映画は生きた英語の宝庫。おすすめ映画から、ちょっとおしゃれですぐに使える英語表現を毎回一つ紹介します!映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』から、イギリスっぽく「からかう」と言うときの表現です。
今日のおすすめ表現
to take the mick
今回のフレーズは、かなりイギリスっぽい表現です。「からかう」「バカにする」「おちょくる」などの意味があります。to take the mick out of someoneが正しい(?)センテンスなのですが、「誰」がはっきりしているときは、out of someoneは割愛することもよくあります。
表現の出どころ
今回のフレーズも、前回同様、映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(原題:A Street Cat Named Bob)から。
冒頭で「イギリスっぽい表現」と書きましたが、この映画は、ロンドンであった実話をもとに作られた作品です。
原作はジェームズ・ボーエンが書いた、『ボブという名のストリート・キャット』(辰巳出版)です。
実は映画にも、ジェームズ本人がちらっと登場します。顔を知らなくても、すぐに本人だとわかるようなユーモアあふれるせりふを言うので、注意深く見ていてくださいね。
この映画は、ストリートミュージシャンをしながらホームレス生活をしていたジェームズが、野良猫のボブを拾ったことで物事が好転し、ホームレス状態にある人や生活困窮者が路上で販売する雑誌「ビッグ・イシュー」を売る仕事をするようになって生活を立て直していく様子が描かれています。
原作者のジェームズは猫のボブを「命の恩人」と呼んでいますが、ボブが死んでしまった話は前回 書きましたよね。そのニュースを報じたイギリスの新聞ガーディアンには、ビッグ・イシューの編集長の談話が載っています。
これまでビッグ・イシューで何度もボブが表紙を飾りましたが、そのたびにファンが買いに来て売り上げが上がったため、雑誌の売り子たち(多くは、自身もホームレスの人たちです)は喜んだものだった、と編集長はガーディアンに話していました。
表現の使い方
映画のお話では、ジェームズはロンドンのエンジェル駅の前でビッグ・イシューを売っています。そこに、ボブとジェームズと一緒に写真を撮りたい、という人たちの人だかりができます。写真撮影に応じつつビッグ・イシューを売っていると、ジェームズはスーツを着た男性にExcuse me, mate.と声を掛けられます。
ジェームズもHey, mate.と応じますが、この“mate”もいかにもイギリス英語っぽい表現です。アメリカ英語なら“buddy”というところでしょうか。
さてこのスーツを着た男性ですが、こう自己紹介します。
I’m from the Islington Tribune. Would you mind if I did a story on you and the cat?
イズリントン・トリビューン(※)の者です。あなたと猫について記事を書いてもいいですか?
※ ロンドン北部イズリントンの無料新聞
この言葉を聞いたジェームズはいぶかしそうにこういいます。
Are you taking the mick?
からかっているの?
スーツを着た男性と交わした言葉にmateがあることからもわかるように、to take the mickはかなりカジュアルなやり取りの中で使われる表現です。
まとめ
to take the mickは、イギリスのスラングで、「からかう」「ふざける」などの意味があります。別の言い方をすれば、to make a fun of someoneということ。アメリカ英語ではmickの代わりに、mickeyなどを使う方が一般的のようです。
本来はto take the mick out of someoneと表現します。例えばジェームズのせりふの表現であれば、Are you taking the mick out of me?という感じ。ただジェームズのせりふのように、「誰を」まで言わなくても明らかな場合は、out of someoneの部分は省略が可能です。
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