英語らしい表現にしたいなら、無生物主語を使ってみましょう【英検1級取得を目指す人のための言い換え塾】

大学で英検やTOEIC対策などを教える、Joyこと和泉有香さんの連載「英検1級取得を目指す人のための言い換え塾」。第4回は、「フレーズ」の言い換えや無生物主語の文への言い換えに挑戦します。

フレーズ単位の言い換えは英辞郎が役に立つ

みなさん、こんにちは。Joyこと和泉有香です。「言い換え力」をじわじわと上げていくシリーズの4回目です。今回「はじめまして」の皆さまは、このシリーズのテーマとなりつつある(?)「どやっ!」について知るためにVol. 1?3もぜひお読みくださいね。前回は「1語ずつ言い換える」練習をしましたが、今回はもう少し長く「フレーズ単位で言い換える」段階に進めていきましょう。1語ずつの置き換えではないので、キーとなる単語の品詞を変化させる必要が生じそうです。また、意味をくみ取って言い換える必要があるので、元の文にはなかった単語を使うことにもなるでしょう。

これが何とかこなせるようになると、「英⇔日」を自由に行き来しているという得体の知れない万能感(?)が体内に生まれ、書く・話すことに要する時間が短くなるはずです。私たちが求める「どやっ!」感も高まります。この作業にはThesaurusよりも、和英辞書としての英辞郎が大いに役立ちそうです。

フレーズの言い換えにチャレンジ!

では、次の太字の箇所の言い換えに挑戦しましょう。
  1. Numerous plant and animal species are on the verge of dying out.
    多くの植物と動物の種が絶滅の危機にある

  2. It is said hosting World Expo 2025 would boost the economy in Osaka.
    2025年国際博覧会を開催することは大阪の経済を押し上げるだろうと言われている。

  3. Governments should spend more money on health.
    各国政府は医療により多くの資金を使うべきだ。

言い換え例をチェック!

1. on the verge of dying out
= in danger of going extinct
= critically endangered
= facing extinction

「動植物の絶滅」はあちこちに頻出するトピックなので、この3つはこのまま完全に覚えておきましょう。

2. boost the economy
= produce/generate major economic effects
= stimulate/invigorate the economic conditions
= lead to economic growth/development

「経済」は見事にeconomyとしか訳しようがないので、形容詞economicに変更して「経済的○○」のように表現するのも賢い言い換え方法だと思われます。

3. spend more money on health
= provide financial support to medical care
= invest more in health infrastructure
= commit more money for health services
= allocate more funds to medical services

provide financial supportはVol. 3で取り上げましたね。provide monetary assistanceなどとも言い換えが利くのでした。「資金を出す」「医療」とも、こうやって幾つか例を出してみると随分いろいろと言い換えられますね。何度も口頭で練習して、どの表現の間も自由に行き来できるように練習しておきたいところです。

無生物を主語にして言える・書けるようになっておくべし

中学生の頃に(注:すでに恐竜は絶滅していたので、それほど昔の話ではありません)What made you come to Japan?を「何があなたを日本に来させたのか」と直訳して「なんか、ヘン!」と友だちと2人で笑ったことをよく覚えています。

そうなんです。「意味はわかるけれど日本語としてなんか、ヘン」なんですよね。「あなたはなぜ日本に来たのですか」と人間を主語にする方が普通ですもん。ならば、できるだけ「どやっ!」な英語を書こうとしている私たちは、その裏返し・・・。つまり「ふだん書いている人が主語の文を無生物主語の文に言い換えれば、それだけで英語らしくなるんじゃね?」という結論に行き着きます。

無生物主語の文に言い換えてみよう!

幾つか易しめの文で練習してみましょう。それぞれの文の太字部分を主語にして、無生物主語の文に言い換えてください。
  1. We cancelled the event due to inclement weather.
    悪天候のために私たちはそのイベントを中止した。

  2. Students are prohibited from using smartphones by the school rules.
    生徒たちはスマホを使うことを校則によって禁じられている。

  3. The leader could not attend the summit meeting because he came down with COVID-19.
    その指導者は新型コロナウィルス感染症にかかったため、サミットに参加することができなかった。

言い換え例をチェック!

> 4. Inclement weather forced us to cancel the event. / Inclement weather compelled us to call off the event.> 5. The school rules prohibit/forbid students from using smartphones.> 6. COVID-19 prevented the leader from attending the summit meeting.

無生物主語構文を使うと、文が短くそしてタイトになる感じがしませんか?

使う単語のレベルを上げるのも言い換えなら、使う構文を英語らしく変えるのもまた言い換えです。ぜひ無生物主語構文を積極的に使うことを心掛けていきましょう。

さて、言い換え範囲がじわじわと広くなってきましたね。次回はさらに範囲を広げ、自由に言い換え・書き換えができるように練習していきます。お楽しみに!

和泉有香さんの本

和泉有香
和泉有香

劇団通訳、塾講師などを経て現在は神戸海星女子学院大学、関西国際大学でTOEIC対策、英検対策などを教えている。TOEIC 1390点(L&R 990点、S&W 400点)、英検1級(優良賞受賞)、全国通訳案内士(英語)。著書、共著に『音声DL付 TOEIC(R)L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1』『音声DL付 TOEIC(R) L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング2』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&R テスト900点!』(アルク)、『2022年度版英検過去問レビュー準1級』(河合出版)、『2022年度版 英検過去問レビュー 準1級(3級~準1級)』(河合出版)、『英語4技能 スピーキング試験“完全攻略”ストラテジー』(IBCパブリッシング)などがある。宝塚歌劇と沖縄にときめく。 Twitter:@JoyJPN

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