近現代の英米文学作品を独自の視点で選び抜いて翻訳し、日本の読書界を動かしている翻訳家・柴田元幸さんが、翻訳に対する考え方や自身の翻訳手法について述べた、とっておきの100の言葉を1冊にまとめた本が発売されました。
- 作者: 柴田 元幸
- 出版社: アルク
- 発売日: 2020/01/29
- メディア: 単行本
すべての人に響く至極の名言集
『ぼくは翻訳についてこう考えています -柴田元幸の意見100-』は、エッセイや講演、対談、インタビュー、東京大学での授業などを記した、さまざまな文献、音声資料、ウェブサイトなどから柴田元幸の名言を選び抜いて編んだ語録集です。
構成は「ぼくが考える翻訳とは」、「ぼくの翻訳手法1&2」、「ぼくが考える翻訳という仕事」、「ぼくの翻訳の教え方」、「ぼくと村上春樹さんとのお仕事」、そして番外編として「ぼくから若い人たちへのメッセージ」の全7章。
翻訳とは結局、何をどうすることなのか、翻訳をするときに頭と身体はどう動いているのか、といった練達の翻訳家ならではの言葉から、実はあまり本を読んでいなかった若き日々、不登校になりかけた幼少時代を踏まえての若い人たちへのメッセージまで、リズミカルな言葉で紡ぎ出されます。
柴田訳のファン、翻訳に興味のある方、英語を勉強中の方、本が好きな方、言葉について考えるのが好きな方、そして、なぜだかこの本を手に取ってしまったあなた・・・。どなたにもおすすめの一冊です。
村上春樹さんの推薦文を、帯裏に掲載しています。
目次
第一章 ぼくが考える翻訳とは:理想の翻訳、自然さも等価で、正しくて当たり前、東京での生活は「翻訳」だ 他
第二章 ぼくの翻訳手法 その1:なぜyouを訳さないのか、ファッションと車とゴルフは、聖書は事実に勝つ、翻訳者泣かせのturn、かなり2だが2でなくても 他
第三章 ぼくの翻訳手法 その2:忠実さが仇になる、ダジャレをどう訳すか、しっくりくる言葉しか使えない、不透明さも作品の一部、漢語と和語のせめぎ合い 他
第四章 ぼくが考える翻訳という仕事 :原文を見ずに訳す、頭のいい人は翻訳に向かない、職業適性検査の結果、 柴田元幸の「翻訳以前」、 とりあえず 先へ 他
第五章 ぼくの翻訳の教え方:むにゃむにゃよりちょっと良くする、読点は人格上の問題だ、受験勉強が役に立つ、和製英語は恥なのか、たらこスパゲティの出現 他
第六章 ぼくと村上春樹さんとのお仕事:村上春樹の翻訳の特徴、誤訳を 指摘 される、キュウリみたいにクール、 腎臓移植?、翻訳する作家たち 他
[番外編] 第七章 ぼくから若い人たちへのメッセージ:原書と翻訳書どちらを読むか、わからなくてもかまわない、ああいうのは聞き流していいと思う、見栄で読む、英語を読める喜び 他
- 作者: 柴田 元幸
- 出版社: アルク
- 発売日: 2020/01/29
- メディア: 単行本
著者プロフィール
柴田元幸
1954(昭和29)年、東京生まれ。米文学者、東京大学名誉教授、翻訳家。ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、レベッカ・ブラウン、ブライアン・エヴンソンなどアメリカ現代作家を精力的に翻訳。2005 年にはアメリカ文学の論文集『アメリカン・ナルシス』(東京大学出版会)でサントリー学芸賞を、2010年には翻訳『メイスン&ディクスン(上)(下)』(トマス・ピンチョン著、新潮社)で日本翻訳文化賞を、また2017年には早稲田大学坪内逍遙大賞を受賞。文芸誌「MONKEY」(スイッチ・パブリッシング)の責任編集も務める。