シンガポール在住者が伝授!「海外に住む・海外で働く」ということ

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シンガポールの英語「シングリッシュ(Singlish)」や文化について藤代あゆみさんにお話しいただいてきた本連載は今回が最終回!海外に住むことや、働くことについてのちょっと真面目なお話と、藤代さんがシングリッシュを激推しする本当の理由を明かしてくれました。最後までお読みください!

皆さんは食べ物や飲み物の好き嫌いはありますか?私は食べることが大好きで、飲み物といえばお酒!特に日本酒が大好き過ぎて、英語で日本酒について語れるほどになり、国際唎酒師の資格まで取った日本酒オタクですが、そんな私にも、実は苦手な食べ物が・・・。

それはパクチー!しかし、東南アジアは、どこのレストランに行っても必ず一品以上にパクチーが入っているのです。そんな、パクチーまみれ(?)のシンガポールで、私が生きながらえた理由は、「推しがパクチー好きだったから克服した!」・・・のではなく、どんなに小さく刻まれて料理に混ぜられたパクチーでも、一つ一つを高速で取り除くスキルを身に付けたから(笑)海外に行くことが多い生活のおかげで、どんな場所でも生き抜いていける力が身に付きました。

さて、今回で最終回の「シングリッシュでも“OK lah!”」では、ふざけずに・・・いや、いつもふざけてないけど!!!海外に住むことや、働くことについても、ちょっとだけ真面目にお話しちゃいまーす!

シンガポール語?いいえ、シングリッシュです!

私がシンガポールで仕事をしていることを友人や知人に話すと、「すごい、あゆみちゃんってシンガポール語、話せるの?!」と聞かれることがあります。ん?シンガポール語・・・?確かに、シングリッシュってもはや「シンガポール語」と呼んでもいいくらい独特な英語かも!本当のところは、シンガポール語という独自の言語はありませんが、このような勘違いが生まれてもおかしくないくらい、ユニークなのです!

第1回でもお話ししましたが、シンガポールの公用語はマレー語・英語・中国語・タミル語の四つです。シングリッシュは、この四つの公用語のうち、英語を軸に、マレー語と中国語が絶妙なバランスで混ざっており、文法や単語、発音に至るまで、私たちが想像する「英語」とはかけ離れた言語です(第2回では音声付きで紹介しているのでぜひご参照ください)。実はこれ、シンガポールのとある文化を象徴しています。

文化が融合してできたプラナカン文化

シンガポールやその周辺には「プラナカン文化」というものがあります。例えば、この歴史を感じさせる建物。

なんだかヨーロッパ風の建物のようで、でも、よく見ると緑色の屋根はなんか中華っぽいし、壁の色使いは、常夏感あるし・・・。

そう、これがプラナカンです。いろいろな民族や文化が集まってできているシンガポールは、独自の文化を保つこともしてきましたが、うまく融合し、新たな文化も形成しているのです。同じように、シングリッシュもいろいろな言語が融合してできた新たな英語です。第1回で取り上げた、“Makan already meh?”(ご飯食べたの?)という言葉は、マレー語、英語、中国語が混ざったフレーズで、シンガポールでは日常的に使われています。

多民族がうまく融和して一つの国を作っている。民族や宗教、文化的背景の違いを乗り越えてみんな仲良く暮らしている。――もちろん実際の生活では、民族の違いでもめたり、宗教のことでわかり合えなかったり、すべてがパーフェクトにハッピーというわけではありません。同じ日本人同士ですら、けんかするわけですから、もめ事があって当たり前ですよね。ただ、シンガポールのすごいところは“Never mind lah.”(気にしな〜い)と、それはそれとして、新しいもの、自分の知らないもの、自分と違うものを積極的に受け入れるのです!

日本のことも大好きでいてくれるシンガポール!

シンガポールの人は、日本が大好き!おすしやラーメンといった食べ物はもちろんのこと、ファッションやカルチャーにも興味を持ってくれる人たちが一定数おり、日本は旅行先としてもとても人気です。

日本の原宿ファッションに憧れる若者たちがコミュニティを作っていたり、アニメのイベントには大勢のアニメオタクが集ったり、日本語をちょっとだけでも話せる人によく出会います。ちなみに、以前アニメのイベントで、アニメでよく見る大きめサイズのおにぎりを販売したのですが、三次元の世界でこんなものを食べられるとは思ってもみなかったようで、とても喜んでもらえました。

せっかく興味を持ってくれているのですから、私たち日本人も、シンガポールのことをもっとよく知れば、きっと大好きになると思います!

シンガポールに住む・働く

シンガポールでは、18歳から25歳までであれば、ワークホリデーパスというビザで最大半年間、滞在して就労することができます。私は、シンガポールでこれまで20名以上の日本人インターン生を受け入れてきました。実際にシンガポールに行きたい!と思う若者たちに、私が伝えてきたことを、今回は特別に教えちゃいます!

英語を勉強しに来ないで!

シングリッシュは癖がきついから、英語の勉強にならないよ!ということを言いたいのではありません。まあ・・・インターンを終える頃には、みんなシングリッシュになって日本に帰って行くのですが・・・(笑)シンガポールでもシングリッシュじゃない人はたくさんいます。インターンをしに来る以上、仕事をしてもらうのです。ですから、私や会社のみんなが英語を教えてあげることはしませんし、シンガポールにいるときの私は、日本人のインターン生には日本語を一切使いません。シングリッシュのことだけは特別に教えてあげるけど(笑)

仕事だけでなく、生活する上でも、ある程度の英語は勉強してから来てもらわないと、結局困るのは本人なわけです。インターン先は会社です。学校のようにレッスンを受けてもらうわけではないので、英語は自分で勉強するほかありません。語学留学としてシンガポールに来るのであれば話は別ですが、シンガポールでのインターンに興味がある人は、語学力の向上ではなく、就活のためや、働くスキルを伸ばす、キャリアチェンジに生かすなど、ビジネスの側面をよく考えてみてくださいね。

あなたの普通は、普通じゃないかも

日本でタクシーに乗るとき、扉は運転手さんが開けてくれますよね。でも、シンガポールではタクシーの扉は自分で開けないといけません。シンガポールに着き、大きなスーツケースを片手にタクシーに乗ろうとする。運転手さんがスーツケースをトランクに入れてくれる・・・のは普通じゃありません!自分でやれば?的な運転手さんもたくさんいます。(もちろん、手伝ってといえば助けてくれます)

バスに乗れば、暑い外の世界から、エアコンが効いている車内でほっと一息、椅子にも座れてラッキーだし、お水を飲もう・・・はいけません!シンガポールでは、公共交通機関での飲食は禁止されおり、最大500シンガポールドル(日本円で約4万円)の罰金*1です!シンガポールにはシンガポールの文化や習慣があり、法律もあります。海外に行ってから「日本だったらこうなのに!」と憤っている人もいますが、郷に入れば郷に従え。「嫌なら日本に帰るしかなくない?」と言ったら、本当に帰っちゃった子もいました(笑)合う・合わないは当然ありますし、無理なら我慢する必要もないと思います。ただ、自分の普通を押し付けるのではなく、自分の思っていた「普通」が「普通じゃなかった!」というのを楽しめる心意気で行くことをおすすめします。

おわりに

「シングリッシュでも“OK lah!”」では全3回にわたって、シングリッシュやシンガポールの文化や習慣などをお話しましたがいかがでしたでしょうか?いつも読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。今は海外に行くのは難しい時期ですが、この連載をとおして、私が大好きなシンガポールに興味を持っていただけたならとてもうれしいです。そして、英語は一つではなく、様々な形があるということ。英語の勉強を頑張るあなたに、新たな視点が加わるきっかけになれば幸いです。最後に、私がシングリッシュを激推しする本当の理由を言います。シンガポールでシングリッシュを話せると、買い物するときにめちゃくちゃディスカウントしてもらえるんだよね!(笑)

英語を学ぶこと、日本を知ること、英語を生かした資格を取ることなど、「ENGLISH JOURNAL ONLINE」で連載した記事が他にもたくさんありますので、興味がある方はぜひチェックしてくださいね。

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*1:A Singapore Government, Rapid Transit Systems Regulations, A Singapore Government Agency Website, 2020年11月16日閲覧、https://sso.agc.gov.sg/SL/RTSA1995-RG1#pr14-

藤代あゆみ

藤代あゆみ平成元年、東京生まれ、共立女子大学文芸学部劇芸術コース卒。日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)公認国際唎酒師・日本酒学講師。日本酒などの輸入・販売・販路開拓支援を行うIPPIN PTE LTDと共に、シンガポール全域にて日本酒を1時間で配達する画期的なサービス「SAKE TO GO」を展開。マレーシア・タイ・ベトナム・インドなどでも日本酒を広める活動を展開している。好きな漫画は『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(平尾アウリ著、徳間書店)
Official Website:https://www.ayumi-and-sake.tokyo/
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