コロナ禍の中でも香港のデモ激化!one country, two systemsはこれからどうなる?【ニュースな英語】

ニュースな英語

今回の「ニュースな英語」は、コロナ禍の中でも激化している香港のデモや、そのきっかけとなった「国家安全法制」の導入にまつわる言葉、one country, two systemsを取り上げます。

今回のニュースな英語

one country, two systems

ここのところ国際ニュースは、新型コロナウイルス関連で持ち切りでした。昨年は激しい動きを見せていた香港の民主派によるデモ活動も、コロナの流行を受けて(少なくとも大規模なものは)停止となっていました。

しかし5月末、香港では「国歌条例案」の審議が始まり、中国の全国人民代表大会(全人代)では「国家安全法制」の導入が決定されたことを受けて、香港のデモが再び激化の兆しを見せています。

今回のニュースな英語は、中国と香港の関係を語る上で必ず理解が必要になる概念「一国二制度」を取り上げます。

中国や香港のニュースは英語名詞を押さえよう

1997年、香港がイギリスから返還された際、中国は2047年までの50年間、香港に高度な自治を認めると約束しました。以来、香港は中国の一部でありつつ、特別行政区として立法権や司法権を持つほか、中国とは異なるパスポートや通貨を有しています。これが、「一国二制度」。つまり、中国という一つの国の中に、二つの制度があるということです。

とはいえ、今回導入が決定された「国家安全法制」は、香港の反政府的な動きを取り締まるものです。こうしたことから、香港の民主派の人たちはこの法制に反対し、「一国二制度が崩壊しかねない」として、警戒を強めています。

「一国二制度」は冒頭で書いたとおり、英語では「one country, two systems」と表現されます。中国・香港のニュースを英語でフォローするには、重要な人物の名前や肩書、ポイントとなる英語を覚えましょう。

例えば、習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は英語でPresident Xi Jinpingと表現され、中国語の名前は英語では基本的に原語の発音をアルファベット表記します。また香港のトップ、林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は、英語ではHong Kong Chief Executive Carrie Lamと英語名で呼ばれています。どちらも、日本で通っている名前とはまったく違う音になるので気を付けてください。

また「国家安全法制」は、national security legislationやnational security lawなどと表現されています。香港で6月4日に可決された「国歌条例案」はnational anthem billなどと呼ばれています(可決されたため、今後はlawとなります)。

昨年話題になり、大規模なデモに発展した「逃亡犯条例改定案」は、extradition billなどと報じられていました(billとは、可決前の法案や議案を指します)。

ちなみに、国家安全法制について後述のイギリスの『ガーディアン』紙(The Guardian)の記事ではlawsと複数形で報じられています。大手媒体をざっと見てみると、単数形で報じているところが圧倒的に多く、オーストラリア、カナダ、イギリス、アメリカが共同で発表した声明でも単数形で表現されています。

www.gov.uk

どんなふうに使われている?

香港の大規模なデモ

では、英語メディアは、国家安全法制の文脈で、「一国二制度」をどう報じているでしょうか?

『ガーディアン』紙は、クリス・パッテン氏の発言として、次のように伝えています。

Lord Patten, the last British governor of Hong Kong, told the Guardian he hoped the laws did not spell the end of one country, two systems.

香港で最後の英国総督を務めたパッテン卿は『ガーディアン』紙に対し、同法が一国二制度の終わりを意味しないことを望む、と述べた。

www.theguardian.com

西側諸国では、国家安全法制が一国二制度を脅かすと見る向きが多いですが、アメリカのCNNは、香港のナンバー2である張建宗政務官(Chief Secretary Matthew Cheung)が、インタビューで次のように語ったと報じています。

99.99% of the Hong Kong population will not be affected, they'll go about their lives, they continue their investment in Hong Kong

香港市民の99.99%は、影響を受けない。普段通りの生活をし、香港への投資を続ける。

edition.cnn.com

ほかにも、香港の著名人2000人以上が、国家安全法制への支持を表明したとされています。

まとめ

現在の香港に至るまでの歴史は複雑です。民主派(pro-democracy)と親中派(pro-Chinaやpro-Beijing、pro-establishmentなどと呼ばれます)、両方の主張や考え方を読んでみると、理解が深まるかもしれません。

また、国際ニュースを英語で読むときは、その報道機関が中立か、政府寄りか、など情報源も気にするようにしましょう。

Satomi Matsumaru

文:松丸さとみ
フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。
Blog:https://sat-mat.blogspot.jp/
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