TOEIC L&Rテストのスコアをアップするには、英語力を上げるのと 同時に 、受験力(試験で実力を発揮するためのテクニックなど)も上げる必要があります。 事前に 頭に入れておきたいこと、準備しておきたいことを、スピーキングやTOEIC対策指導のエキスパート、冨田三穂さんにうかがいます。
まずは敵を知ること
サッカー部の監督をしている知人から聞いた話です。その監督は、初戦敗退続きだったチームを、わずか数年で全国大会まで進むレベルへ成長させたとのことでした。
その秘訣は何かと聞いたところ、「敵を知ること」と一言。
相手チームの映像を何度も確認しながら特徴や癖などを徹底的に研究し、それらに基づいて練習メニューを組むようにしたそうです。
TOEICテストでも同じです。TOEICテストには明らかな 傾向 があります。
明らかな 傾向 があるものには、対策が効くのです。まずは敵を知る。特徴を知って、それに合わせて練習をすることが、勝利への近道です。
基礎力を鍛える
もう一つ大事なことは、基礎力を鍛えることです。そう理解していても、どうすればいいかわからない……。多くの方に共通する悩みです。
例えば、マラソンを始めたとしましょう。目標はフルマラソンに出ること。でも、オリンピックの映像を毎日見ればタイムが上がるということはありませんし、ランニングの教本を読めば目標を達成できるわけでもありません。
まずは、基礎となる腹筋や背筋を鍛えて走り込み、フォームを作ることが、確かな走りへとつながるのです。
英語も同様です。見ているだけ、聞いているだけでは上達しません。
基礎となる単語を毎日覚えたり、声に出して繰り返し音読練習をしたり。このような基本的な練習の積み重ねが、TOEICテストでの成果となっていくのです。学問に王道なし。地道に基礎練習を重ね、成果を勝ち取ってください。
受験力(テクニック)を磨く
最初にお話しした「敵を知ること」に通じることですが、英語の底力を上げると 同時に 、制限時間(それもかなりタイトな)がある試験で、持っている英語力をフルに発揮するための受験力も磨く必要があります。
1.脳内リピート
TOEIC L&RのPart 2で使えるテクニックです。問題文の疑問詞を和訳して、頭の中で繰り返しながら選択肢を聞きます。こうすることで、効率よく正答を見分けることができます。
2.スリーフィンガー法&レ点チェック
どちらも、より確実に正解の選択肢を押さえるためのテクニックです。前者はマークしたい選択肢を指で押さえていき、正解を逃さない方法です。後者はレ点を使ってマークシートへの解答記入時間を短縮するコツです。
3.Part 5と6に時間をかけすぎない
自分にとって難しいレベルの問題をスキップするなどして、Part 5と6に無駄に時間をかけないことが大切です。Part 7にどれくらい時間を残せるかが、本番ではモノを言います。
4.難易度に合わせて時間を使う
Part 7の長文読解問題は易しいものから順に長文が並んでいます。問題を解く順番を工夫することで、「解けるレベルなのに時間切れで解けなかった問題」の数を減らすことができるでしょう。
5.勉強の習慣化
TOEIC L&Rはの試験時間は2時間です。2時間集中力を持続させるためには、日々、学習時間を確保して学習を習慣化し、集中力を養うことが大切です。
6.音練習のススメ
模試などの問題を解くことでリスニング力はアップしません。リスニング力をアップさせるためには、リスニングの問題を使ったアウトプット(声に出す)のトレーニングをする必要があります。
7.速読を鍛える
速く読む力を身に付けることは、リーディングのみならずリスニングの対策にもなります。問題の先読み(音声が流れる前に問題とその選択肢に目を通すこと)も余裕でできるようになります。
8.長期記憶の法則
単語の学習に王道はありません。なるべく早く、手をかけずに覚えるには人間の記憶のメカニズムを知る必要があります。
脳には短期記憶と長期記憶とがあります。短期記憶として蓄積した事柄は すぐに 忘れてしまいます。短期記憶として覚えたことを、長期記憶として定着させる方法を知っておきましょう。
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冨田三穂(とみた みほ)
神田外語大学講師。『1000時間ヒアリングマラソン』の「スピーキング魂」担当コーチ。慶應義塾大学文学部卒業。上智大学大学院言語科学研究科博士前期課程修了(専攻:言語学)。英検1級、TOEIC990点。アルク主催TOEICテストスコアアップ指導者養成講座第12期生。大手英会話スクール講師や通訳・翻訳者を経て、現在は、自らが経営する「T’z英語ラウンジ」などで大学生、ビジネスマンを対象とした授業やセミナーを担当。監修に通信講座『TOEIC LISTENING AND READING TEST 完全攻略500点コース』(アルク)、カシオ電子辞書「EX-word RISE 」学習プログラム監修 協力 、共著書にユーキャンの通信講座『TOEICテスト対策講座』、『TOEICテスト学習スタートブック 全パート編』(Jリサーチ)など。
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