高い信頼を得る2人のTOEIC指導者が互いに驚いた緻密さとは?「空所の線は7本」「Part 7の語数を本番中に数える」

対談

TOEIC指導のパイオニアの一人であるヒロ前田さんと、TOEIC YouTuberという分野を開拓中の加藤草平(Jet Bull)さん。お二人がそれぞれ電子書籍『TOEIC(R) L&Rテスト みんなのお悩みQ&A【※刺激強め】』『TOEIC(R) L&Rテスト満点者の頭ン中』を出版したのを記念して、TOEICや英語上達についての対談を2回にわたってお届けします。今回は前編です。

ストイックに猛進するTOEIC人気講師の原点とは?

編集部:TOEIC界で有名なお二人ですが、まず簡単に自己紹介をお願いします。

ヒロ前田(以下、前田):高校生の頃から英語の勉強が好きで、大学ではESS(英語研究部)に入りました。とにかく上手になればいいな、くらいの気持ちでしたが、かなり勉強しましたね。

のちにアルクに入社してTOEIC対策講座に出合い、講座をプロデュースするうちに自分でも教えようと思い立ったのが2003年頃。そこから独立し、現在は講師として、著者として、仕事をしています。

加藤草平(以下、加藤):最近は、「猛牛ちゃんねる」というTOEIC対策のYouTube動画配信をメインに活動しています。

中学、高校と英語が得意で、大学も外国語学部に入りました。他言語を専攻したので、英語は一度やめてしまいましたが、社会人になってたまたまTOEICを受けたら700点以上取れて、「これならできそうだ」と思い、英語の勉強を再開しました。

ワーキングホリデーでカナダに1年行った後、帰国して英会話講師を始めたんですが、同僚の先生が試験対策をせずにTOEIC 990点(満点)を取っていたのが悔しくて、またTOEICを受けるようになりました。

2年くらいトレーニングを重ねるうちに何度でも満点が取れるようになって、だんだん「じゃあTOEICを真面目に教えるか」とシフトしていったのが、TOEICとの関わりの始まりですね。

編集部:そもそも英語に興味を持って頑張ろうと決めたのは、何かきっかけがあったのでしょうか?それとも、たまたま得意だったのでしょうか?

加藤:僕の場合は、たまたま得意だったからですね。

前田:きっかけねえ・・・和田秀樹さん*1の本かな。1987年に出版された和田さんのデビュー作『受験は要領』(PHP文庫の電子書籍版)という本を高校生のときに読んだんです。それで、大学受験にはこういうふうに取り組むと楽になる、という彼の勉強方法論をいくつかそっくりまねしてみました。

そのうちの一つが英語で、和田さんの言うことを実行したら、普段遊んでばかりの自分でも、成績だけはどんどん伸びていった。校内で数十番台だった成績が、県内で20~30番台というレベルまで上がったんです。すごく小さい努力で巨大な利益を得ることができたから、それで面白くなったのかな。

編集部:一番効果が出たのが英語だったということですか?

前田:英語と数学です。伸びが大きかったのは数学かもしれないですね。英語はもともと嫌いではなかったし。でも後々のことを考えると、英語の方が武器になっています。数学は大学に入った瞬間にやめましたが、英語は今もずっと続けています。そういう意味では、和田さんの本があったから今の自分があると言えるくらいに大きな影響を受けています。

Part 5とPart 6の空所の線は7本ある

編集部:お二人の出会いについて聞かせてください。

加藤:前田先生の「ダッシュ・フォーラム」というイベントで、論理的に話すトレーニングをするセミナーに参加したのが最初ですね。そこで初めて出会って、その後はTTT(TOEIC(R) テスト スコアアップ指導者養成講座「TOEIC(R) Teachers’ Training」)に参加して、そこからいろいろお仕事をご一緒させていただくようになりました。

前田:ダッシュ・フォーラムというのは、僕がメルマガ読者限定で開催していたイベントです。普段は顔の見えない人たちと当日会えるという、出会いの場を作るためのイベントでした。たまたまそのときは、日本語で論理を学ぶというのをテーマに掲げて開催したんです。

加藤:前田先生のことは、TOEIC対策書籍の著者としての印象から、非常に気難しい人だと思っていたのですが、実際にお会いして、やっぱり気難しいと思いました(笑)。TTTで特に印象的だったのは、「細かい!」ということ。衝撃というか、そんなに細かくTOEICのことを調べるんだ、と驚きました。自分もTOEICには詳しいつもりでしたが、「自分はまだまだ詳しくないな」と思いましたね。

対談

編集部:例えば、どういうところに違いを感じられたのでしょう?

加藤:問題の一つ一つについて、ピリオドの有無や句読点の使い方、大文字、小文字の使い分けなど、要するにフォーマットに関するところまで、すべて見ているんです。点数を取ることだけ考えれば、あまり関係ないような部分なのに、そこまで見ているのか、と。

リーディングセクションのPart 5とPart 6で空所の線が7本あるとか、すごく細かいところまで見ていることに驚きました。

前田:TTTはTOEIC指導をしてきた先生たちだけが集まる場なので、講師として、パフォーマンス的に、格の違いを見せつけることが一つの重要な役割なんですよ。

それなりの経験を積んできた猛者たちに「あなたにはまだまだ磨くべき要素がある」と分からせるためには、彼らにあっと言わせるような武器が必要です。先ほどのようなフォーマットに関する細かい話は、実際の重要度が高いか低いかにかかわらず、効果的なんです。「こんな人が世の中にいるんだ」という刺激になりますから。

将来、教材作成者としての道を目指すなら、それは決してどうでもいいことではない。そういう点にこだわりを持つべきだというのは今でも思っています。

TOEIC新形式に関するETSの発表内容を検証

編集部:前田さんから加藤さんへの印象はどうでしたか?

前田: ダッシュ・フォーラムでの最初の出会いでは、15人くらいのセミナーの参加者の一人で、特に第一印象というのは・・・。でも、「あの人がJet Bull(加藤さんのブログネーム)らしい」という、ブログ運営者としてはなんとなく知っていました。

加藤:あ、そうなんですね!

前田:知ってた、知ってた。ただ、本名は知らないし、何者かも知らなかった。それで、第二印象は、TTTに来てくれたときですね。そのときにはいろんな活動を見ていたし、話もしていました。

対談

前田:先ほど加藤さんは僕のことを「細かくて、そこまでやるの」と思ったと、つまり自分と全然違うように感じたと言っていたけれど、僕からすれば、他の人に比べて加藤さんはすでに十分細かいというか、テストそのものに対する興味も感度も高いなと思っていました。

TOEICが2016年に新形式*2になり、Part 7のボリュームが増えたけれど、ETSは「パート全体としての文章量は変わらない」と発表しました。

加藤さんは、それは本当かと疑って、3000語以上もある文字を指で追って数えたんです。リサーチする側の人間として、僕などが先にやっておくべきことだったんですが、加藤さんはいち早くやっていた。そのとき、「この人はこっち側の人なんだ」と思いました(笑)。それが第二印象ですね。

▼後編はこちら↓

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ヒロ前田
TOEIC受験力UPトレーナー。神戸大学経営学部卒。大人のための勉強スペース「T’z英語ラウンジ」経営。2003年5月に講師として全国の企業・大学で指導を開始。2005年にはTOEICを教える指導者を養成する講座をスタートし、トレーナーを務めている。2008年グランドストリーム株式会社を設立。TOEICの受験回数は100回を超え、47都道府県で公開テストを受験する「全国制覇」を2017年5月に達成。取得スコアは15点から990点まで幅広い。著書に『TOEIC(R) L&Rテスト 究極の模試600問+』(アルク)、『TOEIC(R)テスト900点。それでも英語が話せない人、話せる人』(KADOKAWA)、共著に『TOEIC(R)テスト 新形式問題やり込みドリル』(アルク)などがある。

Twitter:@hiromaeda

加藤草平(Jet Bull)
TOEIC YouTuber。TOEIC対策動画を配信する「猛牛ちゃんねる」でYouTuberとして活動中。YouTuberになる前はフリーランスTOEIC講師。TOEIC満点は通算60回以上取得、最高で40回連続満点を取得したこともある。書籍『TOEIC(R) L&Rテスト プライム模試400問』(アルク)を監修するなど、TOEIC教材の制作にも携わっている。

Twitter:@JetBull990

構成・文:吉澤瑠美/写真:山本高裕(編集部)

*1:1960年生まれの精神科医。東京大学卒。

*2:各パートの問題数や、一部のパートの内容が変更された。Part 7は、48問から54問に増え、内容についても、1つまたは2つの文書についての設問に答える旧形式に加えて、3つの文書を読んで解く問題が含まれるようになった。