アルク教育総合研究所 木下あおい
みなさま、こんにちは!アルク広報チームの河合です。アルクの新刊やサービス、イベントや 取り組み などの情報をお届けする「アルク広報ニュース」。今回は、 アルク教育総合研究所 (略称:アルク総研)が調査した「日本の高校生の英語スピーキング能力」の実態にスポットを当てました。
今月のスポットライト
高校生のスピーキング力と英語学習実態を3年間調査して見えてきたこと
アルク総研は、英語教育・学習に関する研究を行うアルクの機関です。どのような学習が成果に結び付きやすいかなどを調査・研究し、情報発信、及び、調査をもとにした教材・サービスの開発・ 改善 提案、テスト開発などを行っています。
このたびアルク総研では、「日本の高校生の英語スピーキング力」に関する調査レポートを発表しました。これは、同一生徒275人のスピーキング力を高1から高3にかけて追跡調査し、高校3年間でどのような学習をすると、どれくらい英語スピーキング力が伸びるのかを 分析 したものです。
調査を担当したアルク総研・研究員、木下に話を聞きました。
木下:本レポート 「日本の高校生の英語スピーキング能力実態調査 Ⅲ―高校3年間で高校生の英語力はどのように変化したか―」 を7月末に公表して以降、学会や教育関係者向けの催しなどで発表する機会がありました。
大学の先生方を中心に「高校生のスピーキング力を3年間追跡した英語力調査のデータは貴重で興味深い」「高校の指導実態と関連付けての 分析 が参考になる」といった声をお寄せいただいています。 今後は 、高校の先生方を対象としたセミナーや媒体などでも、調査結果をお伝えしていく予定です。
この調査は2015年に開始しました。2020年度に始まる大学入学試験の4技能化を控えて、「高校段階でのスピーキング能力育成」への関心が高まる一方、その高校生の「スピーキング能力の実態」に関わるデータがまだ 少ない という実情からでした。
高校生の英語スピーキング力はどのくらいあるのか、授業内外でのどのような学習がスピーキング力を伸ばす上で効果があるのか。その概略を 把握する ことを目的とし、効果測定には、電話で受験可能な、英語スピーキング力を測定するテスト「TSST」 *1 を使用しました。
調査 協力 校を募った結果、3つの高校に 協力 をいただいて、生徒さんを追跡調査しました。高1ではどの高校もTSSTレベル3の生徒が最多でした。
レベル3は「不完全ながらも、短い簡単な文で、簡単な自己紹介や食事の注文ができる」レベルです。それが高3までには一つの高校で、「簡単な文を作って学校生活について簡単に話すことや、相手への質問などができる」TSSTレベル4の 取得 者が最も多い結果に 推移 しました。英語スピーキング力向上が見られたわけです。
他の2校では、レベルアップした生徒もいたものの、最も多いレベルは高1から高3まで一貫して3のままでした。
この違いが出た要因について、「学習時間」「学習内容」「その他の要因」の3つの観点から 分析 し、本レポートでは次のように考察しています。
- 高校生が、高校1年次から3年次にかけて英語スピーキング力をアップさせるには、「3年次の時点で、授業中や自宅などで少なくとも 週7時間以上の英語学習 が必要」で、さらに「単語・文法学習から英文を作って発信する活動まで、さまざまな学習を、それぞれ 週に30分以上 実施する ことが望ましい」。
- 英語(学習)に対して前向きであること、大学入試で英語が必要となること、英語圏へ滞在・留学した経験があることは、 スピーキング力向上に良い 影響 がある かもしれない が、必須条件ではない と見られる。
4技能の 強化 に努めているものの、スピーキング力向上のための新たな学習を加えるべきではないかと不安をお持ちの先生方には、ご自身の指導に自信を持っていただける きっかけ となるデータではないでしょうか。
また、レポートでは、偏りなく学習させることが難しい場合でも取り入れやすい、スピーキング力向上につながる工夫についても紹介していますので、ぜひご覧いただければと思います。指導にお悩みの先生方に、少しでもご参考となる部分があれば、うれしく存じます。
アルク英語教育実態レポート(Vol.11)「日本の高校生の英語スピーキング能力実態調査 Ⅲ-高校3年間で高校生の英語力はどのように変化したか-」 (PDF)
関連記事
gotcha.alc.co.jp plus.alc.co.jp新刊案内
1. 『ENGLISH JOURNAL』10月号(9月6日発売)
160カ国・地域で24時間放送されているNHKの英語チャンネル「NHKワールドJAPAN」を、英語学習者が利用しない手はありません。今回の特集は、英語指導のプロ・松岡 昇先生が必見・必聴の番組を厳選し、その活用術と合わせてご紹介します。
特別企画の、「英字新聞の読み方、教えます」では、英字新聞の読み方について、記事の構造、使われる特徴的な単語や用法まで徹底解説します。
- 出版社: アルク
- 発売日: 2018/09/06
- メディア: 雑誌
2. 『英語[3秒速答]スーパートレーニング』(8月7日発売)
英語で聞いて、英語で考え、英語で素早く答える。中学校レベルの平易な英語で「暗算問題」「クイズ」「文法問題」にクイックレスポンスする練習で、頭の中に英語の回路を作り、素早く 処理する 反射神経を養います。1日10分X15日の練習で、ゲームに挑戦する感覚で会話力とリスニング力を伸ばしましょう。
- 作者: 晴山陽一
- 出版社: アルク
- 発売日: 2018/08/07
- メディア: 新書
3.『英語は2語で何でも言える!』(8月10日発売)
ビジネスパーソンのニーズや悩みを知り尽くした企業研修のプロが、「スピード・精度・効果」を重視した英文メール作成術をお教えします。
本書は、書き方・作法を学べる「教本」、分からないことを調べる「レファレンス」、仕事を楽にする「素材集」と、1冊で多くの機能を備えています。「定型表現集」「テンプレート集」も収録。ダウンロード特典は、音読・タイピング練習用の音声です。自分の弱点やニーズに応じて、じっくり学べます。
- 作者: 阿部一
- 出版社: アルク
- 発売日: 2018/08/10
- メディア: 単行本
すぐに 役立つ! 英語の決算書の読み方』(8月10日発売)">4.『ゼロから始める! すぐに 役立つ! 英語の決算書の読み方』(8月10日発売)
「私は経理部じゃないので、決算書が読めなくても関係ない」――こう考える人は少なくありません。でも、決算書の数字を読んでビジネスの 改善 策を考えることは、ビジネスパーソンに必要なベーシックスキルともいえます。そして、もし英語の決算書も読めるなら、キャリアの 可能性 は大きく広がるでしょう。
本書は、グローバルに仕事をする上で身に付けておきたい、「財務 分析 」の基礎、関連する「英語」を 同時に 学べる1冊です。主な対象読者は会計の知識を持たない人。英語の決算書の読み方について初学者がおさえるべき、かつビジネスで すぐに 役立つポイントをお教えします。
- 作者: 建宮努
- 出版社: アルク
- 発売日: 2018/08/10
- メディア: 単行本
5.『キクタンスペイン語【初中級編】』(8月14日発売)
チャンツ音楽のリズムに乗りながら、楽しく単語を覚えるキクタンシリーズ『キクタンスペイン語』の3冊目となる【初中級編】。
日常の身近な出来事から、学習、仕事に関する内容のコミュニケーションを図る上で役立つ表現まで、848語が収められています。例文はシンプルな表現でありながら、使い勝手のよさを念頭に置き作成しています。また、関連する語彙はまとめて同一ページに並べて掲出しているため、効率よく語彙を増強することができます。
- 作者: 吉田理加
- 出版社: アルク
- 発売日: 2018/08/14
- メディア: 単行本
6.『夢をかなえる英作文 新ユメサク』(8月23日発売)
2013年に刊行した『夢をかなえる英作文 ユメサク』が、最新の入試 傾向 に合わせ、新しくパワーアップして登場。英作文上達のカギとなる「和文和訳力」を鍛える反復トレーニングで、英語の発信力を身に付けます。
問題文をより分かりやすい日本語に落とし込むことができれば、難解と思われる文でも英語で表現することが可能です。和文和訳力のコツをしっかり伝授します。
- 作者: 木村達哉,丸山晃
- 出版社: アルク
- 発売日: 2018/08/20
- メディア: 単行本
ニュース
今後 開催予定のイベント1~4は東京開催です。
1. ロバート・ヒルキのTOEIC(R) L&Rテスト800点奪取! LIVE(9/29・9/30)
第10回TPS(TTT Prep School)として開催する本セミナーでは、日本のTOEIC対策指導の草分け的存在である、ロバート・ヒルキ先生が、800点 取得 を目指す学習者に向け、英語で全パートの対策を講義します。
先生の分かりやすい英語レクチャーで、リスニングのための「耳」もたっぷり鍛えられます。テキストは、TOEIC学習者のバイブルとも言われる『TOEIC(R)テスト 直前の技術』を使用。
講義はすべて録画して、後日WEB上で共有します。12時間以上にわたる先生の講義で、実力アップができるお得なセミナーです!
▼お申込み・詳細はこちら▼
https://www.alc.co.jp/seminar/detail/18092930.html
2. アルク主催「大学のグローバル化 情報交換セミナー Vol.18」(9/29)
18回を数える本セミナーシリーズ。今回のテーマは「多様化する社会における大学英語教育の取組み 事例 」です。主に英語の先生、大学ご関係者の方々を対象に開催します。
ますます多様化する大学英語教育において、特徴的な 取り組み に注力している大学3校からご講演者をお招きします。各大学の英語教育について、 具体的な 取り組み 、工夫、ご苦労された点などをお話しいただきます。定員40名。
▼お申込み・詳細はこちら▼
https://www.alc.co.jp/seminar/detail/180929.html
3. 英語教育支援セミナー「大学入試改革と英語4技能試験セミナー」(10/19)
株式会社アルク、株式会社GLOBAL VISIONの共同開催。主に英語の先生、大学ご関係者の方々が対象です。
2020年度からの「大学入学共通テスト」や民間の資格・検定試験の導入に際して、さまざま情報が交錯し不安に感じている先生が数多くいるとみられます。
本セミナーでは、大阪大学 高等・入試研究開発センターの山下仁司教授と、アルク教育総合研究所の平野琢也所長が登壇。大学入試改革のポイントを分かりやすく 整理 してお伝えするとともに、「高校生のスピーキング力 推移 調査」の結果を踏まえた、4技能を効果的に鍛える方法などをご紹介します。定員50名。
▼お申込み・詳細はこちら▼
https://ndsnet.com/alc-event/20181019/
4. 第2回 松本道弘先生の英語特訓白熱教室~2日間完全英語漬け!同時通訳トレーニングから六角ディベートまで~(10/20・21)
米国大使館同時通訳者を務め、日本におけるディベートの始祖ともいえる活動を続けてきた松本道弘先生が本気の英語学習者に贈る、英語漬け2日間の特訓セミナーです。
この講座では、英語による本物の発信力を身に付けるために、さまざまなアクティビティーをソロワーク、ペアワーク、グループワークといった形を交えながら「All English」で行っていきます。
日本語禁止の環境下で、即興スピーチから同時通訳練習、六角ディベートの体験まで、自分に起きる「英語の化学変化」をぜひ体験してください。定員30名。
▼お申込み・詳細はこちら▼
https://www.alc.co.jp/seminar/detail/18102021.html
5. 【開催報告】『翻訳地獄へようこそ』刊行記念イベント、大盛況
エッセー集『翻訳地獄へようこそ』の刊行を記念し、去る8月23日、東京・下北沢の書店「本屋B&B」で、著者の翻訳家・宮崎孝雄さんと、書評家の豊﨑由美さんとの対談イベントが 実施 されました。
アルクの会報誌『マガジンアルク』(2017年に休刊)では、それぞれの連載(「英語翻訳ミヤワキ研究室」「豊崎由美の異世界へのブックガイド」)が重なっていた時期がありますが、お二人の面識はなく、今回が初顔合わせ。それが信じられないほどに、息の合った掛け合いが繰り広げられました。
宮脇さんが若かりしころ、当時の翻訳界の大御所に誤訳を厳しく 指摘 された話、翻訳 作業 の合間に藤沢周平の時代小説を読むとなぜいいのかなど、ほかでは聞けない翻訳に関するさまざまなエピソードを、ウィットに富んだ語り口で次々にご披露いただき、満席の会場は笑いが絶えませんでした。それらは、豊﨑さんの巧みな誘導から引き出されたもの。豊﨑さんの海外文学や書評についての高い見識と、翻訳に対する深い踏み込みで、とても内容の濃い時間となりました。
本書は、『週刊文春』(8月30日号)の書評コラム「私の読書日記」でも取り上げられるなど、注目いただいています。
- 作者: 宮脇孝雄
- 出版社: アルク
- 発売日: 2018/06/22
- メディア: 単行本
豊﨑由美さん(左)、宮脇孝雄さん(右)
6. 理系・医療の世界でがんばる方を応援する「理系・医学の英語応援キャンペーン」を9月30日まで開催
理系の公用語は英語。論文の執筆や国際学会でのプレゼンなど、全てはベースとなる「英語の情報力」にかかっています。質のいいアウトプットのためには、まず「インプット力」を身に付け、その上で「アウトプット力」を磨くのが効果的です。
また、医療・看護の現場では、年々増加する訪日外国人の数に伴い、外国人患者に対応するための英語力が求められています。
アルクでは、理系、医学・医療、看護、薬学の分野でがんばる皆さんを応援するため、効率よく目的に合わせて学べる書籍セットを、お得なクーポン割引で提供しています。また、理系英語の通信講座を特別価格で提供する「理系・医学の英語応援キャンペーン」も 実施 中です。
ぜひこのチャンスに、理系・医学の英語力を磨いて、活躍の場を広げてください。
▼詳細はこちら▼
https://ec.alc.co.jp/lp/bunkyo/rikei1808/
それではまた、来月にお会いしましょう!
文:アルク 広報チーム
アルクのあれこれ情報を、もっとたくさんの方に知ってもらおうといろいろ活動中。
◇アルクってどんな会社?と思われたら「会社案内」へ https://www.alc.co.jp/company/
◇言葉やコミュニケーションについての情報なら「アルクplus」へ
https://plus.alc.co.jp/
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。