フレーズの言い換えは「組み合わせ」に気を付けて~コロケーションの話~

大学で英検やTOEIC対策などを教える、Joyこと和泉有香さんの連載「英検1級取得を目指す人のための言い換え塾」。第3回は、いよいよ「単語」の言い換えを卒業し、「熟語やフレーズ」の言い換えに挑戦します。

2語以上のフレーズは、1語ずつ言い換えてみる

みなさん、こんにちは。Joyこと和泉有香です。「言い換え」について柔らかくお話しするシリーズの3回目です。「私にはまだ早いかも・・・」と遠慮せず、どうぞ軽い気持ちで読んで行ってくださいね。今回「はじめまして」の皆さまは、このシリーズのテーマとなりつつある(?)「どやっ!」について知るためにVol. 1Vol. 2もぜひお読みください。

さて今回は、そろそろ単語の単位を抜け出してフレーズ単位での書き換え練習に突入しましょう。目指すのはもちろん「どやっ!」なわけですが、熟語やフレーズは単語の固まりなので、最もお手軽な方法は「1単語ごとにちょいとバエる別単語に言い換える」ことです。「なんや、簡単やんか。」と拍子抜けしたそこのアナタッ!!(なぜかいきなり大声)

・・・そう。実は想像以上に簡単です。(あっさりと言い切る大阪府在住50代女性Jさん)

言い換えにチャレンジ!

前回までに身に付けた知識と、これも前回ご紹介したオンライン類義語辞典Thesaurusも使いながら、1~5の太字部分を1語ずつ言い換えてみましょう。

  1. many options(多くの選択肢)
  2. developed countries(先進国)
  3. give financial support(財政的援助を与える)
  4. deal with the problem(問題に対処する)
  5. ease the effect of climate change (気候変化の影響を和らげる)

言い換え例をチェック!

どんな表現が見つかりましたか?言い換え例を挙げてみます。

  1. many: multiple, quite a few, a wide range (variety) of
    options: choices, possibilities
  1. developed: industrialized, leading, advanced
    countries: nations
  1. give: provide, offer
    financial: monetary
    support: aid, assistance, backing
  1. deal with: tackle, handle, address, cope with
    problem: issue, complication, dispute, matter
  1. ease: mitigate, alleviate, buffer, allay
    effect: impact, repercussions

・・・と、このように1語ずつ言い換えた後で組み合わせるわけです。1のmany optionsならmultiple choices、quite a few possibilities、a wide range of optionsのように。

もしも知らない単語があれば、意味も発音もネットで調べておきましょう(われらの味方Thesaurusは、「スピーカーマーク」をクリックすると発音もしてくれます)。

いい組み合わせと悪い組み合わせ

さて、先の1~5の言い換えは主にThesaurusを使って調べていますが、実は大きな落とし穴があるので要注意だったりします。それは

コロケーション!

・・・です。ワタクシ、近所にある富士屋精肉店のオバチャンが揚げてくれるものが世界一だと思っておりまして・・・。え?コロッケじゃなくてコロケーションの話でしたね。ども失礼。コロケーションとは「単語の相性」のことです。「予約する」は毎度おなじみのmake a reservationですが、「禁止する」は同じ「する」でも、make a banではなくplace a banとなります。「makeとbanはコロケーションが悪いから」という、英語学習者にとっては非常に困った事象が発生しているのです。

若干めげてしまいそうですが、考えてみると母語・日本語で「にこにこ」と読むと(or 聞くと)「笑う」と続きそうだと予測できます。つまりコロケーションにはその言語の習熟度が密接に関わっているのですね。従って、あなたがコロケーションを覚えることは、英語の習熟度を爆上げすることに他なりません。そう思うと「ちょっと頑張っておこうかい・・・」と、例え心を2つ持っていないにしても、心を入れ替えて頑張れそうですね。

さて話を元に戻すと、Thesaurusで調べて「この組み合わせ、イケそうかも」と思ったら、Googleの検索窓に入れ、用例がズラリと並ぶかどうかを調べてみるのもよい勉強になります。多種多様な例が引っ掛かってこない組み合わせは「コロケーション悪し」を意味するので、それを覚えるのは得策ではありません。あるいは英辞郎でその組み合わせを調べ、掲載されているどうかを調べてみるのもおすすめです。

今日、取り上げた「1語ずつ言い換える」(=単語をバエるものにする)だけで、それなりに「どやっ!」度は上がります。ここで満足せず、Vol. 4ではさらに「どやっ!」度を上げる練習をしますので、どうぞお楽しみに!

おまけ

「練習問題のおかわりをちょーだい!」という声が聞こえてきたので(幻聴?・・・ではありませんよね。)もう3問だけ書いておきますね。Enjoy! ^^

おまけの練習問題

1. find the cause of ~(?の原因を突き止める)
2. become more and more popular (ますます人気が出る)
3. recognize the importance of ~ (?の重要性を認識する)

言い換え例

1. [locate/detect/determine/identify/pinpoint/pin down] the [source/origin] of ~
2. gain popularity/get(grow) increasingly popular/become even more relevant
3. [appreciate/realize/acknowledge] the [gravity/significance] of ~

和泉有香さんの本

和泉有香
和泉有香

劇団通訳、塾講師などを経て現在は神戸海星女子学院大学、関西国際大学でTOEIC対策、英検対策などを教えている。TOEIC 1390点(L&R 990点、S&W 400点)、英検1級(優良賞受賞)、全国通訳案内士(英語)。著書、共著に『音声DL付 TOEIC(R)L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1』『音声DL付 TOEIC(R) L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング2』(アルク)、『2カ月で攻略 TOEIC(R) L&R テスト900点!』(アルク)、『2022年度版英検過去問レビュー準1級』(河合出版)、『2022年度版 英検過去問レビュー 準1級(3級~準1級)』(河合出版)、『英語4技能 スピーキング試験“完全攻略”ストラテジー』(IBCパブリッシング)などがある。宝塚歌劇と沖縄にときめく。 Twitter:@JoyJPN

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