映画は生きた英語の宝庫。おすすめ映画から、ちょっとおしゃれで すぐに 使える英語表現を毎回1つ紹介します!今回は映画『セッション』から、「ボールを落とす」という表現です。
今日のおすすめ表現
Drop the ball.Drop the ball.という表現を聞いたら、どういう状況かを想像するのは難しくないかもしれません。
直訳の「ボールを落とす」という言葉からも想像できる通り、もともとは球技でボールを落とすという状況を描写したものでした。
つまり、 「失敗する」「へまをする」という意味 で、現在はスポーツに限らず、いろいろな場面で使われています。
表現の出どころ
このフレーズも、 前回 同様、映画『セッション』(原題:Whiplash)からです。
- 発売日: 2017/08/02
- メディア: DVD
ちなみに この映画は、ジャズ・ドラマーだった本作品の監督デイミアン・チャゼル自身の経験に基づいているそうです。
ところで前回は、教師テレンス・フレッチャー(J・K・シモンズ)の指導法が激しいため、パワハラの被害経験がある人は、視聴に注意が必要 かもしれない 、という話をしました。その真に迫る演技をしたJ・K・シモンズは、第87回アカデミー賞と第72回ゴールデングローブ賞で助演男優賞を受賞しています。
ド迫力のシモンズとは対照的に、アンドリュー役のマイルズ・テラーは、せりふがない場面でも、「口角が一瞬、上がっただけ」のような顔のほんの小さな表情で、いろいろな感情を巧みに表現しています。テラーの演技にもぜひ注目してみてください。
表現の使い方
アンドリューにとって、とうとう晴れの舞台に立つ日がやってきました。指揮を担当するのは、フレッチャー。フレッチャーは舞台に出る前に、ミュージシャンたちに向かって、この日の舞台がいかに大切かを説明します。
ブルーノートやEMCといったジャズ・レーベル(ジャズ専門のレコード会社)のスカウトが来ていると話し、こう続けます。
On the other hand , if you drop the ball, you might be looking for a new line of work .その一方で、もしヘマをすれば、職替えすることになる かもしれない 。ここでいうa line of work とは職種のことで、 a new line of work で新しい職種 、つまりはミュージシャンをやめて、まったく違う職を探さなければならなくなる かもしれない 、と言っています。
まとめ
Drop the ball.はそのまま「ボールを落とすこと」から、球技などでボールを落とすことを指していました。そこから転じ、今では球技やスポーツ以外の場面を含め、「失敗する」ことを意味します。
主に不注意などが 原因 での失敗を意味するので、「ヘマをする」「しくじる」というニュアンスが近いと思います。Don't drop the ball!(ドジるなよ!)とかSorry, I totally dropped the ball!(ごめん、大失敗しちゃった)などのように使います。
本連載がEJ新書になりました!
本連載「映画で英語」がEJ新書(電子新書)になりました!たっぷり14作品から使える英語表現をご紹介するお得な1冊。「映画で英語を学びたいけれど、何から始めたらいいの?」という方にぴったりです。追加原稿も加わり、さらにパワーアップ!
▼ご購入はこちらから
- 作者: 松丸 さとみ
- 発売日: 2021/02/08
- メディア: Kindle版
文:松丸さとみ
フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。
Blog: https://sat-mat.blogspot.jp/
Twitter: https://twitter.com/sugarbeat_jp