大きい声で、表情豊かに伝えた点がとてもよかったですね。この場所は、人通りも多く、普段あまり長くは立ち止まれない場所です。内容をコンパクトにまとめてあり、その点もよかったです。また、ご自分で調べた内容を盛り込んで、この鳥居が再建されたものだということもきちんと伝えてらっしゃいました。笑いを取ったのもお見事でした。(葛西先生)
2.手水舎(てみずしゃ)
続いてガイドを担当するのは、ミズホさんです。「人と接することが好きなので、楽しんで 取り組み たい」というミズホさん。少々緊張しつつ、手水舎で実際の 手順 を見せながら、外国人ゲスト役の3人に案内しました。
少しの緊張はいいものを生み出しますので、緊張することは悪いことばかりではありませんよ。柄杓(ひしゃく)一杯の水で両方の手を清めますから、柄杓にはたっぷり水をくんで大丈夫。水はきれいですが飲み水ではないことや、残った水は所定の場所に流すこともお伝えできるといいですね(葛西先生)
3.本殿での参拝
本殿での参拝方法を案内するのは、カツヒロさんです。「TOEICをメインに英語を勉強しているので、話すことが少し苦手ですが、英語ボランティアガイドに関心があります」とおっしゃるカツヒロさん。ご自分の番が近づくにつれて、緊張が高まったようです。
人前で話すことって、緊張しますよね。ガイド内容を丸暗記するよりも、キーワードを入れておく程度の方が、まる覚えしたはずの英語が出てこなくて焦ることもないので、おすすめします。また、英語が出てこなくなったら、実際にやってみせるというのも一つの方法。経験がご自分を強くしますので、ぜひ、またチャレンジしてください!(葛西先生)
4.絵馬所について
本殿での参拝を終え、次に向かったのは絵馬がかけられているところです。ここでガイドに挑戦したのがクミさんです。
「オリンピックのボランティア養成講座の抽選に落ち続けて2年」というクミさんは、絵馬についてしっかり調べていました。もともとホンモノの馬を奉納したのが、絵馬の由来だったとは!
途中で『メモを見ていいですか』と断ってから案内をされていました。メモを見ることで落ち着いてガイドできるのであれば、英語ボランティアガイドとしては、一つの解決方法になると思います。絵馬は『神様から授かるもの。授けていただくもの』『持ち帰りは不可』ということも伝えるとよいでしょう(葛西さん)
5.お守りについて
最後にエリさんが、お守りについてガイドをしてくれました。「神社やお寺、歌舞伎などの日本文化が好きで、日本に来て下さる海外のみなさまに英語で紹介できたら」と抱負を述べていたエリさん。外国人ゲスト役の3人に 'Have you ever bought an amulet?'「お守りを買ったことはありますか?」と問いかけつつ、ガイドをスタートしました。
コミュニケーションを取りながらガイドする姿が印象的でした。もう少し近くでお話しするか、大きな声で言えるといいですね。いかがでしたか?いろんな種類のお守りがあることを伝えていましたが、どんな意味を持つお守りがあるか、 具体的に 説明するとより内容がふくらむでしょう(葛西先生)
後半は次回に続きます。日本の文化、七五三や日本食の頂き方を英語で紹介する際のポイントをご紹介します。お楽しみに!
葛西朋子さんの著書はこちら
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