英語のジョークやパロディーが分からない!そんなとき読みたい本【ブックレビュー】

英語力の高い人でも、なかなか理解できないのが英語のジョークやパロディーです。単語も文法も簡単なのに、どこが面白いのか分からないとモヤモヤしますよね。そんな経験のある方に、この本がおすすめ!

著書の杉田 敏(すぎた さとし)さんはどんな人?

英語やビジネス、コミュニケーションについて、多数の著書を持つ杉田さん。

大学卒業後、1960年代に日本で英字新聞の記者となり、70年代にはアメリカに留学。現地で新聞記者として活躍したあと、さまざまな企業の役員を歴任してきた、ビジネス英語界の嚆矢(こうし)です。

1987年から30年以上にわたり、NHKラジオで、ビジネス系英会話番組の講師を務めてきたことでも知られています。「Hello everybody. 杉田 敏です。」というオープニングに、聞き覚えのある方も多いのでは?

そんな杉田さんの知識と経験が、ぎっしり詰まっているのが本書。内容は充実していますが、新書版で気楽に読めるのがうれしいところです。

本書によれば、標語やそのパロディーのような短い英文を one- liner と呼ぶそう。杉田さんが厳選した one- liner を、早速チェックしてみましょう!

安全運転は日米共通!

安全運転が大切なのは、アメリカでも日本でも同じ。アメリカにはこんなスローガンがあります。

Drive carefully. It's not only cars that can be recalled by their maker.

安全運転を。メーカーによってリコールされる場合があるのは、車だけではない。

何が言いたいのか分かりますか?これだけではぴんときませんね。

この場合、ポイントとなるのは maker という単語です。 maker にはいわゆる製造業者(ここでは自動車メーカー) のほかに「創造主」「神」という意味もある のです。

つまり「気を付けて運転しないと、神様によってリコールされるかも」というニュアンスになるのです。これは怖い!

もうひとつ。

Drive like hell ... and you'll get there.

無謀運転をすれば・・・そこに到着することになる。

「hell のように運転する」とくれば何となくイメージできると思いますが、 drive like hell で「車を猛烈に飛ばす」 ということ。そんなことをしていれば「 there=hell に到着してしまう」というわけです。やっぱりちょっと怖い!

続いては、線道路沿いの看板にあったというフレーズです。

Driving is like baseball. It's the number of times you reach home safely that counts.

の運転は野球のようなもの。大切なのは無事に帰宅する回数です。

home や safely 、count という野球用語を使っていますね。「カウントされるのは、セーフで生還(ホームイン)する回数です」ということです。

これは球場近くの看板に、大きく書き出したらいいかも。帰るまでが野球観戦です!

家事が面倒くさいのも日米共通!?

世の中には「掃除が趣味」という奇特な方もいるようですが、「できればやりたくない」という方が多数派では?アメリカ人もそうらしく、本書にはこんなフレーズが載っています。

A clean kitchen is the sign of a wasted life.

きれいなキッチンは無駄にした人生の印。

「キッチンをきれいにしておくなんて時間の無駄だ」ということ。

最近、とかくモノの 少ない 家がもてはやされる 傾向 にありますが、生活している空間に「生活感」があるのは当たり前ではないでしょうか。生きているからこそ、毎日食事を作るからこそ汚れるのです!汚れたキッチンは(程度によりますが)生活の証し!

家事と言えば、このところ、日本では家庭料理に求められるレベルが高すぎることが話題になっていますね。安全な食材を使って、栄養バランスの取れた料理を毎食作る。さらにそれをずっと続けるのは至難のわざです。もうこれでいいのでは?

A balanced diet is a cookie in each hand.

バランスの取れた食事とは、それぞれの手にクッキーを持つこと。

「両手にクッキーを持っているんだから、バランスは取れているでしょ」ということ。日本では両手におにぎりでも持ってみましょうか。

そして、家事と言えば、常に議題に上る人物がいます。これも日米共通か?

A husband is someone who takes out the trash and gives the impression he just cleaned the whole house.

夫とは、ゴミを表に出して、家中を掃除したような印象を与える人。

ゴミ出しも立派な家事のひとつですけが、掃除はそれだけではなーい!このあたりは、日米ともに 今後の 課題のようです。

英語のパロディーはなぜ難しい?

英語の標語やパロディーなどの one- liner は、元ネタや価値観が分からないと理解しづらいものです。とはいえ、アメリカ人なら誰もが知っている常識や風俗、生活様式に基づいているそう。

「日本人には分からないから」と避けて通るのではなく、その背景にあるものを楽しむようにしていけば、少しずつアメリカ人の「ココロ」に近づけるかもしれません。

文:尾野七青子

都内某所で働く初老のOL兼ライター。

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