映画は生きた英語の宝庫。おすすめ映画から、ちょっとおしゃれで すぐに 使える英語表現を毎回1つ紹介します!今回はガイ・リッチー監督の『スナッチ』から、「お願いを聞いて」の意味にも「とんでもない!」の意味にもなる表現です。
今日のおすすめ表現
do someone a favour“favour”(アメリカ英語では favor とつづります)は、好意や親切心などを指す言葉です。 “do someome a favour”で、「人(someone)のお願い事を聞く」とか、「その人のために何かをする」という意味 になります。
また文脈によっては、“do me a favour”で「とんでもない!」という感嘆詞になる場合もあります。
表現の出どころ
今回のフレーズは、2000年に公開されたガイ・リッチー監督の作品『スナッチ』(原題: Snatch )から。
- 発売日: 2013/11/26
- メディア: Prime Video
ロンドンの裏社会を描いているので、言葉遣いがとても乱暴な上、アクセントも上流階級のそれとはかなり異なります。特に顕著なのが、“t”を発音しない「T-glottalization」(tの声門閉鎖音化)などと呼ばれるものです。
イメージとしては、通常のように舌を使ってtを発音するのではなく、喉の奥の方で音を押し出すという感じでしょうか。
この説明ではわかりにくいと思うので、ぜひ『スナッチ』で、ターキッシュやトミー(スティーヴン・グレアム)、そしてギャングたちの発音を聞いてみてください。
表現の使い方
ギャングのボス「ブリック・トップ」(アラン・フォード)はターキッシュに、裏ボクシングの試合でターキッシュのボクサー「ゴージャス・ジョージ」(アダム・フォーガティ)を使ってやる、と約束します。それをブリック・トップは、こう表現します。
I’ll be doing you a favour.おまえのためにやってやる。それを聞いたターキッシュは心の中でこうつぶやきます。
What he means is, I'm doing him a favour.つまりは、ブリック・トップのためってことだ。例えば誰かにお願い事をしたい場合、“Can you do me a favour?”(命令形だと“Do me a favour.”)で「お願いを聞いてくれる?」となります。
冒頭で書いたとおり、“Do me a favour.”は「とんでもない!」という意味になることもあります。映画では次のシーンで、こちらの意味で使われます。
次の試合でミッキー(ブラッド・ピット)を使いたい、とブリック・トップに言われたターキッシュとトミーは、試合に出てくれるようミッキーに頼みに行きます。
キャラバン(キャンピングカーのような、移動させることができる家)と引き換えに試合に出ると言い出したミッキーに対し、ターキッシュは思わず“Do me a favour.”と口走ります。
この場合、先ほどの「お願い」とは異なり、 「何言ってるんだ」とか「ばか言え」という、驚きを示す感嘆詞 になります。同じ言い回しでもまったく違う意味なので気を付けてくださいね。
まとめ
favourは「親切な行為」や「頼み事」を意味します。そのため、“do someone a favour”で「人のために何かをする」ことを意味し、“Do me a favour.”で「お願いを聞いて」となります。
また、あり得ないことを言われたときに、「ばかげている!」とか「とんでもない!」という感嘆詞として“Do me a favour!”と言うこともありますので、覚えておいてくださいね。
本連載がEJ新書になりました!
本連載「映画で英語」がEJ新書(電子新書)になりました!たっぷり14作品から使える英語表現をご紹介するお得な1冊。「映画で英語を学びたいけれど、何から始めたらいいの?」という方にぴったりです。追加原稿も加わり、さらにパワーアップ!
▼ご購入はこちらから
- 作者: 松丸 さとみ
- 発売日: 2021/02/08
- メディア: Kindle版
文:松丸さとみ
フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。
Blog: https://sat-mat.blogspot.jp/
Twitter: https://twitter.com/sugarbeat_jp
【トーキングマラソン】話したいなら、話すトレーニング。
語学一筋55年 アルクのキクタン英会話をベースに開発
- スマホ相手に恥ずかしさゼロの英会話
- 制限時間は6秒!瞬間発話力が鍛えられる!
- 英会話教室の【20倍】の発話量で学べる!
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。