callを使って「終わりにしよう」にも「ちゃらにしよう」の意味にもなる表現【映画で英語】

映画は生きた英語の宝庫。おすすめ映画から、ちょっとおしゃれで すぐに 使える英語表現を毎回1つ紹介します! 前回引き続き 、今回もガイ・リッチー監督の『スナッチ』から、 call を使って「終わりにしよう」にも「ちゃらにしよう」の意味にもなる表現です。

今日のおすすめ表現

call it quits
今回も、2つの意味があるフレーズ、“ call it quits”です。

1つは、 これまでしていたことを「切り上げよう」「終わりにしよう」という意味 。そしてもう1つは、今回ご紹介する映画の中で使われている 「これで貸し借りなし」「ちゃら」という意味 です。

表現の出どころ

前回同様、今回もガイ・リッチー監督の作品『スナッチ』(原題: Snatch )からです。

スナッチ (字幕版)
  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
強奪された大粒ダイヤモンドの行方を追う話と、裏ボクシング・プロモーターのターキッシュ(ジェイソン・ステイサム)が八百長試合に巻き込まれる話、という2つが 同時に 進行していきます。

舞台はロンドンの裏社会。日本語では違法なものを「裏」や「闇」と言いますが(裏社会、闇市など)、英語では“underground”や“underworld”(どちらも「地下」を指しますが、後者は特に犯罪組織も意味します)と表現します。ターキッシュがプロモーターをしている「裏ボクシング」は、“underground boxing”となります。

ところで、ニューヨークのマフィア、アビー(デニス・ファリーナ)がロンドンに駆け付けるとき、一瞬、コンコルドが映ります。この映画は2000年の作品ですが、当時、音速を超えるスピードで飛行する旅客機コンコルドが、ニューヨークとロンドンを3時間弱で結んでいました(通常の航空機だと7時間前後かかります)。

しかし2000年の墜落事故を きっかけ に、2003年に商業運航終了となりました。一瞬だけ画面に映るコンコルド、少し歴史を感じる瞬間です。

表現の使い方

86カラットの大粒ダイヤモンドを盗んだフランキー・“フォー・フィンガー”は、大のギャンブル好き。そこに付け込んでダイヤを奪おうと考えた銃の売人ボリスは、銃の代金はいらないから、自分の代わりに裏ボクシングに賭けてほしいとフランキーに持ち掛けます。

If you place one down for me...we will call it quits.君が私の代わりに賭けてくれれば・・・それで貸し借りはなしってことにしよう。
“quits”という単語自体は、「貸し借りがなくなった状態」 を指します。つまり“ call it quits”は、「貸し借りがなくなった状態ということにしよう」という意味になります。

call it quits”というフレーズには、「終わりにしよう」という意味もあるため、 「やめる」を意味する動詞“quit”と間違ってしまいがち です。しかし、 call it quits”で使われる単語は、最初から“s”が付いた形容詞の“quits” です。とても紛らわしいので気を付けてください。

まとめ

おさらいになりますが、『スナッチ』のこのシーンで使われている“ call it quits”という表現は、「これでちゃらにしよう」という意味です。 call it even ”という言葉でも同じ意味 になります。

またこのフレーズにはもう1つ、これまでしてきたことを「切り上げる」とか、「仕事を終える」という意味もあります。その日の仕事を終えるときにも使えますし、ずっと続けてきた仕事をやめるときにも使える表現です。

仕事以外にも、例えば、 call it quits on a marriage”と言えば、「結婚を終わらせる(=離婚する)」という意味 になります。

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文:松丸さとみ

フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。
Blog: https://sat-mat.blogspot.jp/
Twitter: https://twitter.com/sugarbeat_jp

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