ちょっと気になるニュースな英語①:impeachment

ちょっと気になるニュースな英語①:impeachment

毎回、世間で注目を浴びている最新ニュースに登場するキーワードを取り上げ、分かりやすく解説する「ニュースな英語」。今回はアメリカのトランプ大統領の「弾劾(だんがい)」を紹介します。

今回のニュースな英語

impeachment

2020年、世界的に大きな出来事があります。世界でもっとも強力な国のもっともパワフルな人を選ぶ選挙――そう、アメリカの大統領選があるのです。しかし11月の選挙を前に、まず今年はこの impeachment という単語を見聞きする機会が、しばらく多くなりそうです。

日本語では「弾劾」という意味です。皆さんもきっと昨年末、日本語のニュースでもたくさん目にした言葉だと思います。

この単語、日本語にして「弾劾」と聞いてもピンとこない人もいるかもしれません。そのくらい、普段はあまり聞かない言葉です。一定の公職にある人が不正や犯罪をした疑いがある場合、それを明らかにしてその地位や資格を剝奪することを意味します。

この言葉がニュースを賑わせている背景

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アメリカの下院議会は2019年12月18日、「ウクライナ疑惑(Ukraine scandal)」をめぐりトランプ大統領に対する弾劾決議案を可決しました。ウクライナ疑惑とは、トランプ大統領が2019年7月、電話会談の際にウクライナのゼレンスキー大統領に対し、ウクライナへの軍事支援と引き換えに、バイデン前米副大統領(次期大統領選の民主党有力候補)に関する不正疑惑の調査を要請したとされることです。

電話会談自体は「疑惑」ではなく事実なのですが、トランプ大統領の要請が「権力乱用」と「議会妨害」に当たるというのが、今回下院が弾劾決議案の可決により出した結論です。

これによりトランプ大統領は、弾劾裁判を受けるアメリカ史上3人目の大統領となりました。弾劾訴追を受けて、1月上旬には上院議会で裁判が始まるとみられています。

ここで有罪となれば、トランプ大統領は罷免となります。とはいえ、上院議会はトランプ大統領の政党である共和党が過半数であるため、罷免に必要な3分の2の賛成は得られないというのが大方の予想です。

どんなふうに使われている?

impeachmentは名詞です。「弾劾する」というように動詞(impeach)で使うこともできます。

President Trump has been impeached.
トランプ大統領は弾劾された。

アメリカのCNNは次のように報じました。

The deeply divided House of Representatives took the historic step to impeach President Donald Trump.
分断が深まった下院は、ドナルド・トランプ大統領を弾劾するという歴史的な一歩を踏んだ。

edition.cnn.com

impeachmentは2つの段階があり、1つ目は impeachment by the House of Representatives(下院による弾劾)、そして次が impleachment by the Senate(上院による弾劾)です。この2つのプロセスを経て初めて、罷免(Removed from office)となります。「弾劾」イコール、即「罷免」ではないことに注意してください。

ちなみに、アメリカの大統領で実際に弾劾により罷免された人は今のところいません。他の国では、ブラジルで2016年に、当時のルセフ大統領が弾劾で罷免されたニュースが、記憶に新しいかもしれません。

まとめ

240年以上となるアメリカ史でも今回で3人目というほど、大統領への弾劾手続きが進められるのは珍しいようです。次にアメリカで大統領級の要人が impeach される機会はそうそうないかもしれません。しかし他の国のニュースでもきっと出合うこともあると思いますので、ぜひこの機会に覚えてくださいね。

松丸さとみさん

文:松丸さとみ

フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。
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