世界同時プレイを実現!ゲームの「ローカライズ」って何?【FFXIV】

ファイナルファンタジーXIVで学ぶ英語

©2010 -2020 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

通信技術の発達とともに、ゲーム業界でもオンライン化が進み、世界中のプレイヤーが「ゲーム内の一つの世界」に集えるようになりました。ゲームの中で自分のすぐ隣に立つプレイヤーは、実際は遠く離れた国に住み、異なる言語を話す人かもしれません。そんなプレイヤーたちが一つの世界で共に冒険するために、ゲームは「ローカライズ(地域化、言語対応)」されています。今回は、日本発の大人気ゲーム『ファイナルファンタジーXIV』のローカライズの秘密をご紹介します。

「ローカライズ」とは

localize(ローカライズ、地域化、言語対応)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?以前よりもさまざまな場面で使われることが増えてきたため、なんとなく知っている方もいるかもしれません。

「ローカライズ」とは、ある国で作られた製品をほかの国でも使用できるようにするため、言語などをその国に応じた形に対応させることです。日本語にすると「地域化、言語対応」といった意味になりますが、そのまま「ローカライズ」とカタカナ語として使われることも増えています。

「つまり、製品で使われている言語を国によって翻訳するってこと?」と思うかもしれません。しかし、ローカライズは単なる翻訳にとどまらず、その製品が使用される国の文化や習慣などによって、よりわかりやすい形にすることを含みます

オンライン化が進み、さまざまな製品が世界中で使われるようになってきたことに伴い、ローカライズされるものは多岐にわたっています。その中で今回ご紹介するのは、ゲーム業界でのローカライズの取り組みです。大人気ゲーム、『ファイナルファンタジーXIV』の現場に潜入しました!

『ファイナルファンタジーXIV』とは

日本を代表するゲーム作品である「ファイナルファンタジー」シリーズの14作目で、ネットワークを通じて世界中のプレイヤーと共に冒険ができるオンラインゲームです。プレイヤーは冒険者として「エオルゼア」という世界に降り立ち、仲間たちと共に、迫りくる脅威に立ち向かうことになります。

日本をはじめ、北米や欧州、中国、韓国でもサービスを展開しており、全世界の累計プレイヤー数は1800万人を突破。今この瞬間も、世界中のプレイヤーが同じ世界で冒険を繰り広げています。

オンラインゲームである『ファイナルファンタジーXIV』は約3カ月に一度、新しいストーリーやダンジョン、システム改修などのアップデートが行われます。

このアップデートは日英独仏の4カ国語同時に進められます。世界中で同じ「ゲームの世界」を共有するためには、言語の同時ローカライズが不可欠なのです。

いざ、冒険の世界へ!

これから冒険する世界はどんな場所なのでしょうか。まずはゲームの入り口をのぞいてみましょう。

日本語と英語を比べ、必ずしも直訳ではなく、「ゲームの世界観」を意識した意訳がなされていることにも注目してください。

神々に愛されし地、エオルゼア――

冒険の舞台となるこの大地を支える水と緑の惑星「ハイデリン」の奥底には、すべての命の源たる母なるクリスタルが眠るという。

Hydaelyn. a vibrant planet blessed by the Light of the Crystal.

Amid azure seas, encompassing the westernmost of the Three Great Continents, there lies a realm embraced by gods and forged by heroes. Her name . . . Eorzea.

世界観を英語で共有するための技

ファイナルファンタジーXIVで学ぶ英語

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日本に拠点を置く『ファイナルファンタジーXIV』の開発チームでは、ゲームの開発を行う日本人スタッフの傍らで、各言語のローカライズ担当者が並行して翻訳作業を行っています。

英語へのローカライズを担当するスタッフ2名が、実際にゲームに登場するセリフを訳す際のポイントをご紹介します。

Tom Mills(トム・ミルズ):イギリス生まれ。日本語を話すときはバリバリの関西弁。翻訳チームのお兄さん的存在。

Kathryn Cwynar(キャサリン・スウィナー):アメリカ生まれ。ゲームの世界設定にも精通している。いつも笑顔で、チームの頼れるムードメーカー。

直訳以外の表現で「雰囲気」を演出

まったく、嫌な天気になってきたわね・・・!

What lovely weather. Just what we needed.

これは、強敵との戦いの直前に雨が降り出した際に、仲間がつぶやくセリフです。英訳を日本語に訳し直すと「なんていい天気なんだろう。まさに望んでいたものね」となり、真逆の意味で訳しています。海外の映画やドラマでも最悪の状況においてGreat!などと皮肉を言うシーンがよくありますが、ここも同様です。こうした表現は一般的な会話でもよく使われます。

ちなみにこのシーンを英訳する際、Jeez, what terrible weather ... と日本語に忠実に直訳すると、戦い直前の引き締まった空気の中で急に天気の話をし始めるという、とっぴな会話に見えてしまいます。そのため、まったく逆の表現で翻訳し、英語圏になじみのある皮肉たっぷりのセリフにしました

ファンタジーの世界を表現するための「古語」

くれぐれも、ほどほどに・・・。

貴女は昔から、無茶をする・・・。

Thine eagerness to hurl thyself into the jaws of danger cometh as little surprise.

Exercise due caution, I prithee.

日本語で古めかしい独特の話し方をするキャラクターは、英語ではまるでシェイクスピアのような言い回しを使い、その独特さを表現しています。日常会話でこのような話し方をすると、びっくりされるかもしれません。使うときには注意が必要です。

このセリフの中で使われている語のうちいくつかは、今では一般的には使われない英語、つまり「古語」です。以下で現在の英語との対比をご紹介します。

  • thine=yourthyself=yourself
  • cometh=comes
  • I prithee=I pray thee=I ask of you

日本語特有の話し方を英語に変換

すばらしい土地っぺな!

天幕なんかは壊れているものが多いけど、オイラの腕前なら、ぺぺっと直せそうっぺよ!

A wonderful location!

Yes, yes. These pavilions are rather dilapidated, quite decrepit, but I will have them fixed up in no time.

ゲームに登場するマスコットキャラクター「ナマズオ」は「~っぺよ、~っぺな」という語尾を付ける独特な話し方をします。日本語では語尾に何か特別な言葉を付けることでキャラクターの特色を出すことが一般的ですが、このような表現は英語ではあまり見られません。そこで、『ファイナルファンタジーXIV』では別の方法でキャラクターの特色を出しています。

日本語で使用している「~っぺよ」が短くてかわいい雰囲気の言葉であることに注目し、英語ではyesなどの短い言葉を繰り返して使い、同じようなかわいらしさを出しています。

また、該当のセリフには、「ペペっと直す」という「ぺ」の言葉遊びが入っているため、英語ではrather dilapidated, quite decrepitとして少し複雑な音と意味の繰り返しで遊び心を足しています

すべての冒険者よ、集え!仲間たちの待つエオルゼアの地へ!

いかがでしたか?このほかにも、ゲームを進める上で、日本語でも英語でも支障なく同じ体験ができるよう、さまざまな工夫がなされています。

実際に『ファイナルファンタジーXIV』の世界へ飛び込んで、その様子を見てみませんか?

まずは、期間制限なく無料で遊べる「フリートライアル」がオススメです。PCまたはPlayStation 4でプレイできますので、チェックしてみてくださいね!

sqex.to

フルバージョンの記事は『ENGLISH JOURNAL』2020年5月号でも!

ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部

取材・文:ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部
「英語を学び、英語で学ぶ」学習情報誌『ENGLISH JOURNAL』が、英語学習の「その先」にあるものをお届けします。 単なる英語の運用能力にとどまらない、知識や思考力を求め、「まだ見ぬ世界」への一歩を踏み出しましょう!

※この記事はENGLISH JOURNAL2020年5月号に掲載された記事を再編集したものです。